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世界の前田シェフがバスクからやってきた!

こんにちは!スペイン北部バスク地方で「美食倶楽部」に惚れ込み、その日本版を全国各地で模索している本間です。京都では謎の「ディレクター」という肩書きを自称して、企画的な役割を担当しています。

さて昨年某日、とてもとても嬉しいことがありました。本場バスクから、大好きな料理人、前田哲郎さん(以下テツさん)が京都の美食倶楽部に遊びに来てくれたのです!

世界のテツロウ

テツさんは名店「アサドール・エチェバリ」現役スーシェフで、エチェバリはレストランのアカデミー賞と言われる最高権威「THE WORLD'S 50 BEST RESTAURANTS」にて昨年3位に輝いた名店です。

自身でも、「テチュバリ」という名前で自宅を解放し、非公開のプライベートレストランで世界中のフーディー達をもてなす”世界のテツロウ”さんについては、こちらの記事が最高なので是非ご覧ください。彼の波乱万丈な人生や、「付け合わせのレタスサラダをつくるのに2-3年かかった」というガチストーリーまで、読みどころ満載です。

テツさんとは、数年前に現地で友人の紹介でお会いしました。バスクがお膝元の美食倶楽部、彼も当然よく知っている訳で、「日本に帰国するタイミングで遊びにきてください!」とお願いをしていたのです。

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(現地のテツさん宅にて。元羊小屋を改装した、山奥の石づくりの家)

そんなテツさんが現地ロックダウンの影響を受けてお忍び帰国していた昨年某日、忙しいスケジュールをぬって京都の美食倶楽部に遊びに来てくれることになりました。

もちろん来るだけではありません。京都ならではの素材と、テツさんならではの料理をみなで一緒につくるスペシャルセッションを企画。美食倶楽部の会員と関係者のみ、人数限定で開催することにしました。

京都のお出汁を使って一品を

メニューを考える際、僕から1つだけ「京都のお出汁とのコラボを見たい」とお願いをしました。そうしてテツさんをお連れしたのが、、

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数々の料亭や神社仏閣の御用達、明治から続くお出汁のプロ「うね乃」の釆乃元英さんです。

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鰹節や煮干しなどは基本的にスペイン料理では使わない素材ですが、釆乃さんの説明に耳を傾けながら、入念な味見を繰り返すテツさん。マグロ節を使ってスープを仕上げることを決めました。

塊の熟成肉を仕入れる

テツさんの勤めるエチェバリもそうですが、バスクのレストランにおいて、定番中の定番は向こうでは「チュレタ」と呼ばれる熟成肉のLボーンステーキです。

急遽決まったこの企画。お肉のプロとして思いついた中で僕が泣きついたのは、、

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京都北山の「焼肉南山」の楠本公平さん。全国各地の信頼する農家さんと関係を築き、直接仕入れたお肉を地下で自ら熟成させています。

自らもフランスで肉修行を行っていた公平さん。「ヨーロッパのあの感じのお肉にぴったりのものがある」とさばいてくれました。

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選ばれたのは、十勝の若牛を20日ほど熟成させたお肉。これがテツさんの手でどのようなステーキになるのか…期待は膨らみます。

さながらバスクの美食倶楽部のように

こうして食材を集め、いよいよ料理セッションの開始です。が、「何より先に乾杯」が美食倶楽部スタイル。

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バスクらしく、シードラ(りんごの発泡酒)で。バスクからシードラを輸入しているインポーター/ソムリエの馬場さんに、現地のバル風についでもらって乾杯!(ていうか高っ!!!)

そのままテツさんの指示に従い、流れるように調理セッションへと突入しました。

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こちら前菜のピンチョス(楊枝でさしたバスクのおつまみ)チーム。手前に見えるのは、当日ご参加もいただいた滋賀の「みのり農園」さんのお野菜たちです。

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一番古いピンチョスと言われる、アンチョビと酢漬けの唐辛子とオリーブを楊枝でさした「ヒルダ」。(これはテツさん監修ではなくこちらで用意)

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こちらは付け合わせチーム。わさび菜やからし菜をちぎるだけなのですが、その指示に一同驚愕!

「先っぽの方だけで、この野菜の自然の形を表現できている部分を探してください」

美食倶楽部の運営チームの近藤さん。本業は八百屋なんですが、「いかに皿の上に『自然』を再現するか、そんな発想で野菜を見たことがなかった」と興奮気味に話していました。

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その野菜をあわせるのは、サバを使った一品。テツさんは指示を出すだけで、参加者がひたすら手を動かします。

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サバを、自身の油とを乳化させてつくったソースと野菜とビーツ汁でつけた瞬間漬物をあわせた一品(ネーミング不明)。ちなみに盛り付けたお皿は、京焼き「コトノハ」さんのもの。その作り手である清水さん自身が野菜をちぎっていたと言う贅沢!

そして最後は、お肉。

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ここはテツさんにお願いしましょう。

あえて骨つき、かつ周りを掃除しない状態で仕入れた塊肉が、流れるようにカットされスキレットに投入されました。

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席につかず、その場でみんなで指でつまんでいただきました。1人100g以上あったのに瞬殺。

「うおおおおお!」「美味いっ!!!」その場に歓声が轟いたことは書くまでもありません。

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そして気づいた頃には、開いたボトルが机の上に並んでいました…(左からシードラ、チャコリ(バスクの微発泡白ワイン)、リオハのクリアンサ(軽い熟成の赤))

料理人も農家も一般の人も、みんなが混ざる美食倶楽部

僕が実現したかった景色が、まさにそこにあった。そんな感動を覚えたスペシャルな1日が終わりました。

実現したかったのは、垣根のない場所。そこでは、料理人も、農家も、ソムリエも、器作家も、食べるのが好きな人も、大学生も、スタッフも……みんなが一緒に飲んで・作って・食べて・飲んで。そして楽しみながら、料理人の思想、食文化、食材の物語に自然に触れることができる場所。

「なんなんですか、これ!」
「本間が言ってる気持ち良さはこういうことか!」
「これまじヤバい遊びでしょ!!」
皆さんの笑顔や声に、まさに美食倶楽部、co-cookingの真髄を見た気がします。テツさん、参加してくれた会員の皆さん、美食倶楽部メンバー、ありがとうございました!

そしてここまで記事を読んでくれた皆さん、遊ぶのが難しい世の中が続きそうですが、感染対策を徹底しながら場を開いていきますので、是非会員になっていただき一緒に遊びましょう!

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(テツさんと運営メンバーで)





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