人生に影響を与えてくれたもの【表現者:さき】
今回のテーマをきいて、真っ先に思い付いたのは「演劇」だった。ひきこもりで、やりたいことも何もなかった私に目標をくれたのがそれだったから。なのでその事について書こうと思い、文字を打ち込もうとした時、ふと別の事が脳裏に浮かんだ。
それは、私がまだ演劇、お芝居に興味はおろか、まともに触れたことすらない時の思い出。「人生に影響を与えたもの」を改めて思い返した時に、それが思い付いたという事は、きっと私にとって紛れもない「影響」のひとつなんだと思う。
絵を描く私に声をかけてくれた図工の先生
演劇への想いはこれまで幾度となく綴ってきたけど、そもそも、私がこんなに物事に熱中するきっかけを与えてくれたのはなんだったのか。それについて綴っていこうと思う。
まずは好きな食べ物、なりたい夢、着たい服。そういった物は成長する度に変化するものだし、それ経てその人は知見を広めていく。そんな中でも、私が物心ついたときからかわらないのが「趣味」だった。
私は昔からよく絵を描いていた。幼稚園の休み時間がはじまればすぐにお絵描き帳をひらいてクレヨンで線をひいていたと思う。絵を描くのに理由はなく、ただただ楽しかったからだと思う。
その性格は小学校にあがっても変わらず、図工の時間に作業がおわるとすぐに自由帳を開いては絵を描いていた。そんなときに声をかけてくれたのが、当時の図工の先生。この人との出会いは当時の私にとって衝撃的だったんだと思う。
先生が話してくれた美大の進路は好きなことで道を切り開く方法で
個性的な授業を組んでくれる先生にすぐに懐いた私は休み時間も図工室にいっては先生に絵を見せたり、逆に先生の作品の話を聞いたりするのが日々の楽しみだった。
ある日、先生が私に自分の卒業した美大の話をしてくれて「さきちゃんも絵を描くのが好きだったら、そういう学校に進んでみたら?」と一言添えてくれた。いままでは絵を描きたいから描いてただけの私はびっくりしたと同時に「好きなことでそんな風に道を切り開くことができるのか」と気づかされた。当時はわからなかったけど、今思えばそれがとても嬉しかったのだと思う。
それからは、「もっと上手くなりたい」「こんな絵をかいてみたい」と明確に意思をもって絵を描くようになった。こんなにひとつの事に熱中するのは生まれてはじめてで、時間が経つのもとても早く感じられた。この時に、ひとつの事に打ち込む楽しさ、集中力が培われたのかもしれない。
あの時培った熱中する姿勢は今でも変わらない。もし先生に会えたら伝えたいこと
その後、転校したことで、私は演劇と出会い今の道を選んだ。結局先生が言ってくれた美大に進むことはなかったし、絵に携わる仕事に進むということはしていない。それでも、あの時に培った「熱中する姿勢」は今でもかわらないし、それがお芝居に変わっただけ。
今でもリラックスする時間には落書きするくらい絵を描くことは好きだ。最近では自分が出演する舞台のフライヤーや、グッズのデザインに関わらせてもらう機会も頂くことがある。これは全て、図工室での出来事がなければ絶対に来なかった未来だと思う。
その先生は今も図工を教えているのか、何をしてるのかは全くわからないけれど、もしもその先生にあえたら、「まだ絵をかいてますよ。絵をかきながらお芝居してます!今は紙と筆をつかっての表現ではなく、体を使って表現してます!」と胸をはって伝えたいな、と思う。
(編集:響あづ妙)
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