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食物繊維って何?

食物繊維とは、人の消化酵素では消化されない食物成分を纏めて呼ぶ名称で、主に野菜・果物・海藻など植物性食品に含まれています。

水に溶けない不溶性と、溶ける水溶性に分類され働きが違います。

不溶性食物繊維

成熟した野菜などに含まれ、糸状のもの、多孔質のものがあり、ボソボソ、ザラザラとした食感が特徴です。

不溶性食物繊維を多く含む食品穀類、野菜、豆類、キノコ類、果実、海藻、甲殻類(エビやカニ)の殻にも含まれています。

特性
保水性が高い
胃や腸で水分を吸収して大きくふくらみ、腸を刺激して蠕動(ぜんどう)運動を活発にし、便通を促進します。

繊維状、蜂の巣状、へちま状
よく噛んで食べるので、食べすぎを防ぎ、顎(あご)の発育を促すことで、歯並びをよくします。

発酵性
大腸内で発酵・分解されると、ビフィズス菌などが増えて腸内環境がよくなり、整腸効果があります。概して、水溶性食物繊維より発酵性は低い。

水溶性食物繊維

ネバネバ系とサラサラ系があります。

水溶性食物繊維を多く含む食品昆布、わかめ、こんにゃく、果物、里いも、大麦、オーツ麦などに含まれています。
こんにゃくの原料は水に溶けますが、食用のこんにゃくになると水に溶けません。

特性
粘性
粘着性により胃腸内をゆっくり移動するので、お腹がすきにくく、食べすぎを防ぎます。糖質の吸収をゆるやかにして、食後血糖値の急激な上昇を抑えます。

吸着性
胆汁酸やコレステロールを吸着し、体外に排泄します。

発酵性
大腸内で発酵・分解されると、ビフィズス菌などが増えて腸内環境がよくなり、整腸効果があります。

1日の摂取基準量

生活習慣病の発症予防の観点から考えると、成人では、食物繊維を一日24g以上、できれば1,000kcalあたり14g摂取するのが理想とされています。しかし、平成27年国民栄養健康調査によると、実際の摂取量は、20歳以上で一日に平均15.0g(75歳以上で一日に平均15.9g)しか摂取できていません。

 そのため、理想的な値と実際の摂取量の中間的な値をとって、目標量として成人男性は一日に20g以上(70歳以上は19g以上)、成人女性は一日に18g以上(70歳以上は17g以上)が設定されています。

食物繊維が不足すると?

食物繊維が不足すると、腸内環境の悪化によって便秘になりやすくなります。その結果、痔になったり、大腸癌のリスクが高まったりします。また、糖尿病などの生活習慣病のリスクも高くなります。そのほかにも、食物繊維の多い食品は、低カロリーの上に噛み応えもあり、食べた時の満足感も高いため、食物繊維の多い食事をとることで肥満も防ぐことができます。

 通常の食事では食物繊維の過剰摂取の心配はなく、むしろ、現在の日本人は、食物繊維が不足ぎみなので、意識してとる必要があります。

食物繊維が多く含まれる食品

食物繊維は、野菜類、穀類、豆類、きのこ類、いも及びでん粉類に多く含まれています。食品の中には、水溶性と不溶性両方の食物繊維を含む食品もあります。特に納豆は水溶性と不溶性の食物繊維がバランスよく含まれている食品です。食物繊維は種類によって生理作用が違いますので、不溶性・水溶性のどちらか一方を摂取するのではなく、さまざまな食品を組み合わせて両方をバランスよく摂取することが大切です。

野菜は生のままでは、かさが多く量を摂ることができないので、煮たりゆでたりしてかさを減らしたほうが効率的に食物繊維を摂取できます。また、精製度の高い穀類より、未精製の全粒粉や玄米などには食物繊維が多く含まれているので、これらを主食として食事にとり入れるとよいでしょう。


まとめ

食物繊維は消化されないので、エネルギーにはなりませんが、最近では食物繊維の重要性が見直され、五大栄養素に加え、第6の栄養素とまで呼ばれています。
その働きは様々で、
・小腸での栄養素の吸収の速度を緩やかにし、食後の血糖値の上昇を抑える。

・コレステロールを吸着し体外に排出することで血中のコレステロール値も低下させます。

・ナトリウムを排出する効果もあるので、高血圧を予防する。

・食物繊維は低カロリーで肥満の予防にもなるので、糖尿病、脂質異常症、高血圧、動脈硬化など、生活習慣病の予防に効果があります。

・水に溶けにくい不溶性食物繊維は、水分を吸収して便の容積を増やします。便が増えると、大腸が刺激され、排便がスムーズになります。

・有害物質を吸着させて、便と一緒に体の外に排出するため、腸をきれいにして大腸がんのリスクを減らしてくれます。

・どちらの食物繊維も大腸内の細菌により発酵・分解され、ビフィズス菌などの善玉腸内細菌の餌になるため、善玉菌が増え、腸内環境が改善されます。

この様に食物繊維にはこれだけの働きがあるのです。
必要性を理解して頂けたでしょうか?
食事では積極的に摂取していきましょう。

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