【読書感想】『学校では教えてくれない生活保護』


『学校では教えてくれない生活保護』


「最後のセーフティネット」生活保護。しかし一方で「不正受給」というキーワードや「ナマポ」といった蔑称により、その制度そのものが強く不当な非難に晒されているのもまた事実だ。

 そんな生活保護に対する偏見や無知を解きほぐし、より的確に把握するのに大きな役割を果たしてくれるのが本書『学校では教えてくれない生活保護』だ。

 例えば、この本を読むまでは筆者自身も、生活保護は車を持っていては受給できないと思い込んでいた。だが本書を読めば、一定の条件下ならば車の保有を認められるということが分かる。

 また、韓国・ドイツとの生活保護制度との比較も興味深い。より合理的かつ人々に寄り添ったこれら両国の制度は、日本も見習うことができるだろう。

 更に、外国人と生活保護について取り上げた章では、昨今の入管問題などの背景なども取り上げられていて、分かりやすく説明されている。

 人生はどうなるか分からない。もしものときに、最低限度の命をつないでくれる生活保護に対する理解を深めてくれる一冊。全国の学校の図書室に置いて欲しい本だ。

 生活保護を行政側の視点から描いた漫画『健康で文化的な最低限度の生活』シリーズも併せて読みたい。


『健康で文化的な最低限度の生活』

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?