見出し画像

緊急事態宣言解除で決めた、買わない客お断り。



緊急事態宣言解除を受け私どもBIG LOVE RECORDSも本日26日よりとなります1-10PM、月曜日のみ3-8PMの通常営業とさせていただきます。



不要不急だったので「商品をご購入いただける方のみ」というのも書かせてもらったのですが、これはコロナ期間終わっても続けてもいいかもと思いました。不要不急のはずだったこの2ヶ月の間を思い返せば、やたらひやかしが多かったのも事実です。何故か3人組とか4人組とか5人組。コロナ対策で「商品をご購入いただける方のみ」と入り口に張り紙もしていたのですが、彼らは原宿で開いてるところずっと周っていたのかなと思うほど買う気もみせず帰っていくので、さすがに嫌な気持ちになります。なぜならBIG LOVEは原宿の外れの3階の奥のレコード店。しかも僕らは彼らを理由にして他のお客様によくない態度や対応をしてしまいがちです。スタッフのマルくんはよく「さっきのお客様、最初これはどうせ買わない客だな、と思ったらあんなに買ってくれて...」と泣きながら反省。実は私でさえそれやってしまいます。どうか皆さま愚かな我々をお許しください。しかし'90年代までのレコード屋の店員といったら現代の我々どころじゃなく本当に態度が悪かった。たまに昔の同僚と会うと「大丈夫。あの時はレコード屋だけじゃなく服屋もみんな態度が悪かったから!(涙)」と過去の自分たちを慰め懺悔しあうほどです。



あの時代、例えば代官山や青山のセレクト・ショップなどに入るなんて緊張どころではありませんでした。路面店でも入るの3回は躊躇。意を決して入っても店員さんは今のように「いらっしゃいませ」なんて絶対に言いません。ジロっと見るのみ。「さて、オマエごときが何しに来た?」と彼らは確実に私に向かい言っていました。欲しかった服があったとしても試着室は汗だくになるのでせずレジ直行。「試着大丈夫ですか?」なんてことももちろん言ってくれません。私などサイズ交換や返品が出来るシステムがあることなど最近知ったほどです。そして例の「ありがとうございました」でさえ言われなかったかもしれません。いやさすがにそれはあった気もするけど、もし言ってたとしてもこっちは出口に一直線なので一切耳に届いていません。というか逆にもし聞こえてたら「ま、万引きなんてしてません!」と叫んでしまいややこしいことになっていたに違いありません...と、語るその同時代にZESTというレコード店で働いていた私の様子を、その時はまだ客と店員の関係だった現在の友人たちに語っていただきますと「わたしが初めて行った時...嗚呼思い出したくもない。あなたのあまりにもの恐ろしさ。帰りのエレベーターで私、号泣したわ!なんで客の私があなたにそんな態度をされなきゃいけないの!こ、このやろうー!」と今更マジギレされなんだよ聞くんじゃなかったよと言ってしまいさらにキレられた方が3名様ほどいるという事実は、90年代までの店員は看守と囚人同様の心理的行動が証明されたとスタンフォード大学に研究結果として報告する予定です。その際は私も発狂した店員の振りをしていたのだと告白したいのですが、ずばりそんなに怒ってたつもりも怖いつもりも一切なかったわけでつまり反省しかありません。ごめんなさい。


--------------------------

BIG LOVE TV VOL.6

ヨーロッパの専門家が「どうやら日本はコロナが収束していないようだ...」とこちらの私のコロナハイ動画を見て語ったと噂のコロナ禍用BIG LOVE TVは一応今回で終わりです。次回からはコロナ後のBIG LOVE TVとしてマンスリーでたぶんやります。

--------------------------


と、私だけが謝るのはおかしいです。だってみんなマジ必要以上に怖かったからな。ただですが、この時代にあの時代。少しだけ必要な部分もあるかなと僕は思ってしまいます。例えば何度も言うようにBIG LOVE RECORDSは原宿の外れのビルの3階の奥です。私ならいまだに行けない。怖くて階段さえ登れない。登ってもダッシュで逃げる。マジでそう思う。だからそこを超えて来てくれた人はある程度は覚悟しているはずです。だから僕らはその先に特別なものを用意していなければいけません。特別なものというのは決して特別なレコードや商品という意味だけじゃありませんが、ただ彼らが来てくれるその場所にひやかしが簡単に滞在出来ていたとしたら、それは僕らのせいです。



もちろん路面店や大衆に商品を売る店は、むしろお客様は神様ですな姿勢でなければいけない部分もあると思います。しかしサブカルチャーな店がそこまで間口を広げてしまうのが正解とは、この20年間見ていても僕には全く思えません。なのに僕らがそうしてしまっている本当の理由。それは簡単です。面倒なことはしたくない。ただそれだけです。


--------------------------

BIG LOVE RADIO vol.275

そしてラジオの方も公開しました!コロナ禍において275回目!どうか私を褒めてください。しかしなんの成長もないまま変わらず14才でこのラジオ番組を知ったら人生棒に振るようにしている最悪な音楽番組です。逆に聴いて何も怒らないならば今後の人生はご安心。例えば今後の人生で鬱になってしまってもそれは気のせいですから安心ください。

--------------------------


いつの間にかカリスマ店員はいなくなりました。思い返せば'90年代はカリスマ店員しかいませんでした。だって今やインターネットやSNSがありインフルエンサーがいてそんな存在は必要ないんだよ。だけど魚屋や八百屋のカリスマ店員は変わらず存在します。単純に僕らレコード屋や服屋やカルチャーな店は、魚屋さんや八百屋さんよりサボったと思います。「今日はこの太刀魚がいいよ〜はい、もうこれで決まり!まいど!」「いまこのトマト買わなくていつ食べるのよー!?このズッキーニと焼いちゃって煮ちゃって〜はいどちらもお買い上げー」と問答無用で売って結局満足させる自信やスキルを自分たちが失ったのをなんだか間口広げたよでごまかし、さらにそれはビジネス戦略云々なのだよと言い訳しながら、結局はどうしようもにもなくなったジャパン東京カルチャーの責任全ては大人たちです。コロナや政府のせいだけにして逃げるにはまたちょうど良い時期なので、皆さん騙されないように気をつけてください。



その大人とは僕もです。だから、買わない人は来ないでください、と言いたくてたまらないのです。だって我々くらいの規模のカルチャーな店ならば本当はそれで成り立たないと嘘だもの。逆にいまどきインターネットでわかるわけだし、本当に来たいと思う人は昔以上に勝手にそこから生まれているはず。いないならこんなご時世、もうダメです。

90年代初頭に初めてロンドンに行った時に「買わないなら店は入っちゃダメよ。そのためにこの街にはウインドウ・ショッピングという文化があるの」と言われたのは衝撃で感動しましたが、でもあの頃のロンドンではなくとも現代の日本の牛丼屋に入って何も食べず帰っていく人はいません。飲食店でもやってることさえ出来ない僕らのような店の方がどうかしているのだよ。
とか思った緊急事態宣言解除の日の話でした。






サポート!とんでもない人だな!