絶対に許さない
ニュースを何気なく見てたら実父からの性被害を実名顔出しで告発した主婦の人がニュースになってた。
凄まじい勇気だな。
有名インフルエンサーでもない一般人での実名顔出しの告発。
親族からは止められたと書いてあったが、それでも、今後自分のような被害が出ないようにとの覚悟の実名顔出しでの告発だった。
しかし、父親から真摯な反省が見れたら許そうと思ってたと書いてあったが、父親からは納得のいく反省が見れられなかったという。
会計士の旦那さんも素晴らしい。普通は隠したい被害だと思うが、奥さんの心を救うためにはこの方法しかなかったんだろうな…
性暴力は魂の殺人と言われるほど、被害者の心を長年苦しめる。
その加害者が実父となると、家ですら誰にも頼ることが出来ず、ずっと心の中にしまい込んでた許せない思いが一気に爆発してしまったのかも知れない。
俺の過去の悲しい思いは結局は相手を責めず、簡単に許してしまえるような被害だということだ。
相手を絶対に許せない被害は必ずあることも理解しなければいけないと痛感したニュースだった。
中東での紛争を報復の連鎖と言って安易な正義の気持ちで、
「どこかでどちらかが報復の連鎖を止めなければいけない」
そんな綺麗事を俺は言ってしまいがちだが、争ってる本人たちも止めたくても止めれないのだ。大事な家族が目の前で残酷に殺されて、相手が何の罪も感じず嘲笑ってたとしたら?
それを、許せるか?
絶対に許せない。
俺は甘えた人生だ。そんな思いになったことがない。だから呑気に人を簡単に許せるのだ。
この女性は適切な言葉ではないかも知れないが、本当に勇気があって男前だ。とんでもない勇気だ。
しかし、この告発すらも売名とか言う人間はいるんだろうな。有名人じゃないから、リスクの方が遥かに大きい告発なのにだ。
今までは隠すしかなかった家庭内での性暴力を無くすための社会正義でしかない勇気ある告発なのに、それでも誹謗中傷はされるかも知れないから、そこは本当に周りが守ってあげてほしいな…
旦那さんが本当に良い男の人で、
「彼女が私に対して、死ぬ日を1日1日伸ばして来たと出会った日に言っていました。それを聞いて、よく私と会うまで生きていてくれたなと、そんな思いでいっぱいです。後はよく今日まで頑張ってくれたなと思ってます」
彼女を救う方法は、過去を忘れるように優しくして、楽しい思い出で上書きすることではなかった。
俺には決して出来ない解決方法だ。
ぬるま湯で生きて来た俺では、この女性の心を救うことは絶対に出来ない。俺は実名顔出しで告発しようとしてたら、絶対に止めるだろうし、辛い過去忘れるように優しくする方法しか思い浮かばない。
しかし、この女性にとったら過去じゃなかった。現在進行系の苦しみだった。父親になんとしてでも罰を受けて償ってほしかったのだ。
俺の人生にはなかった、相手を絶対に許さない!という選択肢。
この女性もこんな気持ちにはなりたくなかったはずだ。しかし、絶対に許さなかった。そして、自分をさらに犠牲にしてでも、この社会で隠れるように苦しんでる性被害者に勇気を与えたかった。
俺は自分が本当に情けない。
今までの俺は相手に優しくすれば、自分が認められ戦わない自分が許されると思って優しい人間になろうとしてた。
卑しく弱い心だ。
この女性の実名顔出しの告発は、被害にあった女性を勇気づけるだけではなく、俺のような戦わない人間の心を激しく揺さぶる告発でもあった。
絶対に許さない。
絶対に引けない思いがあるのを改めて知った1日だったが、戦いから逃げて来た自分の甘さも痛感する1日でもあった。
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