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菊乃井で10年研鑽を積んだ若手が挑戦!開業前の料理人による試作会「OPEN前の台所」

こんにちは〜!美食倶楽部ライターのヒラヤマヤスコです!いきなりの余談ですが、最近燻製にハマりはじめました。燻製したらおいしい食材があれば教えてください。

さてさて、スタートして1ヶ月が過ぎ、順調にいろんな企画が進んでいるDAIDOKORO。

とはいえなんというかこう、DAIDOKOROの空間だけで完結することだけじゃなく、もっと外との関係や交流を産むような何かができたらいいなとは思ってたんですよね。多様な人が暮らす京都ならではの何かがないかな、と。
そんな私の思いを見透かしたかのような、新しいプロジェクトが始まったんです。
「OPEN前の台所」という取り組みです。

始まったばっかりなので細部はまだまだこれから調整するとして、ざっくり言うと「開業予定の料理人が、DAIDOKOROで料理の試作をし、ゲストを招いての試食会ができる」というもの。あの立地で、あのハコで、プロ向けの設備が揃っているDAIDOKOROだからこそできる創業サポートです。

料理人が自分でお店を持つことになった多くの場合、はじめてお客さんに料理を出せるのってプレオープン、もう営業開始前のタイミングしかほぼないんですよね。

チャレンジキッチンでは、料理をお客さんに提供して味などのモニタリングができ、またオープンするずいぶん前から提供を通した告知もできるというわけです。

日本料理のプロが「社員食堂」をテーマにランチ提供!

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ランチ時にDAIDOKOROに行くと、ランチプレートを盛り付ける料理人・酒井さんの姿が。

お皿にピシッと成形された鯖すしを乗せているのはこのプロジェクト第1号となる、酒井研野さん。酒井さんは京都の料亭「菊乃井」で10年の研鑽を積み、その後、渡米しNYの寿司屋「Shoji at 69 Leonard Street」、帰国後にイノベーティブ・フュージョンのレストラン「LURRA°」や、「京都中華」の代表格「京、静華」で料理の修行を積みました。すごっ。

そして満を持して、来春に岡崎で日本料理屋を開業予定です。

お店で提供するそのままの技術がたっぷり詰まった、ランチ&モニタリングの会を12月9日に開催されたので、行ってみました。

美食倶楽部のメンバーだというのを抜きにしても、【開業予定の料理人がお昼つくってくれる】なんてめっちゃ気になりますよね。

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酒井さんは30歳とかなりの若手。なのに、菊乃井別館「無碍山房 サロン・ド・ムゲ」の料理長もされていたんです。つまり若くしてめっちゃ実力ある人ってことです。

とはいえ和食料理店出身で独立される方って、40代くらいからが多い印象なので、かなりチャレンジしたんだろうなあ。素敵だ。

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お店はコース料理の予定ですが、この日は「社員食堂」をテーマにしたワンプレートランチ。

気になる献立ですが、

・鯖すし
・かぶと生姜のがり
・稲荷すし

・くるみ豆腐 山葵ジュレかけ
・柿なます
・海老芋の素揚げ
・鶏からあげ 実山椒ソース

・船場汁
・わらび餅

と、得意とする和食を中心に、鶏からあげなど中華エッセンスなおかずも。酸味のおだやかな鯖すし、柿や海老芋など旬の食材がたくさん使われた大満足の献立。鯖のアラからとった出汁のきいた船場汁のおいしいことおいしいこと……。

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盛り付けも美しく、料理人の手仕事の繊細さがうかがえる味でした。これでなんと1,200円だったので、オープン前のモニタリングを兼ねているとはいえめっちゃ破格!

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ランチ参加者もこの笑顔ですよ。

招待された人たちは全体で40人ほどいたのですが「これ、おいしい!」「これってどうやってつくってるのかな?」ポジティブな声がたくさん聞こえてきました。

そして、単に破格の料理を提供するだけじゃなくて、机の上にはきちんと匿名可能なアンケートフォームのURLが。お店のランクが上がっていくほど、料理の感想ってその場で直接言いにくくなってきますよね。ファミレスには「お料理はいかがでしたか?」みたいなハガキがあるけど、割烹にはない(笑)。食べた感想を正直に伝えられる仕組みはいいなと思いました。

料理人に聞く、「OPEN前の台所」の魅力

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さてさて。ランチタイムが終わって、酒井さんにお話を聞いてみました。

ー:大盛況のランチ、おつかれさまでした。DAIDOKOROの使い勝手はいかがでしたか?

