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『スパイの妻』の音楽ができるまで!長岡亮介×黒沢清監督トーク

――長岡さんが映画音楽を手掛けることになったきっかけは?

黒沢清監督(以下、黒沢):プロデューサーが長岡さんでどうしても
いきたいと言っていたんです。僕はお名前は知ってたけど、東京
事変というバンドがあるそうだ、くらいしか知りませんでした。で
も、プロデューサーがそこまでいうなら是非とお願いした、という
経緯です。名前をインターネットなどでチェックして、動画を見て、
これはすごいやと思っていました。ものすごく正確なギター、バカ
テクと感じました。


長岡亮介(以下、長岡):(小声で照れながら)全然違う、全然違う...


黒沢:でも、最初の顔合わせで、今回の作品は 1940 年前後という時代背景なので、エレキギターが鳴るのは想像がつかない、と申し上げました。


長岡:プロデューサーから「ギターで行って欲しい」と言われた直後に、その発言があったんですよね(笑)。


――完成した映画見ていかがでしたか?

監督:サンプルで作って頂いた曲を聞いたときに、「あ、これでいいわ、もういけるわ、あーよかった」とホッとしました。作ってるときは分からなかったけど、到着した曲を聞いて「そう、この映画はこういう映画!」って思
えた。そういう曲でしたね。


長岡:あー...うれしいですね...。

黒沢:ここぞ、というときにすごく印象的な曲がかかるので楽し
みにしていてください。通常はギターのスペシャリストですが、
この映画ではクラシカルな生楽器などを使ったオーケストレー
ションの曲。元々そういうのを作ってたんですか?


長岡:初めてです。意外とできちゃいましたね。コンピューターの
おかげです。でも、自分で演奏はできないんですけど。素養がな
いからこそできたのかもしれません。

――音楽が乗って印象はどう変わりましたでしょうか?


黒沢:作ってる側には映画についてイメージそのものがないんです。それが、音楽をつけてもらってはっきりしました。映画にとってちょうどいい、音楽だけが聴こえるのではない、でも、俳優の演技や状況音と混じり合って、理想的な映画音楽になっていると思いました。楽器の選択も完璧でしたね。


長岡:褒めすぎです(照)。ありがとうございます。調子ににってしまう...。

黒沢:時代が 1940 年代ということもありますが、古すぎても新しすぎても嫌なんです。かといってクラシックだとなんか違う。やっぱりどこかモダンであってほしい、だって映画だから。長岡さんが付けてくれた音楽は僕の望むものそのものでした。


――映画音楽をまたやりたいと思いますか?


長岡:褒められると伸びる、傷つきやすいタイプなので、そういう現場ならまた。

黒沢:いままで、僕の映画の中でギター使ったものはないと思うんです。なので、初めてエレキギターが流れる映画でよろしくお願いします!

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