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BIGTANKマガジンは、年6回、偶数月に発行されるエンデューロとラリーの専門誌(印刷されたもの)です。このnoteでは、新号から主要な記事を再編集して順次掲載。バックナンバーの… もっと読む
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#motocross

もうだめだ。そう思った時、レースは終わる。たった一人で世界GPに立ち向かったライダーを支えたものとは何か。

予選落ちして悔しくて涙を流すライダーもいれば、何があっても涙をこらえ、悔しかったら練習を積んで強くなるだけ、と自分にハッパをかけるライダーもいる。こうして、悔しさと涙と練習の分だけ彼らは強くなっていく。「僕は貧乏なライダーだった。3本しかないモトクロスパンツは全部ボロボロで、そのなかで一番ましなのを決勝ではくんだよ」。 そんな時に出会った彼女が、実は英語を話せたということを知ったのはチャンピオンになってからだった。やがて彼を支えた本当の愛を知る。 「もうダメだ。じゃなくて

No.226より - 連載 レゴラリータ 「アッセンという街」 佐藤敏光

Toshi & Kayo のエンデューロ的コラム 第145回 Text & photo : Toshimitsu Sato 2019年のモトクロス・オブ・ネイションズは、オランダのアッセンで開催され、初めて開催国オランダが地元での優勝を成し遂げた。アッセンは、オランダの北にある町の名前で、ここにロードレースのサーキットがあり、ずっと昔からTTレースで有名なところでもある。TTレースとは、ツーリストトロフィーの略で世界選手権ロードレースが始まる前の名称なのだが、アッセンのロ

No.226から - ENDURO GP 最終戦フランス - 激戦は幕を閉じる

WESS(ワールドエンデューロスーパーシリーズ)に翻弄されるように、新しいフォーマットにチャレンジした2018シーズンの失敗を糧に、ENDURO GPは伝統的なエンデューロへの回帰を期して2019シーズンを迎えた。開催地も同様に、ここのところ続いていた拡大路線を改めてクラシックなスタイルのエンデューロが盛んな地域に絞って、いわば「立て直し」を図ったことになる。相変わらず、KTMグループの参戦はないが、落ち着きを取り戻したENDURO GPは、再び注目されるチャンピオンシップに

No.226から - Parc Ferme 起源についての諸説

都市間競走の時代 モーターサイクルという道具が発展するその黎明期においてどのような競技が行われていたか、それを探るには、まさに草の根をわけるような努力が必要である。確かなことのひとつは、オフロード、ロードレースという区別が無かったことだ。道路はもっぱら未舗装で、アスファルトが敷かれたサーキットも存在していなかった。 文 / 春木久史

No.226から - JEC FINAL - 終盤の接近戦

MFJ全日本エンデューロ選手権 R5/6 2019年11月30日~12月1日 福岡県・スピードパーク恋の浦 Photo & Report : ENDURO.J JECが九州で開催されるのは2010年の山都ツーデイズエンデューロ(熊本)以来。スピードパーク恋の浦に特設されたコースは、全体が約11km、その中に2つのスペシャルテストが含まれたもので、テストの合計タイムは1日あたり1時間強とボリュームのあるものになった。雨が降ると途端に難易度が高くなるという評判のコースでもあるが

No.226から - WESS 2019新チャンピオン - マニ・リッテンビヒラー

微笑む若き皇帝 WESS 2019 Champion Photos : Future7Media ひとつひとつ 慎重にクリアすることに集中した 伝統と格式あるハードエンデューロのゲッツェンロデオ。リッテンビヒラーは朝の予選から決勝レースを通じて、他を圧するパフォーマンスを披露した。その模様はレッドブルTVで生中継され、世界中のファンに新チャンピオンの誕生を印象付けた。数千人の観客が取り囲むポディウム。疲れ果て、これ以上は祝福の言葉を聞く体力すらない、という様子のリッテンビヒ

No.226から - 激怒するFIM委員 ヴィンテージエンデューロ - ISDEポルトガル大会より

Text : Hisashi Haruki  「ヴィンテージトロフィの連中はどうしようもない。今のままだったらもう2度と開催できない。彼らは成長しなければならない!」と、ポルトガルの審判員会議でFIMの役員は激昂したという。  曰く。

