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店頭価格には収まり切れない、日本人の人件費

最低賃金の意味を知った日」で綴った出来事の続き。

この経験では、被雇用者としての立場から、フルタイム稼働月額¥18,000という賃金を違法なものとして捉えたし、自分が安く見積もられていると撃沈した。
ここでは、雇用者側からの見たこの¥18,000を、自分なりに分析して書き留めてみたい。

フルタイム稼働月額¥18,000という賃金を、当時の雇用者側からの状況で考えてみる。

私は、おおよそ100万円で販売するドレスの制作に関わった。
アトリエの立地からする月額家賃(地方都市とはいえ一等地)、光熱費、そして、素材の仕入れ値(すべて日本産で日本人の手によるもの)、そこで動く運送費など、ざっと見積もる。
さらに、私にかかった人件費を単純に、最低賃金時給×時間を計算して、経費として計上してみる。

それらは、100万円にはとうてい収まらない。
雇用者側の利益も全く出ていない。

そう、現状の日本において、100万円のドレスに対して、日本人フルタイム稼働月額¥18,000という賃金は、安くはないのだ。

ここに書いた100万円というドレスが非日常のものなので、それを日常に置き換えて想像してみる。
巷には、ファストファッションとよばれる安価な服があふれていている。
例えば、その同じ服を素材からすべて日本国内で生産するとしても、当然ながらその価格は成立しえない。

どうやってその価格を実現するかというと、海外での安い労働力にたよって成立しているといのは、周知のとおり。

私が、安く見積もられて悔しいと感じた仕事を、海外の労働者に担ってもらっている。

どの国に住んでも、どの地域に暮らしても、人と人としての、その関係性は同等であるはずなのに、経済格差と呼ばれるものを利用して、片方の利益や快適が守られているのは、どうなんだろう。

私はとても心地悪い。



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