マガジンのカバー画像

恐怖ノート

15
私の実際に経験した恐怖体験。
運営しているクリエイター

記事一覧

夜叉神峠の亡霊〜夜明け〜10(了)

ポケットを弄りありったけの金を握り出して祠に置いた。 そして、おでこに合掌を合わせ、擦り…

「夜叉神峠の亡霊」〜跳躍〜9

我々は完全に追い詰められていた。 だからと言って、警察から逃亡しているわけでも、下手を打…

「夜叉神峠の亡霊」〜撤退〜8

村田は男の忠告を聞かなかった。 「今すぐ静かに山を下りなさい……」 結果的に私も村田と同じ…

「夜叉神峠の亡霊」〜遭遇〜7

私たちは夜叉神峠小屋を目指し重たい腰を上げた。立札に左と書かれている道を、書かれた通りに…

「夜叉神峠の亡霊」〜洗礼〜6

獣道は想像をはるかに超えて過酷なものだった。息は乱れ、呼吸法は己の鍛錬不足を痛感するほど…

「夜叉神峠の亡霊」〜入山〜5

家出をしてから3日目の朝になった。 村田と2人でホテルをチェックアウトしたのが早朝6時。店は…

「夜叉神峠の亡霊」〜甲府ステーションホテル〜4

眩しい陽射しがカーテンの隙間から射していた。部屋の埃が、差し込んだ陽射しの強い太陽光に、まるで群がるようにうねうねと密集している微生物のようだ。エアコンが相当に効いていたから真夏ということを一瞬忘れた。 ビジネスホテルのツインルームで村田は腕を組んで眠っていた。私と言えば、酷く気持ちが悪く、ヨタついた足取りでユニットバスの便器に頭を突っ込んで、昨夜に摂取した茶色い水分をしこたまぶち撒いた。 喉が痛い。胃酸が信じられないほど苦く、うがいをすると水が甘く感じられ、その味がしばらく

「夜叉神峠の亡霊」〜甲府駅〜3

甲府駅に到着した私たちが目指すのはホームセンターだ。 電車の中で揃えなければならない必要…

「夜叉神峠の亡霊」〜準備〜1

1988年の夏、私と村田はある計画を実行した。 あの夏に体験した不思議な出来事は32年を経った…

「夜叉神峠の亡霊」〜出発〜2

前日は興奮して眠れなかった。生まれて初めての家出に緊張と不安が無い混ぜに絡まった。 計画…

「サイドミラーに映る死神」

16歳になり、真っ先に原付バイクの免許を取得した。村田とは別々の高校になったが週に2度の空…

「廃アパートの呪詛」後編

私の涙目の訴えで、どうにか村田と浦川を説得することができた。 とはいえ、2人ともそうとうに…

「廃アパートの呪詛」前編

村田と遊ぶようになって2ヶ月が経った。 その頃から私の身体にはある異変が起ころうとしていた…

「洋館の妖しい住人」恐怖ノート 其乃二

運動会は無事に終わった。 優勝は逃したものの、あの日々の充実感は記憶に刻まれている。 村田とは、あれ以来、大袈裟ではなく毎日のように一緒に遊んだ。 彼と仲良くなって1週間後、私は家に招かれた。 村田の母親が一度私に会いたいと言ったらしい。私は緊張した。 村田家は、金沢では指折りの富豪であると同時に、ゴーストハウスという噂もあった。 万引き達人でクラスメイトの白井は、小学校の頃に、一度村田の家に行ったことがあると言った。 その時は、リビングに通されたかと思うと、そのまま帰らさ