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改良工事で2日間終日運休の東西線。東京メトロの利用者無視の愚行について

 東京メトロ東西線は来年の5/11から2日間、南砂町駅の改良工事のために東陽町-西葛西間を終日運休する。土日とはいえ近隣に代わりとなる同規模の交通機関がないにも関わらず終日運休するとは利用者無視の計画だが日頃からJR東日本と同様に事故対応などを傲慢な対応をしているだけに驚くことではないがついにここまで来たかという感じだ。

 東西線は関東でも有数の混雑路線で土日でも利用者は多い。特に土曜は通勤通学で利用する人が大勢いるというのに終日運休するというのは大都市の公共交通機関としては信じられないことだ。本来なら2日間どころか半日でも止めずに工事を進めるべきだが大勢の利用者に迷惑をかけることになるのに詳細な説明をせずただ「工事のため」の一言で済ませてしまう担当者の傲慢な姿勢には怒りしかない。3月のダイヤ改正ですぐ近くを走るJR京葉線は朝の通勤快速と夕方以降の快速を各駅停車にするなど最近は自分達の都合だけを考え利用者を無視した運行計画をするなど鉄道会社の公共交通への責任感は年々薄れている状況だ。

 南砂町駅の改良工事は混雑解消のためにホームを増設して都心方面の列車を交互に発着させて列車遅延を防ぐために行われているが当初の完成予定は2020年度。しかし遅れている理由は分からないが現在は大幅に完成は遅れて2027年というお粗末な工事進行だ。それを反映するかのように2日間終日運休を3回実施する予定で悪天候の場合は延期(今回は24,25日)という呑気な計画だ。


必要最低限のことしか書いていないポスター。
雨天の場合は予備日に実施するようだが   
記載されていない。            

もし2日目の12日に雨が降った場合はどうなるのか。工事内容がどうなっているのか分からないが改めて25,26日にやりますということも考えられるだけに利用者は予備日を含めて4日間はどう行動するか考えないといけないだろう。

 計画では南砂町にホームを増設し朝のラッシュ時に中野方面に行く列車を交互に発車させて運転をスムーズにさせようということだが地盤の悪いこの付近で列車を運転しながら大規模の改良工事を進めようという事自体が無理な話だ。工事の遅れの原因も地盤の悪さからと最近の工事業者はトンネル工事の技術が落ちたのか他でもトラブルが多くそれによって工事が遅れるという事が各地で起きている。工事を受注するのはゼネコンクラスの会社だが実際にやるのは下請けか孫請けの業者と良い人材がいないのだろう。

工事中の南砂町へ行ってみた。東西線はホームドアの設置が東京メトロの路線では一番遅い。南砂町駅も改良工事が終わるまでは設置しないだろう。ホームは狭いうえにカーブして見通しが悪いうえに快速電車が通過する。ホームドアがないからか最近は人身事故が多くなってきた。東京メトロの駅にしては珍しく終日駅員がホームにいるが真ん中付近にいるのでホーム端で飛び込まれたら見えない。運よく分かったとして列車を止める緊急ボタンを押したとしても列車を止めることは難しいだろう。

工事中の南砂町駅ホーム。仮説の壁で大半は遮断されているが東陽町寄りは新設される線路が少し見える。去年からこの状態であまり進行していない。遅れているのなら工事を進めるべきだがまだ4年もあるから放置しているのか。           


西葛西方面。まだ新設される所には枕木もない。

 運休についての発表は早かった。半年以上先で利用者に対しての配慮がされているように見えるが現実には何ひとつ明確ではない。

ホームや階段、改札近くなど何か所も運休のポスターが貼られている

ポスターには迂回をしてくれということしか書いてなく運休区間の代行輸送に関しては1か月程度前に発表するとしか明記されていなく利用者側からすればどうなるのか見当がつかない。分かっていることは西船橋ー葛西、葛西ー西葛西で折り返し運転をするということ。なぜ葛西で分断されるのかというと西葛西には折り返しをするためのポイントがないのだ。葛西には浦安方面にポイントがあるが片側だけと制約がありこういう運転になったのだ。


葛西駅から浦安方面。奥の方にポイントが見えるが片側しかない。事故が起きた時に葛西で折り返す事が多いだけに両方に行けるようにしてダイヤ乱れを最小限にすべきだが東京メトロはこういう設備投資はほとんどしない。                        

