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日本語教師日記125.気が散るけど楽しい子供のレッスン

私の生徒は、一番若い人で11歳、一番年嵩の人は83歳です。

日本語を始める動機、何が必要で始めたかったか。
目的と、目指しているところ、それぞれ違います。

個人レッスンなので、教材は自由に選べますが、
たいていの生徒が宿題や音声教材を希望しますし、
教材に至っては、市販のものは意外に使いにくく、
各自のニーズに合わせたものを、様子を見ながら作っていくのがほとんどです。

今、子供生徒は全部で三人ですが、みなアメリカに住んでいます。
姉弟組は、お母様が日本人で、頑張って日本語を話してくれますので、
私から見ると、ほぼバイリンガルです。
この二人はたびたび、ブログネタにさせてもらっていますが、
課題としてはあとは、助詞の間違いを直していくのと、
大人っぽい日本語に切り替えていくことでしょうか。

もし将来、日本で勉強や仕事、長期ステイなどをしたい場合は、
「日本語上手ですね」などと持ち上げられて喜んでいてもらっては困る!
・・ので、(だって、上手なのはデフォルトなので)、
漢字をもっともっと勉強してもらわなければなりませんが。



今 一番年下の11歳少年は、なかなか稀なケースですが、
自分から希望して、ご両親にせがんで、週2回もレッスンを受けてくれています。どちらかの都合でキャンセルになると、
他にいろいろやっている習い事の隙間にねじこむようにして
振替レッスンをしてくれるのです。
キャンセルのすごく多い大人の皆さん、見習ってね。

彼は日本に来るのが夢で、私が東京に行くと聞いたりすると、

先生、ラーメン屋と回転寿司の動画を撮ってきてくれませんか。
世界一人が多い交差点の写真を撮ってきてくれませんか。

などと頼んできます。

私の生活の変化として、この3月末から、
私にとって、情報の泉?だった娘が引っ越していきましたので、
今や、新しいゲームやツール、面白いYoutubeなどは、
この三人に教えてもらうしかありません。

「先生をアプデできるのは、今や君たちだけなのよ。
君たちがしっかりしないと、私はどんどん時代に取り残されるの。
だからよろしくお願いしますよ」

と頼んであります。

大人の生徒たちもいろいろ教えてくれますが
(ゲーム翻訳家やオタクの人がとても多いので)、
子供生徒たちからは、
見たこともないような組み立て式のキーボードとか、
軽い力でソファがたちまち二段ベッドになものとか、
季節によって葉っぱの色や花が変えられる「bon-zai」の桜とか、
日本で有名な、自然の山や滝をミニチュアで作る人のYoutubeとか、
絶えず面白いものを教えてもらっています。

これには感心しました。
https://www.amazon.com/Complete-Collapsible-Bunk-Elevate-Finland/dp/B071L36M73
https://www.youtube.com/watch?v=6SCug5kUsBs

でも高いです。20万円以上。
これ見ちゃうとIKEAのベッド組み立てたくないですよね。
知らなくてよかったです。

私が、引きこもり生活で、友達もこちらには少なくても、
寂しくなく、退屈しないのは、いろいろ教えてくれる生徒たちのお陰です。

さて、0初心者で始めた11歳少年、回を重ねて、ひらがなは完璧、カタカナは半分まで覚え、漢字は40ほどマスターしました。

コミックにはふりがながついていますので、読むだけなら読めます。
彼の懊悩おうのうは、

「読めば読めるのに、ち〜っとも日本語の意味がわからない」

ということだそうです。

どうしてでしょうか、と、澄んだ目をして訊いてきましたので、言いました。

「今 全部わかったら、逆に変でしょう。
君だって、赤ちゃんのときから、一つ言葉を言っては、
お父さんやお母さんに、いちいち言い直されたり、
そうだね〜、できたね〜、わかるよ〜、
と言ってもらう、ということを、起きている間中、やってきたわけでしょう?
自分の今話せる言葉って、そうやって身につけたものなのよね。

日本語レッスンでは、とりあえず、そういう環境はないわけだからね?
君は今やっと、一つ一つ新しいことを覚えて、繰り返して、
言われていることがわかってきて、わかったら覚えようとがんばって、
自分でも言いたいことが少しは言えて・・・っていうところでしょう?
「鬼滅」のひらがなが読めても、意味がわかるまでには、
もうちょっと、勉強しないと厳しいかなぁ」

私、話長いのはいつものことですけど、少年はうんうんと頷きながら、
一生懸命聞いてくれるのでした。

集中力が切れてくると、かなりの量になってきたカードで一息つきます。
ゲームのようで面白いそうです。
彼はまだスマホを持っていなくて、珍しいことに「ペンや鉛筆で、紙で描くのが好き」ということで、教材も紙です。

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そして、脱線しても、引き戻せばすぐ戻ってきますが、
とにかく知りたいこと、言いたいこと、訊きたいことがありすぎて、
ついついレッスン中に違う話になってしまいます。
彼のお母さんがそばにいたりするので、私としてはちょっとヒヤヒヤです。

今日はオハイオ州で食べたラーメンについて、レッスン中何度も話が戻っていきました。

とんこつスープで、大きなチャーシューが載っていたそうです。

「卵とコーンは好きじゃないので取ってもらいました。
先生が、炒めキャベツは美味しいと言っていたので訊いてみたけど、
そのラーメン屋さんでは、やってなかったです。
あと、フィッシュケーキが美味しかったです」

ーーフィッシュケーキ?

「丸くてギザギザで、白地にピンクのぐるぐるがあるやつです」

ーーあっ、なるとね?

「先生今、NARUTOと言いましたか?
あのNARUTOと同じですか?

ーーうーむ、あのNARUTOって、海賊の方? ちがうね、忍者だね?
うずまきナルトくんでしょう?
ではこの写真を見てください。

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鳴門の渦巻き。
脱線しながらも、なるべく日本関係のお話ができるように努力しています。


今日も、鬼滅の刃のキャラについての話になりました。

「Mitsuriのキャラクターが、ちょっとおかしいと思うんですけど」

と言うのです。
私は、なぜ柱の一人である甘露寺蜜璃ちゃんが、あの世界観からすると無理めなキャラ設定にになっているかについて、聞いたばかりだったので、得々と話しました。

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もう少し年月が経って、私がこういう話題についていけなくなったら、引退かなぁと思わないでもないので、ちょっとヒヤヒヤしてしまいます。

生徒に手を引かれ、すこしはトレンドを知っている婆さんになっていきたいと思っています。

サポートしていただけたら、踊りながら喜びます。どうぞよろしくお願いいたします。