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No.226から - 特集シックスデイズのすべて - 歴史は動いたのか - チームジャパンの戦い 後編

SIXDAYS
2019年 第94回 FIMインターナショナルシックスデイズエンデューロ・ポルトガル大会
11月11~16日 アルガルヴェ・ポルティマン
Text: Hisashi Haruki
Photos: Masanori Inagaki, Future7Media

初出場から7度目の代表チーム出場。すべてのスペシャルテストをプッシュし続けた4名は、最後まで強豪国と戦った。そして日本人初のゴールドメダル獲得へ向けた最後の力走。日本のエンデューロは新たな一歩を踏み出した。

変化した勢力図

 かつて、ISDEのトップグループで活躍するライダーは、エンデューロ世界選手権のトップライダーが大半で、それが所属するナショナルチームがワールドトロフィの争奪戦をするのが普通だったが、現在、その構図は完全に崩れている。ENDURO GP(エンデューロ世界選手権)のライダー、ファクトリーチームがISDEを重要視しなくなった、という事情も以前はあったが、現在は欧州外のライダーが強くなったことの方が要因として大きい。特に、USA、オーストラリアは、分厚いダートバイク文化を有し、国内選手権が盛んで優れたライダーが育つ環境に事欠かない。そこにワールドトロフィチームの6人制から4人制へのダウンサイジングによる、チーム編成のしやすさが加わって、一気に開花したという見方ができる。

 USAのウイメンストロフィチームが急に強くなって登場したことは、そうした一般状況の縮図だ。もともと豊かな土壌があれば、そこにモチベーションと仕組みが加わることでパワーは具体化する。これは日本の状況に置き換えて考えることもできる。渡辺学のようなライダーを発掘することは、仕組みが変化すれば可能なのではないだろうか。

これがエンデューロライダーだ

 3日目と同じ険しいルートが待つ4日目は、強まる風雨の中で始まった。渡辺は話す。「このあたりの天気は、毎日午前中に雨が降り出して、午後には晴れるということの繰り返しだとわかってきたので、スタートしたらなるべく早くコマを進めて、雨が降る前に、難所や滑りやすいテストをこなしたいと考えました。だから序盤はペースを上げました」。


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