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サピエンス全史7

こんにちは、のぐです。今回の書籍は、ユヴァル・ノア・ハラリさんの「サピエンス全史」です。訳者の方は柴田裕之さんです。いつものように、本記事でご紹介する内容をA4にまとめてみました。全世界で1200万部売れた超大ベストセラーとなっている「サピエンス全史」ですが、その内容は非常に長いです...。しかし、人類の歴史をかつてないほど巨大なスケールで観察することで、別の視点から見つめ直すことができる、全人類必見の本です。本記事では、その内容の本質のみを切り取ってお伝えしようと考えています。

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便宜性のために具体例を混ぜながらになりますので、全ての内容をご紹介するには8記事ほどに渡る超大作となるかと思いますがお楽しみください。
本記事は7記事目です。

サピエンス全史1はこちら

サピエンス全史2はこちら

サピエンス全史3はこちら

サピエンス全史4はこちら

サピエンス全史5はこちら

サピエンス全史6はこちら

本記事ではA4の内容でいうと「16. 拡大するパイという資本主義のマジック」と「17. 産業の推進力」と「18. 国家と市場経済がもたらした世界平和」をご紹介していきたいと思います。まずは、本書全体を通しての結論をどうぞ。

結論

我々サピエンスは今まで3つのイノベーションを起こして、地球を制圧できるほどの力を手に入れました。それが

1. 認知革命
2. 農業革命
3. 科学革命

です。基本的には全て重要な節目になっていますが、本書の本質を理解するには「1. 認知革命」を正しく認識する必要があるかと考えます。認知革命とは

あらゆる虚構(フィクション)を創り、信じることができるようになった

というものです。端的に言えば、「嘘」をつけるようになったことが人類最大のイノベーションであるということです。これによってサピエンス同士が「より多く、より強く」連携できるようになり、その団結力を武器に地球上で「敵知らず」の状態に落ち着くことができた、ということが筆者の方の主張です。具体的にどういうことなのかはこれからの記事で徐々に明らかにしていく予定ですが、全てこの「認知革命」がキーとなりますので、この衝撃を脳裏に焼き付けておいてください。

16. 拡大するパイという資本主義のマジック

人々はこの頃から、

想像上の財を特別な種類のお金に換金することに同意し、
それを「信用」と呼んだ

という現象が各地で起こりました。ここでいう「想像上の財を特別な種類のお金に換金する」とは「未来への進歩の可能性を信じて投資する」という意味です。この行動は、近代以降、みんなが「科学革命により将来は今よりも良くなっている」と信じ始めたから行われたということが考えられます。

近代以前: 富の総量は限られていて、パイを奪い合う構造
近代以降: 富の総量は増やすことができ、パイを拡大する構造

このように時代によって、人々の信念がドラスティックに変わることで生まれる現象を筆者の方は「資本主義のマジック」と呼んでいます。ここで大切なことは、テクノロジーの発展により、人類のさらなる進歩を信じる人が増えてきたことが「資本主義のマジック」のタネとなっています。

拡大するパイ

アダムスミスの「国富論」から抜粋します。

利己主義はすなわち利他主義になりうる

これゆえに、「生産利益は生産増加のために再投資されなくてはならない」という信念から『拡大するパイ』という現象が生まれます。例えば、工場で作ったプロダクトがバカ売れしたら、その利益を「工場の拡張」や「従業員への福祉」へと回し、さらなる生産増加のために再投資されるべきという主張が当時の主流になっていました (今もですが)。

これと同じように、新しい科学プロジェクトにおいても、「それは生産量と利益の増加につながるか?」や「それは経済成長を生み出すか?」と問われることが多くなった時代に突入していきました。現在、自分はデータサイエンス事業を掲げる企業にインターンという形でプロジェクトに参画させていただいていますが、現場では常に「その分析によってビジネスチャンスは見いだせるか」という声が飛び交います。今昔問わず、パイを拡大させるために科学が利用されるようです。

資本主義の闇/自由市場というカルト

自由市場は、「神の見えざる手」により一見公平に富が分配されると考えがちですが、そこには資本主義の闇が潜んでいます。その闇を2つの要素に分けて整理していきます。

1. 不正行為に対する規制がない
→信頼を失い、信用消滅
→不況

2. 倫理的問題: 上層の莫大な利益の享受
→奴隷制
→貧富の差拡大

これらの批判に対する答えとして筆者の方は次のように考えておられます。

Ⅰ. 資本主義は資本主義者にしか動かすことのできない世界を生み出した
(No 資本主義 No LIFE)

Ⅱ. あともう少しの辛抱だ。楽園はすぐ目の前にある!
(パイの分け前が平等とは言わないまでも、少しは大きくなるだろう)

