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Foodies!その20.因縁のプリン



イキリスへの交換留学が  コロナウイルスのために中止となった我が家の次女。
この9月に大学3年の後半から大学に復学しました。
キャンパスはほぼ立ち入り禁止だそうです。先日、履修登録と健康診断を済ませてから、京都に行きました。ひとり住まいをしている姉のところに、2週間ほどの予定で、ホームステイしているのです。

すでに始まっている講義などは、オンラインで受けているそうですが、
三密に気をつけて、観光やカフェなど、楽しんでほしいなあと思います。

この前の土曜日ぐらいでしたか、

「明日から京都に行ってくる。2週間いないから」

と言われたとき(前にも言われたけど、もちろん 忘れてた)

「しまった生協!」😩

と思いました。

生協は1週前に頼むので、翌週届く食料が、多過ぎになるからです。

次女しか食べないもの、たとえば大葉とか、辛子明太子。
じゃがいも・人参などの糖度の高い野菜が届きます。
あと、カマンベールチーズとか、生ハムとか、
なんとなく、3人揃ったら食べようかなとか思っていたもの。
(昔人間なので、こういうのを贅沢品だと思っている)
夫と二人では「いいもの」は出さないんですねぇ。
アルバイトで、滅多に一緒に食べない次女がたまたまいると、ついつい出しちゃうわけです。

いかに自分が、食べ物に関しては、子供中心であったことか。

これではいかん。
こんなでは、今もって続いている「長女ロス」から回復しないうちに、
次女が出て行って、またぺっちゃんこになってしまうではないか。

そうだ、もう、自分たちの好きなものだけ食べようっと。

と強く思い、気をとりなおしました。

そして生協の配達日。思った通りどっさり届き、余ると決定した野菜は、マリネやピクルスにしたり、茹でて冷凍にしたり、包丁振り回して健闘しました。

が、困ったのが牛乳と卵。少し前に次女から

「またプリン作って 🍮」

と言われて、卵と牛乳を、この週は、いつもよりは余分に買っていたんですよね。
(ほんと、こういう わかりやすい反応はもうやめよう)

私も もう子供じゃないから、冷たい牛乳のガブ飲みもしないしなぁ。


実は私、プリンにはちょっと思い入れがあります。

10年ほど前に、気持ちの悪いほど当たると評判の占い師さんに見てもらいました。

そのとき言われたことが二つあって、

・あなたは和食も得意だけど、オーブンで大きなキャセロールに作るような、
どかんとした料理をもっと作ってください。

と、

・次女さんの方ですが、お母さんが作るプリンをもっと食べたいと言っていますので、どんどん作ってください。

でした。

なんか、不思議なことですよね。
適当に言ったのかなぁ・・信じたい気持ちもしました。
大皿料理やプリンぐらいで、当時悩んでいたことが楽になるなら、と思ったんですね。せっせと作ったかどうか、は 忘れてしまいました。

そんな思い出の紐付きもあってか、なんとなく私には、プリンは次女のために作るもの、という気持ちがいつもあるのです。
親のこういう思い入れというのは、重いでしょうね。

さて、夫と二人では食べきれなそうな卵のパックを見ながら、

(食べる人もいないのにプリンばかりたくさんつくってもなぁ・・)

と思ったのですが、卵も牛乳も古くしたくないし、作って冷凍すればいいやと思って、腰を上げました。
(できるんでしょうかね、プリンの冷凍って)

我が家では、わりと最近電子レンジを買い替えたので、
ついてきた本を見ながら、焼きプリンというのを作ろうとしました。

ちょっと新しいことをしてみようと、思ってしまったわけです。
そういうときに、だいたいわたしは失敗します。

オーブン皿にお湯を入れて、弱火で蒸し焼きにするという。
誰がそんな面倒なことするんだと思ってきましたが・・。
コロナウイルスの時代になって、子供が一人巣立って、いろいろ今までやらないことに手を出していますので、やってみる気になったのでしょう。

プリンというのはとても単純なものですから、ごく弱火で落ち着いて作れば、そうそう「す」が立ってしまうこともないですし、私はよく作るので、あまり大きな失敗をしたことはありませんでした。
だから、おごり高ぶっていたかな?

わたしときたら 何を間違えたか、150℃の設定を、250℃にしてしまいました。

250℃って、普段 なかなか使わない温度です。

私は頭の中に、

・ローストチキン、最初の1時間180℃、ホイルを取って、210℃で30分。
・オーツブランパン、180℃で15分。

ぐらいは、なんとなく覚えていられるものもあるのですが、それと比べたって、プリンに250℃は温度が高いし、それをしかも40分。やっちゃいました。


何も気づかず、成功を疑わず、のんびりと待っていて、

🎵できあがりました🎵

という、シャープのヘルシオの声に呼び出されて、扉を開けてびっくり。

こんなの初めて〜 😂



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蒸しパンだっけ!?

