革命的革命

「……は。ずいぶんと待ったぜ」

城は落ち、部下は死んだ。既に身を護るものは炎に消えた。

そして今、この場の戦いにも決着はついた。斬られた腹の感覚がない。

目の前に立つのは、かつて自分が復讐を背負わせた姫修羅。

それでも男は、不敵に微笑んだ。

「そっくりだあな、その眼。五十年前も見たぜ」

「そうか」

首筋に刃が当たる。

つ、と血が流れた。

「……最後に何か聞きてえことはあるか?」

言ってから笑ってしまった。これじゃ立場が逆だ。

「……なぜ、父を裏切った」

彼女の眼を見た。

焔に彩られた蒼の眼。かつて俺が憧れた男のものだ。

首筋の刃が震えている。

「――あァ。綺麗だったからよ――つい、な」

一瞬。閃光。そして、暗転。

そのわずかな間。親友の眼を幻視する。

『あ?イカれてんのか、てめェ』

『どう見えるね?』

『クソが。大真面目じゃねェか』

『娘、まだ4才だろうが』

『うん。でも、もう刻限なんだ。だから――頼まれてくれるね』

『――フン』

――まったく、とんだ貧乏くじ、引かされたもんだ――

卿の真意を私が知ったのは、反乱鎮圧より3年後。

『疫病』が再び私たちの国に現れた時だった――

おこころづけ