GO!こうはいたゃ。

「せんぱい!泳ぎにいこ泳ぎに!」

「……どこに」

「うみ?」

「今は2月だぞ……俺は死にたくないよ」

「なんで?さむいから?よわいから?」

「少なくともこうはいほど体力馬鹿ではない」

「むん。ばかにしましたね。ちょっぷ!おりゃ!おりゃ!」

「ぐわーやられたー」

「むふふーっ!せんぱいよわい!わたしつよい!」

「おお、つよいつよい。賞品をあげよう」

「やった!なにかな、なにかな?」

「じゃん!チロルチョコ~」

「え!え!やったー!!!チョコだーーーいすき!」

「ふっふっふ。袋詰めで貰ったんだ。喜んでくれると嬉しいな」

「この喜びをおどってひょうげんします!~♪~~♪」

「……(はぁかわゆ)」

「む?…………でもどうしてチョコなんてもってるの?」

「ぎく」

「…………せんぱい。きょう、なんにち?」

「…………ちょっと思い出せない」

「2月14日だったよね」

「そ、そうだったっけ?」

「せけんではいわゆるばれんたいんでーでは?」

「黙秘権を行使します」

「このちょこ……誰からもらったの?」

「えと……その……友達……」

「……おんなのこ?」

「…………」

「お ん な の こ ?」

「ソウデス」

「むむむむむーっっっ!怒りの舞いだよこれは!怒りの舞いだよ!~💢~~💢」

「で、でもどうせ義理だから!」

「せんぱいはおんなごころがわかってませんね」

「せんぱいは、栗が好きだったでしょう」

「え?あ、うん……」

「……このちょこ、マロンあじなんだよ。それだけじゃない!他に詰められてるのも、みんなせんぱいが好きなものの味ばっかり。おんなのこは、すきでもないひとにはここまできをつかいません!」

そうだよな

「…………」

「ぐぬぬ。……それに!そんな大切なチョコをよりにもよってわたしにわたすなんて!いかりをきんじえません!」

「すまん、確かにデリカシーがなかったよ」

おれはいつもそうなんだ

「ぐむむ。ホワイトデーにはきちんとその女性にお返しをするのですよ!」

「……ああ、きっとそうするよ。」

きっと、そうする。

「ま、反省しているようですし……この辺で勘弁しておいてあげます」

だから。

「……そういえば、わたしからもせんぱいにぷれぜんとがあるんでした。」

ああ、ああ。
知っている。

「……へえ、どんなのかな?楽しみだなあ」

「ふふふ。みておどろけ!じゃん!チョコ詰め合わせ!!!」

知っている。

「おお!これは驚いた!」

「……」

「どうしたんだ?微妙な顔して」

「もろかぶりなんだよ……なんで先に同じチョコ詰め合わせ貰ってるの……」

それは。

「……それは、」

「まあいいけどぅ…………とりあえず!もらってください!」

「本当にありがとう!嬉しいよ。」

――何度もらっても。何度、この時間を過ごしても。

「じゃあ、わたしかえります!せんぱい、またあした。」

「ああ。――またあした。」

そこに君は、もういない。


「もう、やめておけ。医者として……友人としての忠告だぞ」

「……うるさい」

「……記憶再構成装置は、所詮唯の記憶なんだ。いくら潜ってもあの子をどうにかできるわけじゃない。わかってるだろう?」

「……放っておいてくれ」

「…………なあ、あれはお前――」

「放っておいてくれ!!!」

「……すまなかった。今日のセラピーはこれで終わりだ。」

「…………ああ」

「…………それじゃ、お大事に」

「…………またくる」

「……一つだけ、きいてもいいか」

「なんだ」

「その……なんで普通に何事もなくあの子と結婚したのにこんなことしてるんだ?????????俺には意味がよく……」

「幼いころの嫁に会うためさ……」

「……」

「どうした?」

「いや……引くわ……」


おこころづけ