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家族の日記 8.大帰省時代の終わり

6月23日(木)にニュージーランドに着いて、
空港でスーツケースを受け取ったら、
もともとあった割れ目が、結構下に向かって長くなっていました。
中身がすかすかだったので、上に重いものが載り、
バキバキと割れたというか、裂けたのかもしれません。

あれからちょうど十日目の今日ですが、
明日には夫と長女がこちらを発ちますので、
今日は今回最初で最後の買い物に出ました。

買い物が終わってから、
毎年定点観測のように行っていた海岸や、
義父母が建てた最初の家、
そこから移った2軒目の家も見てきました。

家族として、まだ若々しかった頃を、はっきり思い出します。

さて、ショッピングセンターに行って買ったのは、
バーゲンで格安になっていた、
大きいけれども軽いスーツケースでした。

もう大がかりな帰省はしないように思うので、
中ぐらいのサイズでよかったのですが、
今回は、義母の形見をいろいろ持ち帰るため、
大型のものを買いました。

家族で一番小さくて非力な私が、
これをごろごろ押して、一人で帰国します。
心配性で、ヘマなので、
行きと全く同じ乗り換え方なのですが、
今から迷子にならないか、なんてどきどきしています。

そういうへたれな私も、昔はちょっと頑張れたこともありました。

それは、小学校に入ると、変な時期に休めないので、
その前にと、二人の子供を連れて、2回ほどですが、
一人で義父母の家に長逗留をしたときのことです。

子供たちが小さいうちに、なんとか
言葉と祖父母や親戚に慣れて、
父親の国と太い絆を作りたかったのです。

本当に気持ちが細やかで優しい義父母は、
私たちが退屈しないように、
そして、いい思い出ができるように、
いろいろ提案して、外に出してくれました。

現地で保育園に入ったりもしましたし、
義父の送り迎え付きでオークランド市街地に行き、
子供の喜びそうなところ連れて行ったりもしました。

オークランド戦争博物館、
海洋博物館、ドメインという大学エリア。
バスに乗って、海岸に遊びに行ったこともあります。

家から歩いていけるミルフォードビーチには、
やることがない日には、必ず行きました。

毎日バスを停めている、
ミスター・ウィッピーというアイスクリーム屋さんでアイスを買って食べたり、
隣の街まで全行程、磯と砂浜を歩いて行ったり。

砂でお城を作り、
傘で砂に字を書いていて、
ぼっきり折ってしまったり、なつかしいです。

今回、買い物がえりに夫と歩いてみましたが、
形の面白いのや、綺麗なのや、
貝を集めようと、下ばかり見て歩く。
そんなことはもうないのでした。

今もそうですが、直行便にはなかなか乗れませんで、
飛行機や香港や仁川で、一泊してから飛行機を乗り換えました。
こういうのは、今も嫌だし、怖いです。

乗り換えの空港に着くのはめちゃくちゃ遅いし、
翌朝は、朝食クーポンも使えない早朝発だったりしました。
寝過ごしたらおしまいです。
だから、眠れませんでした。

その話をしていましたら、長女が、

「そうだね〜、
おかんは、ちょっと酔っ払うとすぐ、

《こう言ったらあれだけど、おかんも頑張ったよね〜。
だって、一人で幼児二人連れてね。
今は絶対できんけどね!》

って、必ず言うよね〜」

と言いました。

今回、大きなスーツケースを買って、思いました。

ここに、義父母や義妹一家、親戚へのお土産を詰めて行き、
帰りは嵩張るけど、日本で食べたいものをたくさん入れて帰ったけれど、
一家をまとめていた義母が亡くなり、
子供たち、姪も甥も成人して独立し、
あんなふうに帰省することはないだろうなぁ。

子供のためと必死に、毎年家族でやっていた
「大帰省時代」は、もう何年も前に終わっていました。

感謝を込めて振り返ってみたあとは、

これから夫と二人、
どんなふうな帰省になっていくのかな、
と、感傷に浸っているところです。

ミルフォードビーチから見るラギトト島です。


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