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「だから何なの?」を黙らせる美しさ。吉田篤弘『あること、ないこと』感想

・「今の世界は本当は夢なのでは?」や「自分の存在も誰かが作った虚構なのでは?」みたいな疑いを抱かせる作品はいっぱいある。この作品は、その疑念の「種類」すらあいまいになって「………ア゚?」となってしまった。

・「夢」と「現実」、「作品」と「自分」の境目が、読んでいるうちにあいまいになっていく小説だった。というよりこれは小説なのだろうか?まぁ無粋な疑問は置いておこう。

・「おれって何なんだろう」「この本何だったんだろう」「おもしろかったけどよく分かんない」という記憶喪失みたいな感想しか出てこない。自分の体重が軽くなった気がする。痩せたとかではなく、軽い物質の人間に生まれ変わったみたいな。

・まだ三冊しか読んでないが、吉田篤弘さんの作品はどれも「意味」への固執がないなぁと感じる。あっと驚くトリックや、世の中に対するクエスチョンがある訳ではない。しかし「だったら何なの?」という声を黙らせる美しさがある。

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279字

びんちょんが読んだ本の感想です。

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