Hallelujah by Leonard Cohen
今日、朝早くショッピングセンターへ行った。
買い物を済ませ、立ちくらみがするからとふとベンチに腰を下ろした耳に、名曲「ハレルヤ」が聞こえた。
そろそろクリスマス。旧約聖書のモチーフが散りばめられているのでこの選曲だったのだろう。
でもそのときなぜか、わたしは少し涙を零さずにはいられなかったのだ。さしたる理由もないというのに。
いつか聞いたことがある
秘密の和音(コード)が存在すると
ダビデが主に捧げたという和音
でも、あなたは音楽なんて興味がないよね
それはちょうどこんな風に
第四音、第五音、短調で降りて長調で上がる
"ハレルヤ"を唱える困惑した王
ハレルヤ
ハレルヤ
ハレルヤ
ハレルヤ ※
あなたの信仰は厚かったけれど
それを証明する何かを探していた
水浴する彼女を見てしまったあなたは
その美しさと月の光に圧倒された
彼女はあなたを椅子に縛りつけ
王座を打ち砕き、髪を切り落とした
そして彼女はあなたの唇から
"ハレルヤ"を引き出した
※
ベイビー、わたし前にもここにいたみたい
この部屋を見たことがあるし、この床を歩いたこともある
そう、あなたと知り合う前にひとりで住んでいたから
そしてわたしは、凱旋門の上で翻るあなたの旗を見た
愛は勝利のパレードなんかじゃない
それは冷たく壊れた"ハレルヤ"だ
※
昔わたしに教えてくれたことがあったでしょ
いったい何が起きているのかを
でも今は何も見せてくれないんだね
思い出して、わたしがあなたのなかに身を落ち着けたときを
一緒にやってきた聖なる鳩と
ひと呼吸(いき)つくたびに唇から漏れた"ハレルヤ"を
※
おそらく、神は天にいるんだろう
でもわたしが愛から学んだことは
あなたより拳銃を早く抜く奴を撃つことだけ
そしてあなたが夜に聞いたのは叫び声じゃない
それは光を見た人の声じゃない
冷たく壊れた"ハレルヤ"なんだよ
ハレルヤ
ハレルヤ
ハレルヤ
ハレルヤ
人によって解釈の大きく異なる歌だが、わたしはこの曲が好きだ。
ジェフ・バックリーという人の有名なバージョンをぜひ聴いてみて。
クリスマスの祝い事にはあまりにも苦く重苦しく思えるが、キリスト教の伝統が根底にある欧米ではむしろこの時期だからこそ歌われるのかもしれない。
唇から漏れるのは愛の苦悩なのか、それとも瀆聖なのか。
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