さっそく友達にLINEで泣きを入れました。

優しい友人は、

「あら、これはこれでおいしそうよ?」

と返信してくれましたが、食べてみると、普通に、皿洗うスポンジ。





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がっくりして、しばらくプリンとは距離をおこうと思っていたのですが、
その晩にまた作りたくなってしまいました。
2回目は、いつものように作ろう、雪辱戦だ、と思っちゃったんですね。

で、プリンカップと、少し高さのあるガラス瓶を使っていたのですが、いざフライパンにそれを入れ始めたら、ガラス瓶の高さのために、蓋ができないことがわかりました。蒸すわけですから、これではよろしくないです。

少し慌てながら、一番大きなル・クルーゼに布巾を敷いて、プリン型を移しました。フライパンに入っていたお湯をそこへ移しました。レシピ通り、ふきんをそこに敷いています。そもそもお湯が足りないし、冷めかけていて、布巾も入ったし、慌ててお湯をケトルで沸かして注ぎましたが、なんだか嫌な予感がしました。弱火にかけても、いつまで待っても、いい感じの湯気が立ちません。放っておけばよかったのですが、湯気が経つまでの短い間、と思って、少し火力を強めてしまいました。これが決定的にNGだったようです。


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今度も、1回目以上に激しく「す」が立ち、また、食べてみると、レシピ通りだと甘すぎるのに気づきました。我が家はどんどん砂糖を減らした結果、人のレシピからだと、だいぶ減らさないと、なんでも甘すぎになってしまうのを忘れていました。

1回目のスポンジプリンは捨てましたが、2回目は罪の意識がそれを許さず、仕方なく 小さく切って冷凍し、ときどき食べることにしました。甘すぎても一口なら我慢できそう。

それにしても私は何をやっているのでしょう。

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ちなみにこの2回は、欲張って二倍量を作ったので、ロス感が激しかったです。
よくやる失敗ですが、量が増えると、加熱量とかいろいろ、デリケートな部分で違ってくるのではないでしょうか。

さて・・懲りない私は今日、素直な気持ちで、3回目の挑戦をしてみました。

今度は分量もきちんと守り、レシピに逆らうのはお砂糖の量だけとして、
丁寧に作ってみたのです。



鳴呼・・・・。

またやってしまいました。

私はカラメルを作る代わりに、カラメルタブレットという、キャンディーみたいな市販のものを使っているのですが、三度目の正直の今回は、あれを入れ忘れました。


お砂糖の量を減らしながら、

(市販の甘いカラメルタブレットを使うから、ちょうどいいよね)

と思っていたのに。


食べてみると、

「間違えて砂糖を入れてしまった茶碗蒸しの、具のないやつ」

に近い味で、また、しっかり す が立っていました。

幸い、6個しか作らなかったので、責任を持って食べ進みたいと思います。


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プリンと格闘してみて。

考えてみれば、子供に対してすること・できることって、本当にどんどんと減っていきます。

思い出の中にある、

お母ちゃん、また作ってね。
お母ちゃん、これ、おかわりある?

を、聞く機会は、私にはもう ほとんどありません。


親業を退職した親に、それでも最後に残るのは、子供に食べさせる物を料理するということじゃないでしょうか。
もちろん、子供は自分の好きな物を買ったり、友だちと一緒に食べるのが一番おいしいに決まっているのですが。


アルツハイマーの私の母も、私の顔を見るたびに、

さぁて、何を作ってやろうかね。
何が食べたい?

と言います。

座ったきり、ニコニコしているだけの現在の母ですけれども、
名古屋に引っ越す直前ごろ、会ったときのことです。

「あなた、お豆腐好きでしょう? ほら」

と台所から小鍋に入れたものを見せに来ました。

それが、お豆腐一丁が、つめたい水の中にゆらゆらしているものでした。

胸がどきっとしました。

引っ越しても、ちょこちょこ顔見にこなくちゃ、と思った一瞬でした。

喧嘩して しばらく行かないなんて、そのあと、何回もありましたけれど。


なんだか不完全燃焼となったプリン、次女が帰ってくるときは、また作ろうかな。
あ、またこれが余計かな。


・・今晩作るか、ですって?


さすがに飽きました。😭🍮

勘弁して〜・・

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