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『できる日本語中級』第19課の準備

「科学の力」が社会で果たしている役割を考える

 『できる日本語中級』がすごい、と感じるのはタイトルです。タイトルを考えるとその課のゴールに導かれる(ような気がします。)19課は、「科学の力」。まず科学って何だろう、現代社会においてどんなふうに定義づけられているのだろうと問いました。

「科学」と「技術」は違う?!

 今回は、NHKの『視点・論点』の「科学を担う若者たちへ」(東京工業大学栄誉教授 大隅良典)から読みました。大隅氏によると、「科学」は知的好奇心から発見を楽しむことであり、「技術」は人間が欲する(便利さ、有益さ?)目的のために科学の知識を使って人工的に創造することで、「科学」と「技術」を分けて捉えたいとのことでした。なるほど、あぁ、だから、なんだかごちゃごちゃになるのか、と思いました。

 “役に立つとは何か”ということはあまり真剣には議論されていないように思うのです。何か便利なものを作ること、病気を治せる薬を開発すること、企業で利益をあげることでしょうか、実は何が役に立ったかどうかには長い時間をかけた検証が必要です。便利だと思ったら、あとで害があったり、すぐに役に立たなくなる例が沢山あります。私は科学を役に立つという基準で評価してはいけないと思うのです。純粋に知の広がりを楽しむ余裕のある社会が必要だと思います。そもそも人生は役に立つことだけを追求している訳ではありません。
素晴らしい音楽や絵画に感動したり、文学を楽しんだり、スポーツ競技の美しさに感動するのと同じように、私は科学も文化の1つだと考えて欲しいと思うのです。

なるほど~と思いました。ちょっと広義な解釈かもしれませんが、どんどん工場で便利なものを量産する代償に大気汚染や水質汚染を引き起こしたというのも「便利さが引き起こした害」になるのかも、と思いました。ともかく、私はこの大隅氏の捉え方、考え方に基づいて「科学」を捉えようと思いました。「科学の力」は、「(科学によってもたらされた)発見の喜びや技術」として捉えてみようと思いました。
 『視点・論点』は毎日NHKで10分、いろんなテーマについてわかりやすく論説してもらえる番組で、録画をしておいて、関心あるテーマのものは視聴した後でHPで内容を再確認しています。19課のテーマとして、浅川智恵子氏の『誰一人取り残さない社会を実現するために』も興味深い内容でした。あと、『時論・公論』もよく見ます。

「技術」について批判的な視点に立って考える。

 「科学の力」によってもたらされた、「技術」の素晴らしい点、課題となる点について話題となっていることを調べておこうと思います。ともすると、あれもできる、これもできると「技術」の光の面のニュースばかり検索してしまいそうですが、それってどうなんだろう?例えば環境問題から考えて、とか、倫理的に、・・・といった違った視点から捉えて考えてみることを準備としてしておこうかと思います。

ゴールのできる!に向かって

 最終的なゴールを「科学」によってもたらされた「技術」の素晴らしい点と課題について考える、ということを頭において、19課を進めていこうと思います。ニュースにアンテナを張って、私自身も考えながら、そして学生たちの関心の方向も聞きながら、・・・いよいよ、今週からスタートです!

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