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「雑草(michikusa)」


踏切が鳴るたびに  君は 

立ち止まり 足元の道草を指さし

「この花はミミナグサ 
 
 あれはツメクサの花なの」

と教えてくれる


水たまり ひとっ跳び 

君の振り向いた 微笑は 

カタバミの花のよう

つまずいて うつむいた 僕に 

さりげなく 手を添えて 並んで歩く



「空が青いわね」

・・・雲が速いよね・・・

そんな他愛ない会話が

君のやさしさ



弱いままで、僕はいいですか?

人を押しのけて 生きたくはない


強いふりして 自分をだまして 

幸せですか、と 

道端の花が笑った


キュウリグサ


ひび割れた アスファルト
 
君は 隙間から咲いている 

空色の花見つけ

「この花はキュウリグサ、まるで
 
 ワスレナグサみたいでしょ、

 素敵でしょ」


踏まれても 踏まれても

花はくじけずに 咲くんだね 

うらやましいな・・・

つまづきを 持て余す 僕の

手を取って 握りしめ 

足早に歩く



「空が高いわね、 

 風がさわやかね、」

君のやさしさに 

黙ったままの 僕を見て



「雑草という名の
 
 草はないの!」だと
 
 君は立ち止まり 僕を見つめて

「どんな草にも 名前があるように

 あなたはあなた、
 
 他の誰でもない!」


弱いままで、僕はいいですか?

人を押しのけて 生きたくはない

強いふりして 自分をだまして 

幸せですか、と 

道端の花が笑った


ヒメスミレ


作詞・作曲 増田達彦(2021年)         

天秤座CD「わすれもの 1976~」5曲目

copyrightⒸ2021 Tenbinza(天秤座),Tatsuhiko Masuda