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「海外の医学部は出るのが難しい」についてチェコ医学部から

こんにちは、ヒトミです!




チェコの医学部にいると、日本の人からよく聞かれるのが、




「海外の大学って卒業するのが難しいんでしょう?」




というものです。



日本の人の言う「海外」は大体アメリカで、「卒業が難しい」というのは日本人の標準からしてという意味と思うんですけれど、



今現在5年間チェコにいる私(やっと最高学年になりました。6年めです。)からするとチェコも日本人にとって例外なく厳しい、と言うのが実際の感覚ですかね。。



日本人の標準以前に全体的に下級生を見てもそうですし、
実際私の学年(外国人コース)は1年生の頃80人くらいいたのが2年生で40人まで減りました。





半分!((((;゚Д゚)))))))





(私の学校はちょっと特殊なシステムで、1年次落第で退学というのがあります。詳しくは過去の記事をみてください)


1年生で単位落とすと退学、以外にも日本人にとってチェコの医学部を卒業するのが難しい!と感じる要素を、紹介します!


1: 在留カードの更新が大変

外国人としているがゆえに付きまとう問題です。。
学業とは関係ないですが、ミスがあったり下手すると学業にも支障が出てきます。

日本のパスポートはEU圏外・シェンゲン協定外なので、
基本的には在留カードという、
長期滞在許可ビザみたいなものが必要です。(3ヶ月以内の観光目的の滞在ならノービザで旅行はできます。)

チェコで発行される在留カードは長くて1年間有効なので、1年以上いる場合は毎年更新します。



この在留カードの更新手続きが結構ストレスなんです。。

なぜかというと、
合計3回役所に自分で予約を入れて行かなくてはならないのです、!



それぞれ順番に説明します。

1: 各種書類集め

  • 現地の銀行口座預金証明書:残高によってははじかれます。毎年基準が変化します。

  • 居住証明書(学生寮だったら、来年も(在留期限の日まで)そこに住むという管理人のサイン付きの証明書):寮の管理人は平日でも2〜3時間しか受け付けてないし、土日はもちろんやってないので、授業を休んでとりに行ったり、授業の後走って受付してもらいに行ったりします。

  • 収入証紙 2500CZK :大体15000円くらい。郵便局で買います

  • 申し込み用紙:外国人警察公式ホームページでPDFダウンロードして自分で紙を用意します。用紙は全てチェコ語と英語です。

2: 指紋登録&証明写真撮影

3: 在留カードの受け取り

一見「こんなんただ行けばいいじゃん」と感じる方もいると思いますが、

予約を入れるのが遅れたり、書類不備などで手続きが停滞すれば、申し込んでから半年以上経ってやっと更新できた!、、と思えば来月また更新じゃん。。

みたいなことが起こって、気づけばずっとそれに時間を取られていたなんてことにもなります。

それにチェコでは早くに閉まる場所が多いため、

銀行や郵便局など日本では「やっていて当たり前」の場所に行くのに時間を気にしないといけなかったり、

そもそも用紙をコピーするコピー機を探す必要があったりします。
(私は勉強でも使うため現地の家電屋さんで数年前に買いました。その前は大学でお金を払ってコピーしていました)



チェコでは不法滞在外国人の取締が厳しめなので、在留カードが更新前に切れてしまうと少し怖くなります。



放置していると「直ちに更新手続きをしなさい」と手紙が外国人警察から届くこともあります。



役所の予約を忘れたりすっぽかしてしまうと再度予約をとっても一ヶ月後だったり、謝罪を要求されたりします。





勉強をちゃんとしていても、このことが生活や精神にストレスをかけることは間違いないです。


2: 授業が全部英語

まあ、これは英語に慣れてない状態の人と思いますが、
筆者も今までずっと日本で育ってきて、低学年、特に1年生の頃は英語を話すのに苦労しました。



聞くだけの授業だけではなく、
自分から発言したり他人とコミュニケーションしないといけない授業のが多いので、

聞く力はもちろん発信する力がないと最初は結構厳しいです。


試験も口頭のことが全体的に多いので、学んだことが相手につたわらなければ進級はおろか小さい試験も苦痛になっていきます。



英語がダメで諦めた日本人もちらほらみました。



これは特に日本人にとっては大きい部分かと思います。


3: 行動力が求められる

これも日本人が特に感じる部分と思いますが、自分から行動しないとできないことってここでは結構多いです。

例えば試験日の登録も自分でやりますし、
授業の振りかえや試験日を増やしてほしい時も教授のところへ交渉しにいきますし、
落とした単位をいつどこで受けるかも自分で必修科目を調べてスケジューリングします。


