ブッツァーティ「タタール人の砂漠」★★★★★
小説、ブッツァーティのタタール人の砂漠を読んだ感想。
いつの日かタタール人が攻めてくる。この砦は最前線の防御拠点であり、ここに駐屯する我々は英雄となるであろう。
私もいつか同じ思いを持ってしまうのではないだろうか。環境や仕事がかつて思い描いていた理想のものでなかったとしても、これには意味があって重要な仕事なのだと思い込む人は日本の現代社会において、ひょっとしたら多数派を占めているかもしれない。
そう思い込まないとやっていけない場合もあるだろうし、苦しい環境に身を置いている自分を高潔な存在であると自負を持つことが決して悪いことだとは思わない。
この物語は私たちの終着点を描いていると思う。しかし、それが今なのか遥か先なのかは己の意思次第だ。
これから社会人になる学生や、今の環境に停滞感を抱いている社会人に、是非読んでいただきたい傑作である。
ブッツァーティ「タタール人の砂漠」
https://www.amazon.co.jp/dp/4003271912
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