パリで生のクラシック音楽を楽しみたい人へ。ここで聴けます
パリにご旅行なさる皆様、そして留学やお仕事、ワーキングホリデー等でパリにご滞在中の皆様へ。生のクラシック音楽、聴きたくありませんか?
ヨーロッパの大きな都市では頻繁にコンサートが行われていて、パリも例外ではありません。文字通り、毎日のようにコンサートが行われています。どこを探すかわかっていれば、情報を見つけるのは簡単です。会場のカレンダーを開けば、あれよあれよとすぐに公演が見つかります。
チケットを買うのが大変そう? 英語も対応していますのでご安心を。決済はクレジットカード対応ですので、日本のように現地でしか支払できないなんてことはありません。
チケットが届くか心配? 受け取り方法にEチケットを選べば、郵送で紛失されるかどうかなんて心配はご無用。もちろん取り置きが選択できる場所も多いです。
というわけで、「せっかくだし、パリに行くなら生でクラシック聴きたいなあ……」と思われましたら、ぜひここを調べてください! という会場をご紹介します。そして是非足を運んでみてください。2019年現在の情報です。
コンサートを、聴きたい!
という方のために、コンサートホールを3つご紹介します。ここで言うコンサートは、特別な演出がされておらず、演奏者が舞台に登場してそれを楽しむ形態のものを指します。
コンサートホールと併せて、ゆかりのあるオーケストラについてもお伝えします。というのも、オーケストラは限られた場所に根を生やすように活動していて、そうそうあちこち飛び回るものではないからです。
世界中をびゅんびゅん飛び回っているオーケストラもありますが、それってすごいことなんですよ。何十人分もの体と楽器を運んで移動しているわけですから。
1.フィルハーモニー・ド・パリ
パリ管弦楽団の本拠地。パリの北の端っこに、どどーんと立つ建物です。施設内には楽器博物館があり、お隣にはパリ国立高等音楽院があります。
ここにはフランス内外からさまざまな演奏家がやってくる、フランス屈指のコンサートホールです。人気な奏者が出演する日は、最大で2500席にもなる座席がびっしり埋まります。
ここを拠点にしているオーケストラは、3つ。
▶パリ管弦楽団
▶アンサンブル・アンテルコンタンポラン
▶レザール・フロリサン
パリ管弦楽団は、フルオーケストラ。アンサンブル・アンテルコンタンポランは、現代音楽や前衛音楽に特化したアンサンブル。レザール・フロリサンは、バロックオーケストラです。
レザール・フロリサンはツアーに出かけていることも多いのですが、前者ふたつは定期的にここでコンサートを行っています。
■フィルハーモニー・ド・パリPhilharmonie de Paris 公式サイト
2.シャンゼリゼ劇場
ストラヴィンスキー「春の祭典」の初演が行われ、スキャンダルになった劇場です。都会の真ん中にあり、最寄駅のアルマ・マルソー駅を出るとセーヌ川越しにエッフェル塔が見えて、ああパリにいるんだ! と思うことうけあい。どうでもいいか。
座席数は1905席ですが、一番安い席(5€)は、舞台がほとんど見えません。席を立ってこの見え方なので、座ると全く見えません。
ここを主な活動拠点にしているオーケストラは以下の2つ。
▶パリ室内管弦楽団
▶ラムルー管弦楽団
年に数回、シャンゼリゼ劇場で演奏会を行っています。
シャンゼリゼ劇場もフィルハーモニードパリと同様に、国内外からさまざまなオーケストラがやってきます。ウィーンフィルがパリ公演を行うときは、ここ。室内楽の公演もたくさんやっています。
年に数回オペラの公演も企画されていますが、オーケストラピットが小さいので、編成が小さな曲中心です。
日曜日はマチネコンサートが行われています。こちらは値段もリーズナブル、休憩なしでほどよい長さのコンサートを楽しむことができます。
■シャンゼリゼ劇場Théâtre des Champs Elysées 公式サイト
3.メゾン・ド・ラ・ラジオフランス
ラジオフランスの本部です。オーディトリウムとスタジオ104というふたつのホールがあって、あれやこれやコンサートをやっています。コンサートは収録されていて、ラジオで放送されるほか、YouTubeにもアップロードされます。
ラジオフランスお抱えのオーケストラは、以下のふたつ。
▶フランス放送交響楽団
▶フランス国立管弦楽団
このふたつのオーケストラは出張公演を行うこともありますが、基本的にはメゾン・ド・ラ・ラジオに拠点を置いていて、ここで定期公演を行っています。
月に一度、金曜の12時30分にLes Midi trenteというコンサートが行われています。Midi trenteは、12時30分というの意味。そのまんまです。フランス国立管弦楽団のメンバーが出演していて、時間こそ短いですがテーマの設定が毎度おもしろく、解説もしっかり丁寧で楽しめます。
オペラは?オペラはないの?
