「夜叉神峠の亡霊」〜甲府ステーションホテル〜4
眩しい陽射しがカーテンの隙間から射していた。部屋の埃が、差し込んだ陽射しの強い太陽光に、まるで群がるようにうねうねと密集している微生物のようだ。エアコンが相当に効いていたから真夏ということを一瞬忘れた。
ビジネスホテルのツインルームで村田は腕を組んで眠っていた。私と言えば、酷く気持ちが悪く、ヨタついた足取りでユニットバスの便器に頭を突っ込んで、昨夜に摂取した茶色い水分をしこたまぶち撒いた。
喉が痛い。胃酸が信じられないほど苦く、うがいをすると水が甘く感じられ、その味がしばらく