エッセイその62. 家族と英語②子供編
我が家には 2歳違いの娘がいます。
一人は仕事で近県に暮らしていて、
もう一人はまもなく大学の最終学年となります。
二人は日本生まれ育ち、保育園から大学まで、日本の公立・私立でした。
これは夫が、日本語の難しさをつくづく理解していて、
「日本に住んでいれば日本語は自然と習得できるだろう」
とは思えないという意見だったからです。
世界には、オランダのように、マルチリンガルであるのが普通の国々もありますが、日本では、親のどちらかでも外国人であったとしても、
自然にバイリンガルになる、ということは、あまりないように思われます。
外に、他言語の環境がないからでしょう。
家庭内での話し言葉であればなんとかなりますが、
読み書きを含めますと、完全なバイリンガルの子は少ないです。
まず第一に母語が確立し、そのあとに次の言葉がついていく感じです。
我が家の場合は、生まれてから外遊びに行き出す前までは、
家の中でもできるだけ英語にしました。
長女が1歳半になるまで、夫が主夫をしていたので、
これが可能だったということもあります。
昔のホームビデオを見ていると、幼児までの頃のほうが、
英語は二人とも今より発音はいいです。
何も考えず、脳みそを通さず、聞こえた通りに喋っていたのかもしれません。
私は「こんなんでいいのかなぁ」「私はバイリンガルじゃないしなぁ」
と思っていたので、よく夫や義母に、
「この子らの英語って、どういうもの?」
と聞きましたが、二人とも、「年齢相応だよ」と言っていました。
2歳なら2歳、5歳なら5歳、ネイティブと変わらかったそうです。
NZに帰省すると、私たち夫婦は義父母に子供を預けて出かけていましたが、
その間、じじばばと孫たちが一緒にいて、
お互いの言ってることがわからない ということもなかったそうです。
その頃は、英語と日本語がなんとか揃っていたようです。
夫がフルタイムの会社員になったのと同時に、
長女が歩くようになって外遊びが始まると、英語の出番はぐっと減りました。
英語で話しかけても日本語で返ってきたり、
他の人がいるときに父親が英語で話すと、嫌がるようにもなってきました。
お父ちゃん、学校に来ないで。きもい。😠
など、ひどいことを平気で言っていました。
それでも夫は諦めず、嫌がられても英語で通し、寝る前の読み聞かせも、小学生のうちはやっていました。
私は、自分が子供の頃に愛読していた童話や少年少女小説を、
オリジナル音声で聞けて、よかったです。
中学に入ると、意外なことに英語の点数は別に全然良くなかったです。
関係代名詞とか、普通に苦手で、結構✖️をもらっていました。
長女に 「あんた、学校で英語はどうなの?」と訊いたことがあります。
「教えて〜と言われても説明できなくて、役立たずの天才と言われている」
と言っていました。
娘らは、
お父さん外人なんだ?
英語喋ってみて?
と言われることが嫌だったそうです。
あと、名前にカタカナ部分があって長いので、
リコーダーや体育着に名前が入り切らないで割愛されるのも参ったと。
次女なんかは髪の癖が強くて、「ラーメン」と言われました。
それをしつこく、次女の後について言い続けた男子を、
持っていたアイスクリームコーンの形をした遊具
(ピンポンの玉みたいなのをやりとりするやつ)
で引っぱたいてしまい、そっちのお母さんに怒鳴り込まれる。
そんなこともありました。
大学では、娘らによると、「中途半端ハーフ」というカテゴリーの子がいて、
なんというかこう、幅を利かせていてハーフアピールをするのだそうです。
「あれは日本だけで起こるチヤホヤ現象」と、姉妹で悪口例大祭。
君らはどうなんだということがありそうで、親としてはヒヤヒヤします。
二人ともすごく気が強いんです。
妹が英国人にストーカーされていた時に、
「お前ちょっと電話代われや」と姉が出て行って、
聞くともなしに聞いていたら、
びっくりするぐらい強い口調と言葉遣いで撃退しました。
聞いていて怖いので、他でやってないといいなぁと切に願いました。
小さいときの思い出の一つですが、長く車に乗っているときに、
やることがないので、ドクターズ・キャットというのを夫が教えました。
初めにAとかSと決めておいて、
ドクターズ・キャット・イズ・・・Antibiotic cat
Doctor’s cat is Acrobat cat
というように、その文字で始まる言葉を出し合うのです。
BとSで始まる言葉って多いんだなぁと思いました。
それが、娘らがまだ4歳と6歳のころでしたが、
私がタネが尽きても、父親と娘たちは延々と続きます。
その口から出た試しのない言葉も出てきます。
ドクターズ・キャット・イズ、
セクシー・キャット、スィンギング・キャット、
スクエア・キャット、シリアス・キャット、スプレンディッド・キャット・・
これは面白かったです。
もうできないのが残念です。
最後に、次女の英語の間違い。
おばあちゃんの家のソファに上がり込んでいて、落ちそうになりました。
そのとき、
I’m fall offing!
と叫びました・
I’m falling off.
が正しいのですが、現在進行形も使っていたんですね。
この間違は、絶対ネイティブの子はしないと思うんですけど、どうなんでしょうか。
〜ingつけると現在進行形なんだとだけ、入っていたんでしょうかね。
YoutubeとNetflix、大学の講義で、英語を聴く分量が飛躍的に増えて、
私は語彙では娘らに全然かなわなくなりました。
テレビを見ていて、私がいなくなると字幕を消し、
いると、労わられて字幕をつけられます。
父親と喧嘩している娘ら言うことを聞いていると、
知らない言葉がたくさん出てきてびっくりします。
どの国の人と結婚しても、日本人でも外国人でも、口でもメンタルでも負けない感じがします。
みなさん気をつけてね。
仁王門シスターズ 改メ 狛犬シスターズ
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