あります、もちろんあります。
オペラやバレエなど、演出つきのものを上演している劇場も、ちゃんとあります。オペラをやっている劇場を中心に、さらっとご紹介します。
4.パリ国立オペラ座
オペラを観たければまずここ。パリ国立オペラ座はオペラ・バスティーユと、ガルニエ宮、ふたつの劇場を持っています。
主にオペラ・バスティーユでオペラを、ガルニエ宮でバレエをやっている……と言われていますが、そうじゃないこともあります。
バスティーユはどの席に座ってもそれなりに舞台を見渡せますが、ガルニエ宮の安い席では舞台が全く見えないこともあります。そんなときは買うときに窓口の係りの人が「見えないけどいいの?」と確認してくれます。不安なときは確認したほうが無難です。
バレエの公演では、生演奏ではなく録音の音楽でで踊ることもあります。オーケストラの演奏は座付きのパリオペラ管弦楽団ですが、ごくまれに違うアーティストがやってきて演奏することもあります。
■パリ国立オペラ座Opera National de Paris公式ページ
5.オペラ・コミック座
パリにあるもうひとつの国立オペラ、オペラ・コミック座。こちらはラヴェル「スペインの時」、ドビュッシー「ペレアスとメリザンド」などが初演された場所です。年間10公演、時代もジャンルもバラバラな演目を取り揃えています。当たり外れはありますが、当たりはけっこうアタリです。お客さんに興味を持ってもらえるように、イベントも定期的に行われています。
座付きのオーケストラはいませんが、座付きの衣装工房があります。現在でも座付きの衣装工房を持っているオペラ座は珍しいのだそうです。
■オペラ・コミック座Opera comique公式ページ
6.シャトレ座
1862年からパリの中心部にどーんと構えているシャトレ座。コクトーが脚本、ピカソが美術、サティが音楽を手掛けた「パラード」が大スキャンダルを巻き起こしたのは、この劇場です。
2016年に工事のため休館し、2019年に再オープンしました。こちらではクラシカルな公演だけでなく、誰もが楽しめるような公演が企画されています。オペラもありますよ!
■シャトレ座 Théatre du Châtelet公式ページ
備考
いろいろな会場をご紹介してきましたが、ひとつだけ注意点を。フランス、夏になるとバカンスがあります。ほとんどのコンサートホールや劇場、オーケストラも、例に漏れずお休みになります。
だいたいは革命記念日の7月14日で、ひとつのシーズンが終わります。9月上旬に次期シーズンの幕が開けるまで、カレンダーは空白が続いています。夏休みにパリにいらっしゃると、残念ながらほとんど何もやっていません。
ちなみに、パリのエンタメ情報を一括で調べられるサイトもあります。クラシック音楽以外にも、ジャズやロックもカバーしていますし、演劇や映画なども含めたありとあらゆる公演の情報が詰まっています。
(でもちょっとジャンルが広すぎて情報が膨大なので、筆者は上記の会場をざっと調べてから、本当に何もなさそうな日だけ使っていました)
■ロフィシェル・デ・スペクタクル L'Officiel des spectacles
これで調べてみると、なにもないと思った日もなにかやっているみたいです。
パリに行かれた際は是非、生演奏、生のパフォーマンスに触れてみてください。きっと、特別な時間を過ごせるはずです。
(自分の話)
この記事の残りは、自分語りをするだけです。
筆者は3年間、パリ近郊に留学していました。1年目はどこでどんな公演をやっているのか全く見つけ出せず、合計2回くらいしかコンサートに行きませんでした。2年目と3年目は、それぞれ年間100回くらいコンサートに行きました。
最初はパリ管だけ。ほとんど毎週のようにコンサートをやっているので、毎週水曜日はパリ管を聴くと決めていました。だんだんラジオフランスにも足を運ぶようになりました。
偶然出かけたパリオペラ座管弦楽団のコンサートがあまりにも素晴らしくて、オペラ座にも通うようになりました。そんなこんなで、1週間のうちに7回もコンサートやオペラを観に出かけていたこともありました。
留学中、肝心の専門分野では全く実績を残せず、自己表現よりもお客さんになることに夢中になりました。いわゆる沼でした。帰国した今「年100回コンサート行っていました」という、そのことしか取り柄がありません。
留学を終えてさみしいことは、毎晩のようにオーケストラの音を聴けないことです。帰国して2ヶ月ほど経ちました。身につけた公演情報収集能力もそろそろ忘れるだろうと思い、noteを書きました。
わたしはもう毎晩パリの街を飛び回ることはありませんが、飛び回りたい誰かの役に立てたら嬉しいです。3年前のわたしもそうでした。おやすみなさい。