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Bear Station - クマキチに還ってきた少年

「スピードスクランブルではね。レースの合間に基地の大きな重機を使って、コースをまっさらに整地するんだ。遊びなのに立派な機械や燃料を贅沢に使ってさ。こんな国に戦争で勝てるわけがないって思ったよ」

文 / 春木久史

 北海道。新千歳空港にほぼ隣接した場所に、新千歳モーターランドというモトクロスコースがある。このコース自体は最近できたものだが、実は歴史もあるコースだ。新千歳空港の滑走路の隣には航空自衛隊千歳基地もあるが、第二次世界大戦の終結から1972年の完全撤退まで、ここは千歳の米軍基地で、HOPのあたりも進駐軍の基地内になっていた。なにしろ一番大きな時には、千歳市の約半分が接収され軍敷地となっていたのだ。千歳の米軍基地は、駐留する連隊のシンボルマークが「ヒグマ」であったことからBear Station(ベアステーション)と愛称されていたが、日本人からはそのまま「クマキチ(熊基地)」と呼ばれていた。


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