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荒川河口橋 埋立地に架かる自動車優先の橋

 名前のとおり荒川の河口にあり国道357号の橋だ。並行して走る首都高速の両側にあり自動車の交通量は多いが歩道の方は橋の両側が倉庫街など人工密度が低いためか人や自転車の通行は少ない。また橋の高さが東京の橋としては3番目の高さということで坂の傾斜が高いことも通る人が少ない理由か。土日は自転車愛好家が走っているのが目につくがスポーツタイプの自転車でも平坦の道を走るようにはいかず坂の厳しさにヒイヒイ言いながら走っている姿が時折見える程度だ。

葛西側。首都高速が合流するなど道路の密集度は高い。真ん中を首都高速湾岸線が通り国道357号はその両側。荒川河口橋はオーバークロスする首都高速の先と近くに行かないとその姿は分かり難い。                

 開通は1996年と当時のこの付近の交通量を考えれば遅い方だが両端が埋立地ということで一般の車の利用が少ないと思われたのか橋の真ん中を走る首都高速湾岸線は1978年とはるか前に開通している。時期的にみて幻となった都市博のために建設がゴーになったのか。この橋が出来るまでは荒川を渡る橋は河口から見ると東西線から少し離れた北側にある葛西橋しかなく一般道の渋滞は酷かっただろうしこの周辺で最短ルートで行くとなれば首都高速を走らないといけないだけに高速代も負担になっただろう。

 東京湾岸の埋立地に架かる橋は街が出来る前に建設するためか従来の橋より高い橋が多いがこの荒川河口橋はその中でも高い。自動車なら苦もなく渡れるが自転車はかなり辛い。葛西側はスロープが螺旋状になっているので坂道でもそれほど辛くはないが新木場側は一気に上がるので慣れない人は自転車を降りて押して行くが坂の途中まで歩道の幅がそれまでよりも狭くなり葛西方面から降りてくる自転車が猛スピードで降りてくるのが多く危険だ。一般的に道路を設計する人は歩道を走る自転車の事を考えていないようでどういう状況なるか想定せずに設計している。

葛西側はスロープが螺旋上に3段階で上がっていくので上るには比較的楽だ。この後の長く続く上り坂のための序章か。
スロープを上がると緩やかな坂が中心部まで続く。風の強い日や車の排気を感じる夏の暑い日は自転車で走るのは辛いかもしれない。

中心近くに行くと踊り場のようなスペースがあり休憩もできる。
踊り場から北側を見る。清砂大橋と見え難いが東京メトロ東西線が遠くに見える。望遠レンズで撮っているので橋間の距離は無いように見えるが約2.5キロほどの離れている。角度からしてこちらの橋の方が高いことが伺える。


新木場側へ下がっていくが途中から少しづつ歩道が狭くなっていくのが
この橋の問題点。
新木場側から葛西側を見る。歩道の幅は自転車が何とかすれ違う程度で
降りてくる方は上ってくる人がいても速度を落とす人は少なく危険な
場所だ。夜間は照明が暗くライトを点けていない自転車が降りてくる
時は近くに来ないと見えない明るさだ。
坂を下り終えると丁字路の新木場交差点があり信号待ちをする自転車が道を塞ぐように止まっていることも。道路にゴミが散乱しているのが日常の風景なのは埋立地特有か。

 新木場側の坂の部分の歩道が狭く危険だというのを画像を見て理解していただいたと思うがなぜこんなに狭くなったのか。交通ルールでは自転車は基本として道路を走るという前提になっている。歩道は周囲の人の動きからみて少ないということでこのような幅で設計したのだろう。しかし坂の傾斜具合や車の予想される量を考えればこの坂を道路で走る人がほとんどいないのは一目瞭然だが考慮しないのはルール至上主義のお役所仕事ということか。

丁字路の新木場交差点。左は若洲方面からの道で東京ゲートブリッジが出来てからは車の量は大幅に増えた。交差点の上を渡る高架橋はここと夢の島交差点を通過するため2014年に作られた。信号の時間が短いためか右折して荒川河口橋へ入る車は速度を上げる傾向で大型トレーラーがバランスを崩して横転する事故も時折起きる。以前トレーラーが横転した時にここを通ったことがあるが手持無沙汰の警察官や消防員が狭い歩道上にボーリングのピンのように無造作に立っていた。本来なら人の通りを注意すべきだがそれをしないというのは通る人が少ないからだろう。

 海側にも歩道があるが橋の両側のスロープがない。最近予算が付いたのか工事が行われているようだが葛西側に関しては途中で終わっている状況。新木場側は地上側の歩道がない(道路の北側にそれらしき道があるが繋がっているかは不明)でいつになれば通れるかは不明だ。


葛西側。橋の歩道にスロープが一部設置されたが地上部分は未完成。位置的には螺旋上のスロープは同じ位置にあるがここからは見えない。当然だが地図などの案内もなく慣れない人は橋を渡る場所を探すだけで大変だろう。
新木場側もスロープがあるが問題はこの先の部分。
先程の新木場交差点の部分。左側が葛西方面だが横断歩道を渡った時点で歩道がない。計画ではあったのかもしれないがこの道路は坂を下ってくる途中で車線が増える以外に混雑緩和のために新木場交差点とこの先にある夢の島交差点の上空を通過する高架橋(2014年完成)が坂の途中から分岐するなど途中で改良された影響で歩道が無くなったのかもしてない。
上の写真を撮った場所の左側に封鎖された歩道が。
位置的から橋から下って車道の下を通りこちら側を
通るのかもしれないが実際に海側の歩道を渡った場合
ここで信号待ちをしなければならないなど不便な
ことだ。画面左上が交差点を通過する高架橋。

 普通ならこの規模の橋なら両側に歩道をつけるが出来た当時はまだ歩行者や自転車の通行は少ないと見たようでこのような状況で放置されているのはこの橋が埋立地に架かっているからだろう。長年東京湾岸の埋立地を撮っているがまだ何もない状況で道路を作っていくということが多く高さは必要以上に高くし道幅も自動車が走る部分だけ広めに作っているものが多い。

夢の島公園へ行く歩道。この歩道も10年ぐらい前は途中から自転車がすれ違うがやっとという程度の幅しかないうえに未舗装だった。夢の島公園が東京五輪の会場になった影響かこのようなきちんとした道になった。

 荒川河口橋は歩行者や自転車で通る人は少ないが自動車の通行量はかなりのものだろう。特に東京ゲートブリッジが開通したことで高速を使わず都心部を避けて千葉方面に走れる事から物流関係中心にこの橋を渡る車は増えていて重要な橋としてこれからも多くの車が走り抜けて行くだろう。

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