音楽ストリーミング再生に対する「根拠なき罪悪感」を無くしたい
結論:
ストリーミングでも、アーティストによっては、CDよりも還元される場合があります。
SBTWの音楽を聴いてくれる人達には、変な誤解をせずに聴いて欲しい。
そう思って、ストリーミングを理解するためのポイントを書きました。
ポイントは2つ。
①再生した人全員から、収益を受け取れる
②ストリーミング収益が、CD収益を超える地点がくる
この2つを理解することで、ストリーミング再生に対する「根拠なき罪悪感」が無くなれば幸いです。
SBTWの音楽は、安心してストリーミングサービスで聴いてください。むしろガンガン使ってください。
▼ストリーミング
ここでは主にApple MusicやSpotifyを指し、その他SBTWが聴ける全てのストリーミングサービスをその括りとします。
※違法なアプリは除く
それでは進めていきます。
1.はじめに
このnoteはレーベルやマネージメントに所属していない、「自主バンドSailing Before The Windのリーダー」として書いた内容になります。SBTWに限った話です。
なぜ限定するかというと、収益構造と考え方はアーティストによって異なるからです。ストリーミング歓迎のバンドもいれば、CDで買ってくれた方が利益になるバンドもいるでしょう。会社が絡んでいると、事情はより複雑になると思います。
したがってストリーミングの是非や、「何が(どちらかが)正しいか」の議論はしません。というか、できません。正解は1つとは限らないし、いつまでも同じとも限らないからです。
とにかく今回のnoteは、全ての主張に「SBTWにとっては」をつけて読み取ってください。もし誰かの主張に反論してしまっている箇所があれば、ごめんなさい。それは「SBTWにとっては」当てはまらなかっただけです。ご理解ください。
※たとえばストリーミング関係の記事でありがちなのが、Taylor Swiftのような"世界的アーティスト"の売上をもとに話を進めていること。
"Taylor Swiftにとっては"そうなのかもしれませんが、ぼくら規模の自主アーティストとは収益構造も違うわけで、ときに現実離れしています。
必ずしも全てが相互に当てはまるわけではないのです。今回の内容が当てはまらないケースもあります。
2.実例紹介
※既にSBTWについてご存知の方は、3へ進んでいただいて構いません。
SBTWは【CD・ダウンロード・ストリーミング】全ての面で恩恵を受けています。そのため、どれを否定する立場でもなく「全てにYES」の立場です。
■CD
大阪のCDショップ礎では、3月にリリースしたEP「Revised Standards」が月間チャートで1位になりました。
ちなみに現在、SBTWのCDを入手できるのは礎だけです
(CUBEさんいつもありがとうございます!)
■ダウンロード
今年リリースした2作品は、それぞれリリース日に国内メタルチャートで1位&5位になっています。
■ストリーミング
「Revised Standards」を配信開始した4月に、Spotify月間リスナーは3,200人に到達しました。リリースから数ヶ月たった今も、アベレージ約1,500人となっています。
Apple Musicでもリリース日に国内メタルチャート入りしています。
このように、CD・ダウンロード・ストリーミング、それぞれの良さを経験してきました。今回のnoteは、一通り自らサービスを体感した上で書いています。
3.ポイント
前提:SBTWは完全に自主でやっています。そのため、ストリーミング収益に対して「〇〇の取り分が何%」みたいな振り分けは発生しません。
①再生した人全員から、収益を受け取れる
ストリーミングの強みは
「規定*以上再生した人全員から、収益を受け取れる」こと。
*例えばSpotifyは30秒以上の再生で"1再生"と数えます。
好みじゃないと収益が発生しない(買ってもらえない)CDに比べて、明らかに対価を受け取れるハードルが低い。
むしろ、この方がちゃんと「対価」になっていると思う。好みを判断する段階の、「音楽を聴いたこと」自体にお金が発生していますからね。
ストリーミングなら"試聴からも"対価を受け取れる、といえば分かりやすいかもしれません。
※再生単価について
SBTWの場合は、
Spotify:約0.4円
Apple Music:約0.9円
くらいになっています。この再生単価は毎月変動(0.1程度の範囲)するので、目安です。
今回は詳しく掘り下げませんが、たとえばSpotifyから得たい収入が決まっていれば、逆算して必要な再生回数を算出することも可能です
(例:月〇円欲しいなら△回程度の再生が必要)。
②ストリーミング収益が、CD収益を超える地点がくる
CDは売れた後に収益は発生しませんが、ストリーミングは収益化され続けます。つまり、「ストリーミング収益が、CD収益を超える地点」がきます。
例:SBTWの「Sanctuary EP」1枚(1,000円)をもとに、話を進めます。
1枚購入後にどれだけこのCDが再生されたとしても、バンド側の利益は1,000円のままから変わりません。
一方、1人がストリーミングで同じEPを聴き続けた場合、収益は1円からスタートするもののずっと上がっていきます。
仮に再生単価をApple Musicの約1円(計算を分かりやすくするため)として、Sanctuary(5曲収録)1日1周再生を1年間続けた場合、
▶5曲(5円)×365日=1,825円
1年でCD1枚の利益を超えます。仮に再生単価をSpotifyに合わせても、2年目には1,000円を超えます。このまま3年4年~と続いていくと・・・。
こうして期間を長くとらえていくと
「ストリーミングがCDの利益を超える地点」がきます。
つまりストリーミングとCDどちらがアーティストに還元されるかは、どのタイミングで判断するのかによります。
話をシンプルにするため、ザックリな部分はありますが、限界なく収益を生み出す可能性を持つのはストリーミングです。
SBTWはこの「超える地点」以降を想定しているので、安心してストリーミングサービスで音楽を聴いてください。
※自主のように、収益が自分達以外に分配されない場合に限ります。
4.終わりに
SBTWのストリーミング再生に「根拠なき罪悪感」を感じて欲しくないので、書きました。
念のため何度も言いますが、CDで買ってくれている方を否定する趣旨はありません。現にSBTWはCDを出し続けていますし、デザインにも毎回こだわっています(キョウグさんいつもありがとうございます)。
なにより、ぼくは元々CD派です(学生時代に2,000枚ほど買い集めました)。CDで育った人間なので、そこへの愛着は分かります。ディスクユニオン国立駅前店(閉店)の特価セールがなければ、今の自分は存在しません。
ただ、今後さらにストリーミング化は進みます。フィジカル派のみなさんも、今回取り上げた構造は「事実」として理解しておいて損はないのではないでしょうか。
理解した上で、自分の好みに合わせて音楽を楽しむのがベストだと思います。
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今回はここまで!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
結びに、克哉君(SLOTHREAT)に感謝を送ります。2~3年ほど前、彼が「配信良いですよ」と教えてくれたおかげで、SBTWはストリーミング対応を始めました。本当にありがとう。
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