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○○○は世界の欺瞞を見抜く

音楽の話をしようと思うのです。
音楽の話と、そのもう少し先の話を。タイトルの理由まで、しばしのお付き合い。

好きな音楽ジャンルは?

まずは肩の力を抜く話から。
あなたはどんな音楽ジャンルが好きですか? 以下から選んでみてください。

・クラシック
・ポップ
・ラップ
・ロックンロール
・ブルース
・インディ
・ヘヴィメタル
・ジャズ
・サルサ
・カントリー
・レゲエ
・エレクトロニカ

……では。
浮気相手専門の出会いサイト『ビクトリア・ミラン(Victoria Milan)』が男女ユーザー6500人以上に好きなタイプの音楽を聞きました。ここから発表された、言わば「浮気する人が好む音楽ジャンル」のランキングが以下だそうです。

01. ジャズ 19%
02. サルサ 14%
03. ポップ 13%
04. カントリー 12%
05. ラップ 9%
06. クラシック 8%
07. ブルース 6%
08. レゲエ 5%
09. ロックンロール 5%
10. エレクトロニカ 4%
11. インディ 3%
12. ヘヴィメタル 2%

あくまでネタ的ですが、皆さんの浮気度(?)はいかがでしたでしょうか。

『メタル脳』

バカバカしくも、ちょっと面白いですよね。
この話、どこから仕入れたかと言うところで、本題です。

私がこの話を知ったのは、脳科学者の中野信子さんの本『メタル脳』(KADOKAWA)。
ヘヴィメタルという音楽ジャンルの魅力や脳への影響、メタル好きの特性、社会に存在する意義などが書かれています。

https://www.amazon.co.jp/dp/4048961241

例えば、先の「浮気」と「音楽ジャンル」ではヘヴィメタルが最下位。つまりメタルファンは浮気しづらいかもという話がされます。中野さん自身、これは「学術研究ではないため、ひとつの傾向」と書いていますが、面白いネタだと思います。
この手の小ネタが少々と、学術的な話、何より著者のメタル愛がひしひしと伝わり、さらに、11のメタル・バンドを見開きで見せる構成(わざわざ!)。
メタルファンでなくても、読めるはず。

ちなみに私もメタルファンではありません。基本はロック好きなので、メタリカやモトリー・クルーあたりを「多少聴いた」程度です。

ポピュリストへの嫌悪感

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さて、この本で一番心に残ったのがメタル好きの特性でした。

「突然有名になった人や、声高に自らの思想を叫ぶ人、大多数に等しく人気がある人に対して強い嫌悪感を抱き、なんとしてもその魅力の正体を暴きたい気持ちが生じる」というメタルファン。
出版当時(2019年1月)のポピュリズムの台頭の話から、なんでもかんでも「頑張ります!」と言うアイドルに「本当かよ?」と疑うメタルファンの傾向につながり、それらはなぜだろうと展開されます。

なぜですかね?
以下、長めですが引用します。

ただ音楽というものは、メタルであれロックであれ、少なからず衝動に近い感情から発生したものですよね。思考や計算から入らず、自分の強い思いや感情を爆発させたいから楽器を手に取り、曲を奏でるというアプローチを取るわけです。
そこには、採算を度外視してでも、自分の信じるものを追求する「潔さ」があります。だからこそ、それとは対極にあるものとして、社会で圧倒的多数の支持を獲得しているポピュリストに嫌悪感を持つのでしょう。

この文章、とてもかっこいい。そのとおりだろうと思います。Hell Yeah!

メタルと○○○

ふつふつと湧く衝動が根底にあることは、音楽にとって大事。
いや、物事を作るのに大事じゃないだろうか?

だから「メタル」が、他の何かマイノリティなもの、あるいは立場の弱いものに置き換わっても、これは成立すると思うんです。

例えば、以下ではどうでしょう。

ただ“芸術”というものは、“絵画”であれ“陶芸”であれ、少なからず衝動に近い感情から発生したものですよね。思考や計算から入らず、自分の強い思いや感情を爆発させたいから“絵筆”を手に取り、“土をこねる”というアプローチを取るわけです。
そこには、採算を度外視してでも、自分の信じるものを追求する「潔さ」があります。だからこそ、それとは対極にあるものとして、社会で圧倒的多数の支持を獲得しているポピュリストに嫌悪感を持つのでしょう。

私は絵を描くわけでも、器を焼くわけでもないですが、あながち間違っていないんじゃないかと思っています。

「○○○は世界の欺瞞を見抜く」

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これが書かれているのは、『メタル脳』の第4章「メタルは世界の欺瞞を見抜く」の中です。
この章タイトルも「メタル」が何かに置き換わってもおかしくないですよね。
「アートは世界の欺瞞を見抜く」とか。

元の本から、言葉だけを抜き取って、だいぶ一人歩きさせていることをお断りと、お詫びをします。

でも、自分が愛した何かが、マジョリティに対する幾ばくかの飲み込めなさを緩和してくれたことって、あると思うんです。
そして、その何かがマイノリティであるほど、「信じるものを追求する『潔さ』」が心の支えになったりすることも。

「世界の欺瞞」にのうのうとしていることの気持ち悪さ。
あなたには、世界の欺瞞を見抜く○○○はありますか?


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