試験は1科目につき基本的に3回までやり直しが効くのですが、
学期中に全て終わらせないといけないので、それに間に合うように自分で作戦を練る必要があります。


学生課はあくまで生徒の要望に応えて登録など行う場所なので、

「どれを取ればいい?」とか「どうするべき?」みたいなものはものによれど、大概受け付けていません。


基本的に個人個人で進めていきます。



「単位取れてなくて、どうすればいいですか」と聞きにくる日本人の後輩はたまにいます。

そういうときは大体、「自分で調べて、学生課に登録してもらって」という旨を伝えます。
毎年状況が変化しますし、教授に直接いくのが最短ですし。




勉強の仕方も、マニュアルや攻略法がないので自分で試行錯誤しながら学習していく必要があります。
次で説明します!


4: ”過去問”が存在しない(あるものもある)

ほとんどの試験が口頭試験、と先述しましたが、
記述の問題に関しても毎年問題が変更されたり、足切りなど採点のシステムや問題の形式の割合が変わったりとなかなか一筋縄にいかず、


マニュアル通り楽々受かる、という科目はほとんどありません。



口頭試験の場合、先輩のノートが参考にはなりますが、それを試験でコピー&ペーストしてしまうとダメな時があります。



特に医学は知識のアップデートが必要だったり、教科書よりかはもっと臨床上の情報が求められたりするので。。。



最近は高学年の問題が前年度と変わっているものもあったので、そういうのがあると、簡単にはいかないですよね。

毎回しっかり準備が必要です。

これは特に医学部であるからこその点ですね!



まとめ

軽く4つほど紹介しましたが、いかがでしたか?



チェコで外人として生活するのは結構大変です。




少し前に(とは言っても最近ですね、、調べたらまだいっぱい関連記事があります)、
「海外医学部卒の日本人を日本の病院に受け入れるかどうか」という一風奇妙な話が医学界にあり、話題になっていました。(今もかな?)





大きなきっかけになった?のはALS患者安楽死の事件で、自称海外医学部卒の人間が関わっていたというニュースでしょうか。?




それとは関係なく「日本の高校を出て海外の医学部を卒業して日本に戻ってくる人は、日本の入試を経験していないいわゆる『チート』だから、ヤブ医者も増える。受け入れるわけにはいかない」という排他的な意見も一部医学界に蔓延っていて、
海外医学部卒の人間を受け入れない病院も多くあったそうです。

※現在は「海外医学部卒の人間も国内医学部卒の人間とおんなじ土俵で仕事できるようにするべき」という方向のようで、受け入れてくれそうな病院がちらほらあり迫害の心配もなくひとまず安心です。



私は感情的に言えば「自分達も相当苦労してEUの国家試験を通過しているのだから、それは受け入れてほしい。報われたい」と思うのが必然的と思います。





それに、帰国して日本で医師になるのが最終目的ではない人もいるので、

一括りに「日本に帰ってくる人は医学部入試を避けたいために逃げた奴らだ」と批判するのはあまりいい考えではないでしょうし(チェコの医学部も相当大変なのでそもそも”逃げ”なのかすら怪しいですが)、

「ヤブ医者が増える」という意見は、(実際たまにニュースになっているように国内医学部卒の医者も完璧ではないようですし)統計的な情報があってそういう発言をしているのか?というと少し変な感じがします。




感情論を完全無視しても、
現状、日本全国で医師数が不足していて、「どこどこ出身の医師だから」と文句言っている場合でもない気がしています。





とにかく人手を増やし、現場の負担を減らすことが、こちらにも国内の医師にも双方にとっていいことなのではないでしょうか?





こっちにきて医学を学ぶことが「チート」だったとしても、

医師になる夢を叶えるための一つの道であることのは確かなので、日本で医師になりたくてチェコの医学部に来ている人がいても、私は別になんとも思いませんし、
一緒に切磋琢磨頑張ろうね、としか思いません。



私はそもそも日本の大学入試に適応した頭を持っていなかったし、
とにかく医学を英語で学びたくて、でも英語ネイティブの国だとハードルが高いし、いろんな国から来た人がいるところに行きたいなと思ってチェコの医学部のEnglish Programに入学しました。





日本のお医者さんがそんなことを思っていたなんて想像してなかったし、

苦労しないで成果を得る=悪」な考えがまだ根強いんだな、とこのことについては少し残念に思いました。




(ほんと、自分のニーズに合う答えを出したのに、これのどこが悪いんだか。。。笑)





だからその後、とりあえずは同じ土俵で、となった際にはホッと一安心でした。




話が逸れてしまいましたが、

ざっとこんな感じで、
海外の医学部は、進級することすらとても大変です。




みんな母国を離れて頑張ってます。





伝わったら幸いです(^^)






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