『PERFECT DAYS』東京国際映画祭レポート
第36回東京国際映画祭オープニング作品『PERFECT DAYS』
この度、36 回東京国際映画祭のオープニングを飾る レッドカーペット、そしてセレモニー後に実施する オープニング公式上映にて審査委員長として来日しているヴィム・ヴェンダース監督と主演の役所広司を筆頭に、 豪華キャストが勢揃いした舞台挨拶実施! レポートをお送りいたします。
チーム『PERFECT DAYS』勢ぞろいのレッドカーペット!
東京の秋風が爽やかな空の下、各国のゲストを迎え 36 回東京国際映画祭が華々しく開催いたしました!
多くのメディアと、ファンがたちならぶレッドカーペットに「PERFECT DAYS」チームが登場すると大きな歓声があがり、メディアへのインタビュ ーやファンの方々からのお声がけに丁寧に足を止めながら総勢 11 名の「PERFECT DAYS」チームがレッドカーペットを歩きました。
日本初上映前!記念すべき舞台挨拶!!
その後、オープニングセレモニーを終えたキャストは、いよいよ「PERFECT DAYS」のオープニング上映会場となるヒューリックホールへ移動。
会場いっぱいの観客が待ち臨む中、大きな拍手で迎えられたヴィム・ヴェンダース(監督)、役所広司、柄本時生、中野有紗、 アオイヤマダ、麻生祐未、石川さゆり、田中泯、三浦友和、高崎卓馬(共同脚本、プロデュース)、 柳井康治(製作)。
日本初上映前の記念すべき舞台挨拶を実施いたしました。
本日、日本に到着したというヴィム・ヴェンダースは、たくさんの観客を見渡しながら「私の友人も来ています」と目を細めつつ、挨拶を求められると、
「この作品は出演者もスタッフも日本人です。そしてこの映画は、ドイツ人監督が撮ったものだと思いますか?ということを皆さんに聞いてみたかった」と言い、
「私には日本の魂がある」と、日本の観客に向けて感無量の様子。
そんなヴェンダースに対して主役を演じた役所は「監督は、今日 4 時間飛行機が遅れて、ちょっと前に日本についたので時差ボケっぽくって…」と、
笑顔でつっこむと、監督が役所の肩にもたれかかりながら、ほほえましい場面も。
本作で演じたトイレの清掃員、平山という役について話が及ぶと、役所は「平山という男について、ヴェンダース監督はいつも“ああ、平山みたいに生きたいな。平山みたいな生き方が羨ましいな”っておっしゃっていました。僕も、あ、そういう人物を目指せばいいのかという風に撮影中ずっと思っていました。
自分は都会の中で生きている男ですが、(平山は) 他の人たちとは違う、ゆったりとした時間と、森の中で静かに呼吸しながら生きているような人物だなと思いました。」と、平山の人物像を語りました。
平山の同僚を演じた柄本に、 現場での思い出について聞くと、「ヴェンダース監督とご一緒できたことを本当に光栄に思っております。
“たかし”っていう人間は適当 なんですね。ただ、わかりやすく、憎めない人間性がある。僕はそれをどう見つけられるかなと思いながら、楽しく演じさせていただきました。」と振り返りました。
そして、アオイヤマダに演じた“あや“という人物について感想を聞くと「謎が多いと思います。」としながらも、 「(監督は)私という人物を見つめてくれた。役に私を近づけるんではなく、私に役を近づけてくれた感じがしました。」と、謎の多いキャラクターではあるものの、監督がアオイに寄せて作り上げてくれたことを明かしました。
そして、平山の姉を演じた麻生祐未に、本作への参加について聞くと「それはそれは夢のように楽しい時間を過ごさせていただきました。 こんなレジェンドと呼ばれる方と一緒に時間を過ごせるなんて。
撮影の現場では いつ見ても監督はニコニコ本当に楽しそうに笑ってらして、それがみんなにも伝わって、私たちもいつの間にかリラックスして楽しく撮影できることができました。本当に感謝しています。ありがとうございます。」と笑顔で感謝しきりの様子。
平山の姪を演じた映画初出演である中野有紗は、「初めての演技で、 もう右も左もよくわからないまま、こんなにも素晴らしいチーム に加えていただけて、
その上、こんなにも素敵な場にも連れてきてくださって、本当に今、ありがとうございますの気持ちでいっぱいです。」というコメントに対して、
