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映画「Dr. コトー診療所」🥲純の憂鬱

ドラマを観ていなかったので、映画も特に気に留めていなかった。

数日前、吉岡秀隆が、初めて出演したバラエティ番組と、先週号の週刊誌で、インタビューに応じた話が興味深く、これまで知らなかった、役を降りた素の顔が魅力的で、映画館に行く気になったのだ。

バラエティやインタビュー嫌いの彼が、"座長"の責任感から重い腰を上げたプロモーションに、ピピっと反応したわけである。

観終わって、ああ、いい映画だった、という感慨は残念ながら無かった。

役者は揃っている。泉谷しげる、小林薫、時任三郎、柴咲コウ、筧利夫、大塚寧々、堺雅人、大森南朋、神木隆之介、藤田弓子…

途中で脚本、演出が腑に落ちなくなった。

五島医師が深刻な病を得たことを、周囲は知らない。台風の夜、次々と運び込まれる患者に対処している最中、意識を失って床に倒れる…若い助手は看護士を呼ぶこともせず、駆け寄ることもない。カーテンの向こうには、瀕死の患者を案じて、中の気配を伺う大勢の住民がいる。この辺りの流れはよく分からなかった。

しばらくして、意識を取り戻し、起き上がるとすぐに他の患者の手術を始める??? (そんなことしていいんですか?) そして途中朦朧としながらも手術が成功すると、次に彼が向かうのは…。これから観に行く人がいるかも知れないので、ここまでにしておくことにしましょう。

一昨年、シリーズ1から最後まで一気見した、アメリカのドラマ「ER 緊急救命室」では、凄まじい危機が幾度もあったけど、ずっとリアルだった。

良かったのは、吉岡秀隆の今が見られたこと、与那国の真っ直ぐ続く道を、白衣の裾をはためかせて電動自転車で往診に回る姿が、爽快だったこと、患者とのやり取りにほっこりしたこと、そして中島みゆきの「 銀の龍の背に乗って」が聴けたこと。

シリーズのファンには、懐かしい人物たちの、その後の物語、として楽しめるかも知れない。そう、同窓会のような感じ。ドラマを観てない者には、そうした楽しみ方は出来なかった。

心温まる物語として、もっと素直に楽しめれば良かった。

映画とお蕎麦とジャズはセットになっている♪
シェフによる 暮れのテーブルのしつらえ🍂


     🤭     😌     😅

気を取り直して…🩺

阿川佐和子が聴く子役時代からのエピソード

倉本聰(「北の国から」脚本)
倉:  本どうだった?
吉:     つまんない。
倉:    胸に響かない?
吉:    響きません。
  …倉本氏は、脚本を書き直した。吉岡18才

杉田成通 (「北の国から」演出 )
吉:  小さい頃は大っ嫌いでした。何度もリテイクするから、撮影が伸びて、遠足も運動会も行けなくなって、よく泣いてました。でも、僕が反抗期になった時に、一番理解してくれたのは杉田監督でした。

渥美清(「遙かなる山の呼び声」で初共演)
「男はつらいよ」で、緊張してセリフが出てこないでいると、「満男、今お前は、こういうことを言いたいんだろう?」と代わりに言ってくれた。シリーズ初めての出演時、隅で遊んでいると…

渥:   僕のこと覚えてる?
吉:   はい。
渥:   北海道で会ったもんねえ。君は何?ずっと役者やっていくの?
吉:   いや、嫌です。
渥:   こんなところで死んでいくのは嫌か。可哀想に、一生やっていくよ」       吉岡11才

阿:  嫌がっていた子役がいろんな人に鍛えられて、少しずつ心を開いていったんですね。結局辞めずに続けるんだから…
吉:  いやあ、予言していましたもん、渥美さんが。

高倉健(「遙かなる山の呼び声」で共演 吉岡10才)
「北の国から 初恋」が放映された頃、夜中にバイクを乗り回して帰宅。何時でもいいから電話するようにと高倉からの伝言を受けて深夜に電話…

高:  「初恋」素晴らしかった。ただ、こんな時間まで男の付き合いもあると思うけれど、家族を心配させちゃいけないよ。とにかく一度コーヒーでも飲もう。
吉:   はい。             吉岡17才

黒沢明(「八月の狂詩曲」監督)
黒:   吉岡!
アリが歩くシーンをどう撮るか、大人達が相談中のところに呼ばれて…
黒:   見てみろ。アリ一匹に大の大人がこんな夢中になってんだぞ。面白いだろう?
…ひとつの映画をみんなで作る面白さに目覚め、スタッフの仕事を手伝うようになる。 吉岡21才

バラエティ初出演 (12.16  MC松本人志)

吉:  次の作品は、これまで以上でないと超えられないと思うと、現場に行くのがいつも辛い。昔の作品を評価してくれるなら、ずーっとそれを観てればいいじゃん!(かなり🥃が進んでいる)

吉:   仕事になんか本当に行きたくない。
松:   今もできたら帰りたいの?
吉:   帰りたいです!🤣

吉岡の問いに応えて、松本人志が自らのモチベーションの上げ方、仕事への構えを語る…(👍🏼!)
吉:  わかりました、腑に落ちました!高倉健さんも同じようなことを言ってくれました。映画を撮るのは、旅をするようなものだ…いい仲間と旅をしなければ、と。ありがとうございます!
松:   えっ!高倉健が?僕と同じことを❣️😇

筧利夫 泉谷しげる (「コトー…」で共演)
沢山お飲みになられましたね、と番組終了後、スタッフに声を掛けられて…
吉:  だって飲まなきゃやってられないんだもん💢
筧:  吉岡センセイ、キレ気味になると面白いんだ。
泉:  (撮影現場では)みんな吉岡を燃えさせようとしていたよ。

松:  今日はどうでしたか?
吉:   初めてのバラエティ…学ぶことが沢山ありました。もう二度と出ることはないと思いますが。🤣

端々に、父親・黒岩五郎(田中邦衛)に悪態をつく純、寅さんの破茶滅茶を迷惑がりながら憧れる満男が顔を出す。

「北の国から」や「男はつらいよ」の、浮かない顔の子供は、演技以前の素の顔だったか。

嫌だ嫌だと沈みながらも、周囲の大人達の言葉や思いをちゃんと受け止めていて、50代になっても口からするりと出てくる。緊張してしばしばセリフが出てこなかった寅さんの甥っ子・満男と同様、今も耐え難い緊張感で、新しい現場に臨んでいる役者を、錚々たる面子が愛してやまなかった理由がわかる。

役者が自ずと放つ光への評価と、本人の自己肯定感の落差が纏わせる憂いが、吉岡秀隆ならではの魅力なんだと納得。

それにしても、役者をやることに、こんなにもネガティブで繊細な吉岡秀隆の資質を、子供時代(デビューは4才)に見抜き、ここまで引っ張って来た数多の映画人たちの情熱も、またすごかったんだなと思う。

倉本聰に脚本を書き直させた純君は、この脚本に文句を言ったろうか。演出家にゴネる場面はあったろうか。いつか本音を聞いてみたいと思う。

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