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株式会社ヘリオス

バイオベンチャー好きの私が、好き勝手に完全なる主観《個人的な想い》でバイオベンチャーを語っていくnoteです。


今回語る「株式会社ヘリオス」様は、2011年にiPS細胞由来網膜色素上皮細胞移植による加齢黄斑変性治療法の実用化を検討して作られたバイオベンチャーです。(2015年にマザーズに上場)

事業内容

①iPSC再生医療品について
・眼科分野
HLCR011:(他家iPS細胞由来網膜色素上皮)対象疾患は、滲出型加齢黄斑変性で、2013年から大日本住友製薬と提携し、現在共同で治験開始に向けて準備中。
HLCR012:(他家iPS細胞由来網膜色素上皮)対象疾患は、萎縮型加齢黄斑変性で、2018年から米国立眼病研究所と共同研究開発。
・肝臓分野
HLCR041:対象疾患は、尿素サイクル異常症や肝硬変。iPS細胞から作製された細胞から臓器のもとになる立体的な器官原基を作製し、肝臓移植の代替になるような方法を、2014年から横浜市立大学と共同研究。
・がん免疫分野
HLCR061:遺伝子編集技術により特定機能を強化した他家 iPS細胞由来NK細胞を用いて、固形がんを対象にした次世代がん免疫細胞療法を2020年から研究・開発中。

《iPSC再生医療品を見た個人的な想い》
 滲出型加齢黄斑変性は、抗VEGF薬の盛り上がりを見るとまだまだ市場はありそうだとは思いますが、臨床試験が始まってない状態なので、まだ何とも言えないですね。萎縮型加齢黄斑変性は治療薬が無いので、研究が進むと良いなと思っております。iPSC再生医療品は、まだ道のりは遠くという感じなので、体性幹細胞製品でまずは何とか製品化して、その利益をiPSC製品の研究・開発費にできれば良いですね。

②体性幹細胞再生医療品について

・HLCM051
米国Athersys, Inc.(アサシス社)が創製した幹細胞製品MultiStem®は、ヒト骨髄由来の細胞製剤で、2016年にライセンス契約を締結。
日本での脳梗塞に対する開発・販売権を取得し、TREASURE試験(プラセボ対照二重盲検、第II/III相試験)実施中。また、日本での急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に対する開発・販売権を取得し、ONE-BRIDGE試験(第II相試験)を実施中。

《体性幹細胞再生医療製品を見た個人的な想い》
 ヒト骨髄由来の体性幹細胞及び他家由来(健康成人由来)の再生医療等製品と言えば、テムセル(JCRファーマ、対象疾患:急性移植片対宿主病)が思い浮かびますね。ここ最近は、患者由来の細胞を使っての再生医療等製品の承認が多いですが、安定的に早急に治療が始められるという点では、他家由来の再生医療等製品がもっと出てきてもいいのではと個人的には思っていますので、頑張ってほしいですね。

 HLCM051は、2017年に脳梗塞を対象とした先駆け審査指定再生医療等製品、2019年にARDSを対象とした希少疾病用再生医療等製品として指定を受けています。なお、PMDAのHPに新再生医療等製品の承認品目一覧があるのですが、平成30年度に承認された4品目中2品目が希少疾病用再生医療等製品として指定を受けて、1品目は先駆け審査指定再生医療等製品として指定を受けていますね。

 ただ、皆様ご存じの様に、先駆け審査指定再生医療等製品と指定を受けていた、サンバイオの他家骨髄由来間葉系幹細胞SB623の2019年の状態を考えると、何らかの指定を受けたからと言えども……ということなんでしょうね。

取締役について

代表取締役 鍵本忠尚
取締役   松田良成、Michael Alfant、成松淳、樫井正剛、
                Gregory A.Bonfiglio、Richard P. Kincaid、David W. Smith
               
《取締役を見た個人的な想い》
 代表取締役の鍵本様は、九大医局(眼科)→アキュメンバイオファーマ起業→2011年2月、株式会社日本網膜研究所(現:株式会社ヘリオス)を起業。創業者かつ代表取締役という方で、バイオベンチャー起業2社目なのですね。取締役は、弁護士、会計士を揃え、ノバルティスファーマの執行役員を務められた樫井様も入っておられますね。そして、海外のファンドや投資顧問会社運営経験者を迎え入れていますね。

 2018年から海外オフィスを開設し、2019年には海外募集による新株式の発行(資金調達)も実施、バイオ投資に特化したファンド設立を検討しておられる現状を見て、iPSC再生医療品を製品化するには、莫大な資金(そしてその資金を集められる人材)が必要なのでしょうねと考えさせられました。

最後に

 2回目は、株式会社ヘリオス様に対して、完全なる主観《個人的な想い》を語らせていただきました。
 下に書いているのは、株式会社ヘリオス様の社名の由来なのですが、素敵ですよね。ぜひ、苦難の道を乗り越えて、世界に先駆けてiPSC再生医薬品分野での承認第一号を目指してほしいですね。

 社名「株式会社ヘリオス」はHelios(ギリシャ神話の太陽の神)とHeal(癒す、治す)の二つの言葉から構成され、難治性疾患治療の新たな希望の光と、疾患に侵された患者さまを癒していきたいという願いが込められています。
 この想いのもと、一人でも多くの患者さんに一刻も早く治療法を届けるために、人体組織のあらゆる疾患領域の再生医療に対して技術開発を行い、iPSC再生医薬品という形でiPS細胞技術を具現化し、世界に先駆けて承認第一号を目指します。

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