No.226から - 特集シックスデイズのすべて - 無名選手のシックスデイズ

彼が再びシックスデイズに挑戦すると知った時、少し驚いたということを告白する。今のISDEを完走するのは以前よりさらに難しくなっている。彼はそのことをよく知っているはずだ。ではなぜ? ごく普通のライダーがISDEを目指す、その情熱の根源を知りたい。 Text : Hisashi Haruki Poto : Masanori Inagaki ハンデに感じた事はないですよ 生まれつきですから 生まれつき右眼の視力がないんです。右眼だけだと1メートル先に誰かが立っているとしたら、

No.226から - 特集シックスデイズのすべて - たったひとりの完走者

ポルトガル大会、クラブチームクラスに参加した日本人選手、唯一の完走者となった真田治へのインタビュー。 Text : Hisashi Haruki Photo : Masanori Inagaki ISDEの全参加者のうち、3分の2を占めるのが実はクラブチームクラスのライダーだ。ナショナルチームが国旗にプライドをかけて戦う場であると同時に、ISDEは、世界中から集まるアマチュアライダーが、自らの実力を問う場でもある。 想像できなかったことは? このポルトガル大会に出場する

No.226から - 特集シックスデイズのすべて - ポルトガルのオーガナイズ

ISDEの開催地は毎年違っていて、百年以上の歴史があっても同じ地域が開催地になることは少ない。それが意味するのは、主催者はいつもISDEの運営には不慣れだということだ。 フランコ・アチェルビスのようなわずかな例を除いて…。 1973年に初めて欧州を出た ISDEは、FIMに加盟する各国協会が存在する国の持ち回りで開催されるものだ。かつては、ワールドトフィの優勝国が、その4年後の開催権を持つ決まりになっていた。そのため、同じ国で何年も続けて開催されるということもあったが、現在

No.226から - 特集シックスデイズのすべて - 歴史は動いたのか - チームジャパンの戦い 後編

SIXDAYS 2019年 第94回 FIMインターナショナルシックスデイズエンデューロ・ポルトガル大会 11月11~16日 アルガルヴェ・ポルティマン Text: Hisashi Haruki Photos: Masanori Inagaki, Future7Media 初出場から7度目の代表チーム出場。すべてのスペシャルテストをプッシュし続けた4名は、最後まで強豪国と戦った。そして日本人初のゴールドメダル獲得へ向けた最後の力走。日本のエンデューロは新たな一歩を踏み出した

No.226から - 特集シックスデイズのすべて - 歴史は動いたのか - チームジャパンの戦い 前編

SIXDAYS 2019年 第94回 FIMインターナショナルシックスデイズエンデューロ・ポルトガル大会 11月11~16日 アルガルヴェ・ポルティマン Text: Hisashi Haruki Photos: Masanori Inagaki, Future7Media 初出場から7度目の代表チーム出場。すべてのスペシャルテストをプッシュし続けた4名は、最後まで強豪国と戦った。そして日本人初のゴールドメダル獲得へ向けた最後の力走。日本のエンデューロは新たな一歩を踏み出した

No.226から - 特集シックスデイズのすべて - 栄光のゴールドメダル

ISDEでメダルを受けること。 それは世界中のダートバイク乗りの承認を受ける普遍のプライズだ。 釘村忠はこの2019年ポルトガル大会で、日本人ライダーとして初めてゴールドメダルを獲得した。Masanori Inagaki トップの選手が基準 ワールドトロフィチームのライダーを含めて、すべてのISDE参加者は、個人成績とメダルアワードの対象になっている。ISDEのすべての行程を走った者が完走者とされ、リスタートした選手はメダルアワードの対象にならない。

No.226から - 特集シックスデイズのすべて - メカニックたちの6日間

ISDEは基本的にはライダー個人の能力を試す競技会だ。だがそのライダーたちが100%能力を発揮するために不可欠なのが、メカニックと多くのヘルパーたちの存在だ。整備は選手本人にしか認められていない。その制限の中で、彼らはどのように活躍しているのか。ほとんど知られていないメカニックたちの6日間に迫る。 文 / 春木久史 写真 / 稲垣正倫 ISDEでは2日目から成績順のスタートになるため、タームジャパンの4名のタイムスケジュールはほぼ重なった。そのため朝夕のワークタイムも4名