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BIGTANKマガジンは、年6回、偶数月に発行されるエンデューロとラリーの専門誌(印刷されたもの)です。このnoteでは、新号から主要な記事を再編集して順次掲載。バックナンバーの… もっと読む
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2020年6月の記事一覧

No.229 より特集「人生最後の一台に選ぶバイクは何か 春木久史の場合」

古今東西、世界にはいろいろなモーターサイクルが存在してきた。だが未だに「究極の一台」というものが存在したことはない。しかし、もし人生最後の一台を選べ、と言われたら、否応なく、それがあなたにとっての究極ということになるかもしれない。人類の危機とも言えるCOVID-19ショックの最中、ぼくは尊敬する数人のモーターサイクリストに、その究極の質問を投げかけた。  質問は次のような内容だ。  「もしも今、突然、目の前に神様が現れてあなたにこう告げたとします。  「残された人生で購入で

No.229 より特集「人生最後の一台に選ぶバイクは何か 三上勝久の場合」

今も胸をしめつける想い 三上勝久の場合三上勝久 Katsuhisa Mikami 東京都出身。八重洲出版勤務を経て独立。フリーライドマガジンから名称変更した現rider編集長。Bajaデザートライディングの経験も豊富な生粋のフリーライダー。  モーターサイクルの専門家として、現行モデルにも欲しいバイクは数台あるのだが、設定のようなシチュエーションであれば希望するバイクは1台しかない。特価セール、5万9800円で手に入れた、僕にとって最初のバイクであるヤマハのポッケだ。ホ

No.229 より特集「人生最後の一台に選ぶバイクは何か 山下剛の場合」

鮒に始まり鮒で終わりたくはない 山下剛の場合山下 剛 Takeshi Yamashita 東京都出身。新聞社写真部アルバイト、編集プロダクションを経てネコ・パブリッシングに入社。BMW BIKES、クラブマン編集部などで経験を積んで後、2011年マン島TT取材を契機にフリーランスとしての活動をスタート。

No.229 より特集「人生最後の一台に選ぶバイクは何か 松井勉の場合」

古今東西、世界にはいろいろなモーターサイクルが存在してきた。だが未だに「究極の一台」というものが存在したことはない。しかし、もし人生最後の一台を選べ、と言われたら、否応なく、それがあなたにとっての究極ということになるかもしれない。人類の危機とも言えるCOVID-19ショックの最中、ぼくは尊敬する数人のモーターサイクリストに、その究極の質問を投げかけた。  質問は次のような内容だ。  「もしも今、突然、目の前に神様が現れてあなたにこう告げたとします。  「残された人生で購入で

No.229 より特集「人生最後の一台に選ぶバイクは何か 山田徹の場合」

古今東西、世界にはいろいろなモーターサイクルが存在してきた。だが未だに「究極の一台」というものが存在したことはない。しかし、もし人生最後の一台を選べ、と言われたら、否応なく、それがあなたにとっての究極ということになるかもしれない。人類の危機とも言えるCOVID-19ショックの最中、ぼくは尊敬する数人のモーターサイクリストに、その究極の質問を投げかけた。  質問は次のような内容だ。  「もしも今、突然、目の前に神様が現れてあなたにこう告げたとします。  「残された人生で購入で

彼方へ - Go Beyond - 連載 Vol.24

著 / 山 田 徹 第五章 パリ・ダカール一九九八 其の二 一日目リタイアフェリーの船室は4人部屋で、2段ベッドが2つある。ちょうど坂選手と同じ部屋だった。世間話をしているうちに、この数日の疲れからか誰からともなく眠ってしまった。出航したのは深夜になってからだったのだろう、気がつかなかった。つぎに気がついたときには既にモロッコのナドールに入港していた。

ハートに何を持っているか。勝つか負けるかという時、ソイツがものを言う時があるんだ。

「戦う以上は勝つ負けるということからは逃れられないし、それは自分を量る大切な尺度にもなる。勝つか負けるか、という時、プラクティスやトレーニングで得られる能力のほかにもうひとつ大切なものがある。ハートに何を持っているか、ということが案外大切なんだ。」  若い日、単身でアメリカに渡り、自ら道を切りひらいてきた武道家の友人に再会した。 文 / 春木久史  旧友に再会した。10年ぶりにもなるだろうか。顔を見れば、お互い年をとったものだと照れくさくなるが、それでもすぐに、俺、お前

