見出し画像

ハートに何を持っているか。勝つか負けるかという時、ソイツがものを言う時があるんだ。

「戦う以上は勝つ負けるということからは逃れられないし、それは自分を量る大切な尺度にもなる。勝つか負けるか、という時、プラクティスやトレーニングで得られる能力のほかにもうひとつ大切なものがある。ハートに何を持っているか、ということが案外大切なんだ。」

 若い日、単身でアメリカに渡り、自ら道を切りひらいてきた武道家の友人に再会した。

文 / 春木久史

 旧友に再会した。10年ぶりにもなるだろうか。顔を見れば、お互い年をとったものだと照れくさくなるが、それでもすぐに、俺、お前と呼んで、なんでも包み隠さず話すことができるというのは特別なものだ。付き合っていた女の子のこと、通っていたラーメン屋のこと、一緒に警察のご厄介になったこと…。がらくたのようなすべての出来事が宝物のように思える。
 友人は、ハタチそこそこの年齢で日本を飛び出し、ロサンゼルスに移り住んだ。素っ裸でリトルトーキョーにやってきて、なんとか生活の基盤を作るところまでこぎつけると、大好きだった武道の修業を再会した。強さへの憧れは少年の頃からのもので、ボクシングのチャンピオンたちに憧れ、部屋は具志堅や渡嘉敷のポスターで埋め尽くされていた。やがて「極真空手」という一流派に出会い入門する。


ここから先は

2,080字
1998年に創刊。世界のエンデューロ、ラリーのマニアックな情報をお届けしています。

BIGTANKマガジンは、年6回、偶数月に発行されるエンデューロとラリーの専門誌(印刷されたもの)です。このnoteでは、新号から主要な記…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?