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【神奈川のこと100】聖なる夜に歯笛吹いて(京都市/西京極総合運動公園~鎌倉市/カトリック大船教会)

まことに慌ただしいクリスマスとなった。

よってこれを書く。

この度初めて、母校、東海大相模陸上部の女子駅伝チームが全国高校駅伝大会に出場した。

場所は、都大路。つまり、京都である。

同部OBOG会事務局長で、母校の同窓会役員でもあるため、ちょっと体調を崩してはいたが、無理を押して応援に出かけることにした。

今夏、同窓会役員として、日帰りで阪神甲子園球場を訪れた時と同じように早朝、大船駅までカミさんに自動車で送ってもらい、京浜東北線で東神奈川、横浜線に乗り換えて新横浜駅到着。

6:33発の新幹線のぞみ号でいざ、京都へ。

11年ぶりの京都駅は、今夏の新大阪駅や梅田駅同様、外国人旅行客がたくさんいた。ただ、恐れていた寒さはそれほどでもなかった。

2つ下の陸上部の後輩でこれまた同窓会役員の内藤と京都駅で落ち合い、地下鉄と阪急電車を乗り継いで西京極総合運動公園へと向かう。味のある阪急電車の車両、そして、駅に響く独特のメロディ。いつまでも耳から離れないあの音階は、そう、関西人のDNAと共振するのではないかと思わせる。

やはり現場での観戦は感動の幅が違った。レース開始前に救護車や自衛隊の車、白バイが発車する場面に立ち会うことができたが、「ああ、これが全国大会か」と背筋がゾクッと震えた。こればっかりは、テレビ観戦では味わえまい。

結果は、47都道府県中の24位と、20位以内を目指していたチームとしては悔しさが残ったが、OB&同窓会役員としては、「よくやりました、ご苦労様」と選手や監督を純粋に労いたい気持ちで一杯であった。これから新たな歴史が幕を開けるはずだ。

レース終了後の選手たちのあいさつに目を細め、昼過ぎに快晴の競技場を後にした。

四条烏丸で内藤と一緒に昼食を食べたら、猛烈な眠気が襲ってきた。14:30京都発の新幹線に乗るも、のぞみの速度は眠ることを妨げる。小田原駅の通過と同時に席を立って、ドアの窓から神奈川の街を眺める。小田原、二宮、大磯、平塚、寒川、綾瀬、藤沢、そして横浜と県を横断し、新横浜駅に到着。

その足で、カトリック大船教会へと向かう。

そう、今夜はクリスマス夜半ミサがあるのだ。そこで、「聖体奉仕者」と、同教会の委員長として「初聖体証明書」の授与という重要な役割が待っている。

毎年12月24日の夜に行われるクリスマス夜半ミサは、一年で最も多くの人が教会にやってくる日でもある。コロナ禍で人数制限を敷き、半ドア状態のように閉じていた教会を今年、2023年は以前のように全開に戻す方針を取ったが果たしてどうなるであろうか。

結果は、以前のようにたくさんの方が来てくれた。聖堂は1階も2階も満員となり、「予想をはるかに上回る方がいらしたので追加の椅子を出してくださ~い」なんて野暮なことを先唱者が言わなくても、サッと、典礼係が椅子を出し、皆、聖なる夜を心を一つにして祝うことができた。

19時半、ミサは終了。朝、大船駅で5:33発の京浜東北線に乗ってから14時間が経っていた。帰りの湘南モノレールでボックス席の片隅に腰を下ろしたらさすがに疲れがどっと沸き出てきた。

モノレールの車窓から夜の鎌倉の街を眺めつつ、ぼんやりと今日一日を振り返る。早朝、眠い目をこすりながら自動車で送ってくれたカミさん、伝統の黒地に緑のユニフォームで都大路を疾走した後輩たちと彼らを導いた若き監督、裏方で支える部員たち、一緒に会場で声援を送った内藤、K先輩、応援金を寄付してくれた陸上部OBOGと陸上部ではない幾人かの同級生たち、耳から離れない阪急電車の駅の音階、帰りの新幹線で通過した神奈川の街、初聖体の颯(ソウ)君、拍手を送った大船共同体の兄弟姉妹、そのすべてが愛おしく思えた。

西鎌倉駅を降り、ひんやり冷たい風を頬に受けて家路を歩く。佐野元春のクリスタイムインブルーを口ずさみながら。

来年こそ、世界平和。


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