彼方へ - Go Beyond - 連載 Vol.23

著 / 山 田 徹 第五章 パリ・ダカール一九九八 其の一 ふたたびベルサイユ宮殿 一九九七年十二月三十一日、深夜。ベルサイユのホテル。 すでに日付は変わって、一九九八年一月一日になっているだろう。起きていればニューイヤーを祝う行きかうクルマのクラクションなどの喧騒で、それと気がついていたはずだ。 電話が鳴った。 「なんだ、何時だと思ってるんだ、まったく」 まさに明日スタートする二十年目のパリ・ダカールにやってきていた。ボクは初出場が一九八八年の十回大会だったから、ちょう

「アフリカツイン新解釈」 連載 TIME TO RIDE  Vol.3 大鶴義丹

 今年の早春より、ハスクバーナのTE250(MY17)に加え、2016年型GRF1000Lアフリカツインの、走行距離が4000kmほどのマシンに乗り始めた。アフリカツイン自体は発売になったばかりの頃に広報車を2週間ほど乗り回した経験があるのだが、実際にこの大きさのビッグオフローダーを所有するのは初めてである。  一年前に初めてDCT仕様の広報車に乗ったときの感想は、ミッションの先進性よりも、こんなにでかいのが、林道をガンガンと走れてしまうという事実であった。  その大きさと重

レゴラリータ 6日間エンデューロの風景「朝もやと夕焼け」

Text : Kayoko Sato Photo : Toshimitsu Sato  ISDEの朝は早い。  6日間も続くのだから、日を増すごとに朝が辛くなる。いっそ大雨でも大雪でも降って、今日一日キャンセルにならないかなぁ--なんて願ってみたりもする。だけどエンデューロはもともと耐える競技なんだから、辛ければ辛いほど、悪条件であればあるほどにISDEらしさが増すというもの。戦争でも勃発しない限りISDEの朝はちゃんとやってくる。  プレスの朝もライダーに負けないくらい

彼方へ - Go Beyond - 連載 Vol.22

著 / 山 田 徹 第四章 ラリーを主催するということ 其の二十三 天空の町ツェツェルレグで 気になっていたことが起きた。 「気になっていることは、必ず起きる」というのはこのラリー中に頻繁に経験していることだ。気になった事には、必ず手を打たなければならないという教えだ。「まあいいか」というのはほとんど通用しない。マーフィーの法則であり、パリ・ダカールでいやになるほど経験しているはずだ。その手が打てない状態が、混乱をきたしているということあり、指揮官の資質不足であるという状

Bear Station - クマキチに還ってきた少年

「スピードスクランブルではね。レースの合間に基地の大きな重機を使って、コースをまっさらに整地するんだ。遊びなのに立派な機械や燃料を贅沢に使ってさ。こんな国に戦争で勝てるわけがないって思ったよ」 文 / 春木久史  北海道。新千歳空港にほぼ隣接した場所に、新千歳モーターランドというモトクロスコースがある。このコース自体は最近できたものだが、実は歴史もあるコースだ。新千歳空港の滑走路の隣には航空自衛隊千歳基地もあるが、第二次世界大戦の終結から1972年の完全撤退まで、ここは千

彼方へ - Go Beyond - 連載 Vol.21

著 / 山 田 徹 第四章 ラリーを主催するということ 其の二十二 マンダルゴビ試走のときに聞いたこの土地の、マンダルゴビという意味は忘れたが、その名前の持つ印象には強く引かれた事を覚えている。何かゴビの中心を意味するようでもあり、チベット仏教の宗教的な深い意味を持つ言葉のようでもあり、この町に特別なものを感じたのだ。町のたたずまいもなかなかだ。町を見下ろす小高い丘の上にビバークサイトを敷いた。サッカーボール大で少し尖った石が、あたり一面に散らばっていて、緑濃い草原とのコン

連載 TIME TO RIDE  Vol.2 大鶴義丹

絶滅危惧種としての誇り文 / 大鶴義丹 ハスクバーナTE250・2017という最新2ストエンデューロレーサーに乗り始めてから、仲間のバイク乗りたちから、そんなややこしいマシンに乗って一体全体何が楽しいのかと不思議な顔をされることが多い。  まず第一に、混合燃料を作らなくてはならない2ストエンジンということへのアレルギーもあるようだ。そんなとき私は、2ストはモクモクと蒸気機関車みたいに煙が出るのが楽しいとうそぶくことにしている。そこまで言うと、相手は子供じみたバカとまともに話