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自然とそうなる

千利休は無作為を大切にしたという。
極めて自然であること。

叶うはよし
叶いたがるはあしし

「南方録」

利休の生きた頃
ヨーロッパでは地動説が唱えられていた。
宇宙の中心は地球ではない?

天動説においても地動説においても
長く惑星軌道は真円であると考えられていた。
そして惑星は等速運動をする。
完璧な、円の運動。

惑星が等速円運動をするために
たくさんの円を組み合わせる。
周転円、離心円、エカント・・・

できあがった軌道モデルは
機械仕掛けの歯車が
複雑に組み合わさって回るような
グルグルギチギチ
1周するのも一苦労。
それでも本当の惑星軌道とは誤差が出る。
叶いたがっているのだけど。

惑星軌道は真円ではないし
惑星の速度は一定ではない。
ケプラーの法則第一第二。

わずかに中心からずれた太陽のまわりに
楕円が描かれた軌道モデルは
飾り気なくシンプルで
惑星は速くなったり遅くなったり
コルセットを脱ぎ捨てたような
極めて自然である感じ。
本当の惑星軌道とピタリ合う。
叶う。

おおらかな惑星系。
自然とそうなる。

利休が黒楽茶碗の中に見た宇宙は
どんなだっただろう。
きっとお茶室の中では
中心なんてどうでもよくて

今、ここ。ただそれだけ。
あとは自ずから成る。

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