酒井さん:広くて大きくて、とても使いやすいですね。プロが動きやすい動線だなあと思います。しかもコンベクションオーブンも真空機もあるじゃないですか……。すごく羨ましいです(笑)。

ー:ランチ、おいしかったです。いらっしゃった方の反応はどうでしたか?

酒井さん:たくさんの人が、料理を召し上がったあとに僕が調理しているカウンターまで来て感想を言ってくれることがうれしかったですね。アンケートフォームも、丁寧に書いていただいていました。料理の味付けや量など、率直な意見が多かったので、オープンまでによりよくなるよう調整していこうと思います。

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酒井さん:なかでも、料亭の味を引き継いだ和食の献立が、リアクションがよかったですね。

ー:がりに赤カブが和えてあったり、くるみ豆腐に食感の良い実がごろっと入っていたり、彩りや食感をアップさせる仕事が見えてとてもよかったです。ちなみにオープンする予定のお店は、どういったお店ですか?

酒井さん:オープンするお店はコースを中心に12,000円、お酒を飲んで15,000円くらいの価格帯を考えています。和食は長い日本の歴史のなかで洗練されてきたもの。その和食の魅力を比較的手の届きやすい価格帯で提供することで、30〜40代の若手が日本料理屋に通うキッカケのようなお店になればいいなと考えています。

ー:料理人がそもそも自分たちと同世代で、価格帯の敷居も高すぎず、しかもお店以外の場所でもこうして料理をつくっていると聞くと、若い人も行ってみたくなるんじゃないかな。

酒井さん:そうですね。料理人はもっと外に出た方がいいというのは僕も思っていて。いま個人で発信するツールがたくさんあるので、昔に比べてチャレンジする場もチャンスもたくさんあります。

ー:ほー!

酒井さん:慣例的に和食の料理人が独立するのって40代、50代の人も少なくないなか、幸いにもこうして30代前半で自分のお店を持てることになったので、外への発信はどんどんやっていきたいですね。DAIDOKOROももっと活用していきたいです。

ー:料理人の目線でいうと、どういったことができそうでしょうか?

酒井さん:ジャンルの違う料理人たちで集まって、パスタ対決とかやってみたいですねえ。それぞれがつくったもののうちどれが一番おいしいか、参加者にジャッジしてもらうような……。そのうちみんな燃えてきて、各々が食材の仕入れにスーパーに走り始めたりして(笑)。料理人も料理人じゃない人も一緒になってつくることができる場所なので、たくさん遊べそうです。

ー:うわー、それ、めっちゃいいです!!プロの本気遊び!お店のいい宣伝にもなりそうですね。

12月23日、酒井さんによる「OPEN前の台所」、再びあります!

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「本格的な日本料理がこの値段で食べられるんなら、行ってみたかったなあ」というみなさん、だいじょうぶです。酒井さんによるチャレンジキッチン、再びございます。

日時は12月23日の水曜日、時間は11:30〜14:00(LO)です。

気になる献立は、9日とまた趣向が変わって、鯛茶漬け定食!

・白ごはん
・鯛、胡麻たれ 塩昆布 ぶぶあられ
・卵豆腐
・くらげと山くらげの胡麻酢和え
・ブロッコリー、カリフラワー、鶏の豆豉炒め
・きのこと青菜のお浸し
・デザート

数に限りがあることと、新型コロナウイルス感染拡大予防のため、試食会は予約制になります。予約はこちらからお願いします。

価格は引き続き、1,200円。コク深いのに澄み切った出汁、隙のない繊細さなのに身体にスッと馴染むうまみ……。日本料理に馴染みのない方ほど、ぜひ来てください。日本料理の扉を、酒井さんがきっと開いてくれますよ。限定40食となっているので、お早めにどうぞ!





写真提供:
Eito Goto (STUDIO TOOZA)
instagram: @studiotooza


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