ヴェンダースは「初めて演技をするという人は、まずその 1 番最初のその場面に真実があるんですね。彼女は生まれもっての役者であるという風に思いました。」と新人でありながら素晴らしい演技で本作を支えた中野に惜しみない賛辞を送りました。
そんなヴェンダースに、改めて本作を製作したきっかけについて聞くと、「本当に素晴らしい場所があるということでお誘いいただいたんです。日本の建築士の方々が作ったトイレですね。
素晴らしいものを作っているというところからインスピレーションを受けまし て、当初映像を何か作ることを考えてはいたんですけれど、見たことがないものを目にして、こういうものであれば物語で語った方がい いのではないかというところから(映画の製作が)始まりました。
誰よりも尊敬する、憧れの役所広司さんと仕事ができるということで、私はとてもプレッシャーを感じました。」と本作の成り立ちについて、そしてヴェンダースでもプレッシャーを感じることがあるという驚きの事実も明かしました。
製作の柳井康治に本作の内容について聞くと、「僕は(完成した本編を)初めて見たのは 2 月の終わりだったと思います。
自分が憧れている方に出ていただいて、作っていただいて、それが形になるということを目にした時に、自分では言葉にできなかったぐらい感動しました。
1 人でも多くの方に同じ気持ち になってほしいなと思います。本当に素晴らしいものになりました。」と、豪華キャストとヴェンダ ースを前に、感無量の様子。
また、高崎卓馬も「ヴェンダースという素晴らしい監督がいて、スタッフもキャストもみんなとにかくヴィムが 好きで、すごくあったかいチームができました。
そういうチームだからこそできた映画だなと思います。何も考えずにこの映画に出会ってほしいなと思います。」と 1 人でも多くの方にこの映画に出会ってほしい気持ちを率直に語りました。
ホームレスを演じた田中泯は「この映画では、僕は平山さん(役所)からしか見えない役で、一言も喋りません。ですから、今日は喋らないでおこうかなと思ってました(笑)。
1 番初めの撮影で、トイレのあるこの木の下で監督から“木漏れ日が刺すからそこで踊ってくれ”って言われてとても嬉しかったです。撮影は短い期間でしたが、もう嬉しくて嬉しくてしょうがなかったですね。
素晴らしいチーム で、開放的で、そしてそれぞれのベストを尽くす。素晴らしい。本当にあの嬉しさが未だに僕の中には残っていてあったかいです。」と 『PERFECT DAYS』チームに対してのあたたかい想いを明かしました。
平山が通う小料理屋の女将を演じた石川さゆりは「このお話を伺った時に、ヴェンダース監督の映画と聞いたら、役者さんたちはすごい自分へのご褒美だと思いますっておっしゃったんですけど、私はそこまでのすごさがわからなくて…。
それで、役所さんの映画、そして素晴らしい監督の映画というだけで、歌い手の好奇心、私の好奇心で、出ます。と言ってしまいました。
そして、監督が音楽が大好きな方だったので、あの映画の中で本当に、いつもいろんな音楽が流れていて、嬉しかったです。
私たちの歌作りもそうなんですけど、 あざとく、決めのある歌、それもあの身を切るような歌もいいんだけど、時にやっぱり 1 人は寂しいよねとか、こういう時に人がいてくれたらいいねって、そんなことを感じる。
私たちの歌作りととっても似たものを感じました。 本当にあったかい映画だなと思いました。今の時代だからこそ、皆さんにこういう “1 人じゃないよね”っていう、こんな映画を見ていただきたいです。今日は本当に皆さんと会えて、 そして私も参加させていただいて、ご縁に感謝いたします。ありがとうございます。」を感謝の意を表すと、
三浦友和も「緊張と不安のまま、その現場に行きました。 出来上がりが、素晴らしいです。私、最後の方にちょこっとだけいます。見逃さないようにしてください。 ありがとうございました。」と舞台挨拶を締めくくりました。
ついに、東京国際映画祭で日本お披露目となった「PERFECT DAYS」。
豪華な顔ぶれが勢揃いし、オープニング作品として映画祭を 盛り上げました。ドイツの名匠ヴィム・ヴェンダース、そして日本を代表する俳優、役所広司。
2 人の美しきセッションで生まれた 『PERFECT DAYS』は、フィクションの存在をドキュメントのように追い、ドキュメントとフィクションを極めた。ヴェンダースの最高傑作 と呼び声も高く、待望の公開が世界各国でいよいよはじまります。是非公開にご期待ください。