「今はダメでも、未来は必ず良くなっている」と信じることが資本主義社会を生き抜くための大前提かもしれません。

17. 産業の推進力

産業革命とは、動力が「人力」→「火力・原子力」と変換されたというイノベーションです。従来、人類史は「植物の成長サイクル」と「太陽エネルギーの変化サイクル」に支配されてきましたが、産業革命以降は、地球上の生態系の中で唯一、その支配から脱しました。

熱を運動に変換する

産業革命以前は、「熱→運動」という発想がありませんでしたが、はじめて蒸気機関が完成されてから、そのような「エネルギー転換」の発想が注目されるようになりました。これ以降、「原子力, 電気, 石油→運動」と様々なエネルギーを運動に変換する方法が開発されて今日に至ります。そこで産業革命について以下のように定義づけられます。

産業革命=エネルギー変換における革命

「他にどのようなエネルギーが運動に変えられるか」や「エネルギー効率をいかにしてあげるか」などを中心に研究されるようになります。余談にはなりますが、当時次のような考え方が広まったとされています。

地球は「太陽、重力、原子核」などのエネルギーに溢れているから、唯一の限界があるとすれば「我々の無知によるもの」ではないか

というものです。興味深い考え方であったのでご紹介させていただきました。

ショッピングの時代

資本主義「どんどん投資せよ!」と消費主義「なんでも買え!」が噛み合う現代において「ショッピング」という行為は Win-Winの関係を保ちます。従来は「倹約こそがモットー」であったのですが、現代においてはショッピングを促す策略が多いことは事実です。そのおかげもあって経済は発展してきました。余談ですが、肥満は消費主義にとって二重の勝利を修めています。

1. たくさん食べ物を買って太る
2. 痩せるためにダイエット食品を購入

供給者にとってはありがたいお話ですが、肥満が問題となるのはその分だけ経済が発展してきたという証拠になっていることだと思います。

18. 国家と市場経済がもたらした世界平和

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このように、近代以前と近代以後で社会の構造は劇的に変わりました。例えば結婚についてのエピソードにて、近代以前では、家族やコミュニティ(ここでは村落をイメージ)の権威は強く、親や村長が結婚相手を決めていた節がありますが、近代以後では、市場の力が強く、婚活パーティなどを開催する民間企業など見ず知らずの人が手助けしてくれる構造ができ、個人としての自由度が増しました。筆者の方はこの自由度の大小を「強い」や「弱い」と表現しています。また、個人が最低限の生活を営む権利に対しても、近代以降の国家は、それまで影響力のあった家族やコミュニティに介入していき、「教育、医療、年金、保険、福祉」などの制度を確立させていきました。我々は、このような見ず知らずの人の介入を生まれた瞬間から体験しており疑い方も知りません。筆者の方は「見ず知らずの人」を「想像上のコミュニティ」と表現されていますが、弱くなった家族や村落などの「親密コミュニティ」に代わって、感情的空白を埋めてくれると仰います。そこに「愛」はありませんが。

現代の平和

長大な歴史展開を理解するには、ミクロではなくマクロな統計値を検討することに注意を払わなければなりません。人の「集団全体の苦しみより個人の苦しみに共感しやすい」という性質を考慮して、マクロな視点で見れば「世界平和」であることは確信がもてるはずです。例えば、一つの地域の紛争にフォーカスしてさらに、その紛争によって亡くなられた兵士の遺族に共感しやすいですが、世界全体の歴史を通してみると紛争自体は激減していることがわかります。このような主張をデータをもとに解説している本をご紹介した記事も合わせてご覧ください。

原子の平和 パクス・アトミカ

まずは、今と昔の、富についての考え方の違いをご覧ください。

かつて: 富は領土に依存するもの(畑や家畜、金は土地を奪えば奪える)
現代: 富は人的資源、技術的ノウハウ、複合的な社会経済組織

興味深いことが、現代においての「富」は戦争では奪えないものが殆どとなっていて、戦争に意味がなくなってきています。ここで「平和における正のフィードバックループ」をご紹介します。

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核兵器の開発により、戦争をするとなった時には地球がいくつあっても足りない状況となってしまったので、平和主義が促進されます。その後、喧嘩している国は少ないので交易が盛んになり、平和の利益を享受できます。また、上記の戦争の代償の拡大が進み、また核兵器の脅威に戻ってきます。このような「平和における正のフィードバックループ」により、筆者の方は『世界平和』が訪れるのではないかと考えておられます。『世界平和』の定義とは、「二国間の戦争勃発の可能性が十分に低いこと」と表現されています。

次回予告

いよいよ、最終回となる「サピエンス全史シリーズ」ですが、このように虚構によって地球を制圧してきた人類にこう問いかけます。

今、幸せですか?

この質問に即座に「はい」と答えられなかった方必見の内容です。前半は様々な視点から「現代の幸福論」を眺め、後半では「さらなる幸福を目指して人類そして個人はどの方向に進めばいいのか」をご紹介します。最終回!ぜひご期待ください。


本記事を通して皆様のお役に立てたなら幸いです。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
それではまたの出会いを楽しみにしております。

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