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No.226から - 特集シックスデイズのすべて - 無名選手のシックスデイズ

彼が再びシックスデイズに挑戦すると知った時、少し驚いたということを告白する。今のISDEを完走するのは以前よりさらに難しくなっている。彼はそのことをよく知っているはずだ。ではなぜ? ごく普通のライダーがISDEを目指す、その情熱の根源を知りたい。

Text : Hisashi Haruki
Poto : Masanori Inagaki


ハンデに感じた事はないですよ
生まれつきですから

 生まれつき右眼の視力がないんです。右眼だけだと1メートル先に誰かが立っているとしたら、その人が誰なのか判断できない、という程度です。物心ついた時にはこうだったので、これがバイクに乗る時に、ハンデになっているかどうか、ってよくわからないんです。両方の眼が見えている状態って、どんな感じなのか知らないわけですから…。遠近感がつかめないんでしょう? と言われますけど、そうですね、両眼から入ってきた情報をどうやって脳で画像として結んでいるのか、想像することしかできないんです。ぼくが片方の眼で見ている遠近感とは違うんだろうな、というぐらい。でも生まれた時からだし、自分にとってはこれが普通なんです。ただ、コーナーの曲率とか、ヒルクライムの角度とか、みんなはもっとはっきりと見えているんだとしたらズルいなー、と思うことはありますけど(笑)。


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