モニタースピーカー Focal Alpha Evo 50 レビュー
メイン環境のモニタースピーカーを変えました。
ずっとGenelec 8030だったのですが、
低音を突っ込んだ時にリアバスレフ特有の低音回り込み回避策を色々考えるのがしんどくなり始めてたこと
何でもタイトに気持ちよく鳴らし切ってしまう、ある種のまとまり感ゆえに、作曲時にジャッジを誤ることが少なくなかったこと
これらが理由で、価格帯的にはグレードダウンなのですが、Focal Alpha Evo 50というエントリー機種をメインに据えることにしました。
8030は一旦サブに回しています。
価格帯
Focalはちょうど大幅な値上げの局面にあって、この機種も現在の在庫は6万円台で売られているようですが、新価格だと10万円を超えるようです。そうなると評価はちょっと変わってくるのですが、少なくとも6万円台で買えるスピーカーとしては、予想以上に良いです。
音の傾向
まず、中高域の解像度や透明感は(もう少し安い価格帯ですが)ヤマハのHS5やMSP5 studio、JBLのLSR305Pmk2といったエントリー機種と比較しても明確に良いと感じました。また、価格帯が倍近く違う手持ちのGenelec 8030や、予備で使っていたFostex NF-01Aと比べても遜色はないです。
また、ツィーター〜ウーファーのクロスオーバーのつながりも、とてもスムーズに感じます。
低域は40Hz付近までしっかり伸びています。私の部屋の特性も影響していますが、背面のノブを12時にするとあまりにも低域がパワフルに出過ぎるので、絞り切って使っているほどです。
以下がSound ID Referenceで計測した補正前と補正後のグラフですが、低域を絞り切った状態でも相当下まで伸びているのがわかります。
※130Hz/200Hzの山は部屋の特性が大いに影響しており他のスピーカーでも同様になります
一方、低域の解像度は、というと8030に比べるとやや甘めな部分があり、そこまで高くないように思いました。正直、ルームアコースティックをちゃんとしていない私の6畳一間のブーミーな鳴りでは気にするほどの差異ではないのかもしれませんが、8030のタイトな低域に慣れていると差は感じます。
また、同社のフラッグシップであるSOLO6やミドルクラスのShapeでも同様の傾向なのですが、全体的に緩い感じがします。これは下まで出し切ろうとする低域の扱いとエンクロージャー剛性(のある意味不足)とのバランスでそうなっているのかもしれません。
ただ、この甘さゆえか、無理なまとまり感がなく分離も良いので、ルーズな曲はちゃんとルーズに聴こえるのが、ある意味狙い通りでした。
結論
低域が出過ぎるので補正を前提として使った方が良いと思いますが、スペックや鳴りとしては、「エントリー機種」然とした限界は感じません。気になっていた方は、新価格にならないうちに試聴をお勧めします。
最後に、上記に述べた内容も含めて長所・短所をまとめておきます。
長所
中高域の解像度がかなり高く透明感がある
クロスオーバーのつながりがとてもスムーズ
低域が40Hzまで伸びており現代的な音作りに適している
自動電源OFF機能がある
背面で高域・低域を調整できる
短所
大きい。HS5のようなサイズだと思って買うとびっくりします。
背面の高域・低域調整がクリック式ではない
ゲインの調整が2段階のみ(部屋の特性で音量の左右差が大きい場合に補正しかない)
低域がややルーズ