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日本語教師日記98.オンラインの会話の問題(2)

オンラインゆえのあれこれを、書いているその続きです。
みなさんにも、あるあるでしょうか。


2)誤解が生じやすいオンラインの会話問題
夫に聞いたのですが、人間の生理はオンライン特有の「反応の遅れ」を、
現実の会話の場合と同じとみなし、返事の少しの遅れを、

「自分の言ったことについて、相手が100%賛成していない」

というふうに捉えてしまうそうです。

例えば、現実に車を持っている友達に、

「ごめん、駅まで乗せてってもらってもいい?」

と頼んでみたときに、友達が

「いいよ!」

と、二つ返事であれば受け入れられたと感じます。

ところが、オンラインで頼んだ場合ですが、こうなります。

「ごめん、・・・・・てもらってもいい?」

「・・いいよ!」

と、ほんの少し間が空いただけでも、
(あ、頼んでまずかったかな、嫌だったかな)
と思ってしまうのだそうです。

これが、非言語的表現というものです。

zoomをはじめ、ミーティングツールの開発者は、
ミーティングの部屋分けができるとか、
面白いことを次々考えてくれていますが、
この、気づかない程度の遅れが解決できたら、すばらしいですよね。


3)一人だけがたくさん話す問題。
返事の遅れについてのその微妙さを、早くも察知できる人がいます。
「坑道のカナリア」とお呼びしたいと思います。
私も、性格はがさつですが、妙に細かいところがありますので、カナリア系の一人です。
そう言う人たちは、さあ今は多分、自分の喋っていいタイミングだと思っても、
相手に遠慮して、ほんの少し黙っています。
話し切ったかな? と慮りおもんぱかり、ほんの少し、待ちます。
すると、そのときに喋り終わった人が、相手が待っているのを感じて、

「この人は人の話を聞いているのが好きな人」とか、
「あ、この人は、私の次の発言を待っているんだな」

と自動的に解釈して、再び話し出すのです。
こうなると、この繰り返しとなり、
一人の人が、一人でずっと喋っていることも起こり得ます。

現実に話す場合も、よく一人で喋っている人はいますが、
そのタイプの人は、相手の小さな沈黙を

「自分が話すのを待たれている」
「相手が熱心に聴き入っている」

と感じることができるのかもしれません。

さて、オンラインの会議や飲みで、ギャラリー・ビューになっていると、
同じサイズの小さな顔が3人から10人分ぐらい等間隔で並びます。

人間というのは、人の話を聞いている途中に、
それについて何か今、言いたくなることがありますが、
そんなときは無意識に、必ず、身体的表現をすると思います。

体を乗り出すとか、
あ、と言いながら小さく手をあげるとか。

言葉なら、

ちょっといいですか?
あ、それさぁ・・
あ、それなんだけどね。
あ、ちょっといい?

そのどれもが、現実に対面しているのなら、
相手が近々と見てくれて、聞いてくれています。

あ、ちょっといいかな。
はい、何?

と、スムーズに話のバトンのやりとりができます。

二人きりなら、眉をあげるとか、ちょっと乗り出すとかだけでも、
この人が何か言いたいのだな、と感じてもらうことができます

でも、オンラインの会議室や講義で、5つも6つも、10も顔が並んでいて、
しかも全員が肩から上ぐらいしか見せていないと、
各人が他の人全員をよく見ているはずはなく、
そういうサインを見逃されることが普通です。

あるとき、3人飲み会で一人、喋らない人が気になり、
よく喋る人が早く帰宅・・じゃないな、もう家にいるから、
その人が早退?したときに、
喋らなかった人にそのことについて訊いてみたところ、

「自分はとろいらしく、二人以上のオンラインの会話だと、
うまく切り込んでいけず、う〜ん🙄と思っているうちに終わってしまうの」

と言っていました。

新しいコミュニケーションの形、まだまだ工夫の余地があるようですね。


最後に・・。

つい先日、Skypeでレッスンをしているときに、
お互いの顔の見え方をちょっと変えてみようと思って画面を触っていたら、
いきなり私一人で、お寺の階段のてっぺんに行ってしまいました。
そして、戻ってこられません。
生徒がすぐ救助にかけつけてくれたのですが、

先生、ここはなかなか趣きおもむきがあっていいですね。
このままレッスンをしましょう。

と言ったのでした。
夏なんかだと、静けさや岩に染み入るミ〜ンミンミン・・
と言う感じの背景に、私と生徒が並んでいます。
笑っちゃいます。

最後までしっとりとレッスンをし、せっかくなので記念写真も撮りました。

こちらです。

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生徒に無断なので申し訳なく、画像処理しました。カオナシではありません。

以上、オンラインの諸問題について書いてみました。

最後までありがとうございました。

サポートしていただけたら、踊りながら喜びます。どうぞよろしくお願いいたします。