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「好き」を基準に選び取る

人が歌うのをみるとき、楽しそうに歌っている人に一番感動させられるな、とよく思う。
スポーツを観戦する時も、楽しそうにやっている人、苦しそうに頑張っている人、いろいろだけれど、楽しそうにやっている人には勝てないなあ、と思うことがよくある。

私は子どもの頃から洋裁が好きだったのだけど、「やるべきことをやってから、好きなことをしなさい。」とか「好きなことばかりやっていてはいけない。」という圧力の中で生きてきた子ども時代だったように思う。
現在の日本の子どもを取り巻く環境も、ほぼ変わらない。
「やるべきこと」を周囲から与えられ、それをやると褒められる。
好きなことばかりすると、叱られる。
それは大人になった今も、変わらない。

「好きなことばかりする」のは、そんなに悪いことなのか?

昨日も触れた、NHKの番組「ヒューマニエンス 40億年のたくらみー“天才”ひらめきのミステリー」の中に、気になるフレーズがあった。

ゲストの、将棋の田中寅彦九段プロのコメントより。
将棋を打つときに、いい一手を打てた時はとても気持ちがよく、うまくいかない時は気持ちが悪い。
それに対して、脳を専門に研究している田中啓治先生のコメントは、
直感に関わる大脳基底核が、情動を使いながら、最良の一手を選び取っているのではないかと。

また、ノーベル賞受賞者に共通して言えることは、自分が興味を持ったことにこだわり、そこに集中する力があるということであり、いわゆるIQの数値ではないという。


「気持ちがいい」とか、「楽しい」とかいう情動は、最良の選択をするシグナルであり得るのかもしれない。

仕事でも、楽しいと思えたり、好きなことであることが、最良のパフォーマンスへの道なのだと思う。

でも、「やるべきこと」とか「やらなければいけないこと」を中心に生きていると、「やりたいこと」とか「楽しいと感じること」が分からなくなってしまう。
ずっとやりたかったことを、やりなさい。」で触れた、「アーティスト・デイト」は、人が情動とともに大脳基底核を活動させ、最良のパフォーマンスをする力を取り戻すツールとなるのだろう。

教育や社会が、「好き」を基準に選び取ることができる方向に進んでいくことを、切に願う。

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