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無職日記 #8

ここ数日青空というものを全くみていなくて、
突然雨が降り出したりやんだりをくりかえしている。
雨のない日もどんより曇り空で、
もしや群馬だけ先に梅雨入りしてしまったのではと思っていた。
でもそんなこともなかった。どっこい今日は晴れている。
群馬の晴れは水色で、薄い雲が多い気がする。水分が多いのかな、蒸し暑いし。
長野の空はからっと濃い青だった。

昨日今日と祖母が手術のために入院していた。
手術といっても大きな病気ではなく、ここ最近ずっと痛がっていた足を治すためのものだという。近年どこそこが痛いと言っては小さい手術を繰り返しているので、我々家族としては日常の延長というか、さして大きなイベントとして捉えてはいなかった。
歳をとっていく以上どこかが痛むこと、もう若くないのだからそれが完治するのは難しいということ、を訴え続ける母と、
ここが痛いと訴えても話を聞くだけであそこの医者は何もしてくれない、近所の誰それがかかっている別の病院はすぐ薬を出して手術もしてくれる、と病院をいくつも変える祖母の間の話し合いは平行線である。
およそ1泊2日の短期入院とは思えない大荷物で祖母は入院していった。母は呆れていたが、多分旅行気分なんじゃないのかなとわたしは思った。
食事や身の回りの世話をスタッフが甲斐甲斐しくやってくれて、家とは違う窓の外の景色を見ながら、家とは違うベッドで寝る。半径5キロくらいの狭い狭い世界で生活している祖母からしたら、非日常を味わえる絶好の機会でウキウキだったんじゃなかろうか。
今朝帰宅してから祖母はずっと眠りこんでいる。ほんとは何もしたくないんだろうな、とほんとに何もしていないわたしは思う。
NHKを見ながら朝食を作って食べて、お昼を作って食べて、昼食を取ったらすぐ夕食の献立を考えて、昼下がりには早くも用意し始めて、夕食を食べてお風呂に入って寝る毎日。以前は午前中に近所のパークゴルフがあったのだけど、コロナの影響か無くなってしまった。
でもこんな日常の繰り返しでも、家事すらやらなくなったらいよいよ認知症が進むばかりだから、嫌々でもやってもらうしかない、と母は言う。
このなぞるだけの日々のリピートに、すでにわたしはうんざりなのだけど、だとしたら人間はなんのために生きているんだ、と考える。やることがないと人は要らない壮大なことを考えてしまう生き物だ。食べて眠る、その繰り返しだけでも別に生きていくことだけならできるのになあ、と。

というかこんなこと書いてないで別の書きたいことがあったのに!
物思いにふける日々は続く。

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