9日に南砂町駅で人身事故があった。運悪く撮影の帰りに遭遇したが西船橋ー葛西間で折り返し運転となり工事時の予行のような感じだったが葛西での先行列車の折り返しのため手前の浦安で3分停車と片側しか使えないことで列車をスムーズに動かすことはできないという事が分かった。この時は葛西までということでホーム上で待つ人は少なかったが工事時は反対側の西葛西方面からの人の流れもありホームが狭いうえに狭い階段が2か所しかないので人の流れはスムーズにはいかないだろう。


葛西駅。東西線でも乗降客数が多い駅だがホームの幅は開業当時のまま。
ホームドアを設置したため余計に狭くなった。同じく乗降客数が多い西
葛西は階段周辺だけ広げて少し流れるようになったが葛西はそのままと
東京メトロの混雑対策の悪さがこの沿線に随所にある。            

 気になる代行輸送はどうなるか分からないが既存の交通機関を使うとすると総武線に近い妙典付近までは西船橋に行けば総武線や京葉線で都心に行ける。時間がかかっても良いというのであれば葛西から西船橋まで行くこともできるが列車の本数がどのくらいあるのかということと運賃が通常よりかなり割高になる。通常の事故対応だと定期利用者ときっぷは迂回ということで東京メトロが負担するがICカードは対応しないので利用者が自腹となるので場所によってはかなりの負担となる。
妙典より都心側の駅の利用者はどうするか。行徳、浦安はバスで都営新宿線や京葉線か。悲惨なのは乗降客の多い葛西、西葛西。どちらも同じようにバスで都営新宿線や京葉線に行けるが列車の輸送量をバスで賄うほどの本数はない。
過去の似たケースだと代行としてバスを使って都心側の東陽町まで輸送するのが一般的と予想できるが問題はどこから運転するかだ。バス1台の輸送量は小さいだけに葛西、西葛西からそれぞれ運転するのがベストだが両駅とも駅近くに仮の乗降できる場所がない。

葛西駅(3枚とも)。両側にバス乗り場があるが真ん中に交通量の多い環七がありバスの動きがスムーズにいかない可能性と乗降場所をどうするかが課題。


西葛西(2枚とも)。南側はバス停、北側はタクシーと別れている。
バスの降車位置は上の画像の真ん中付近にバスが止まっている所のみ。   
西葛西駅近く(奥が駅)の道路は狭くバスの乗降場所を作ることは無理だろう。                               

ルートとしては道路が広い清砂大橋通りから明治通りを通って東陽町駅までが無難だが途中に通る南砂町駅付近で止まるかどうか。止まるように設定してもすでに葛西方面からの利用者で混雑して乗れるかどうかなどいろいろな混乱が起きる可能性大だ。

 運賃計算がどうなるかも問題だ。最近はICカードが主流だが仮に西船橋から葛西まで東西線、葛西から東陽町まで代替えバス、東陽町から東西線となると3回乗換となる。それぞれ別計算となると通常の東西線のみの運賃と比べるとかなりの割高になる。利用者側に負担されるか東京メトロが差額分を負担するか。
 最近はバスの運転士不足が各地で起きているだけに東京メトロがどのくらいのバスと運転士を確保できるか見ものだ。
雨天時の延期を考えると4日分に近い料金をバス会社側に提示しなければならないだろう。どのくらいの額になるか分からないが結構な額になるだけにサイフにシビアな東京メトロがどうするか。

 土曜の8時過ぎに中野方面の電車に葛西から乗ってみた。平日はこの時間はホームは大勢の人であふれているが今日は扉ひとつにつき2,3人が待つ程度で遠くまで見える。電車も座席は埋まっているが立っているのはドア付近だけと平日に比べればはるかに少ない。1両の座席の定員が54人(扉の広い車両は44人)と単純に計算して70人X10=700人。路線バス1台は約80人しか乗れないので1本の電車に対して9台は必要だ。8時台は快速を除けば11本の列車が運転されるので迂回に必要なバスは同数ではなくてもかなりの数になるが同等分の台数を確保することは不可能だ。
日中は乗る人は少なくなるが乗降客が多い通勤通学時間帯にどのくらい運転するかだ。

 先日も渋谷駅の改良工事で山手線が週末の2日間片側だけ終日運休するなど最近の鉄道会社は気軽に列車を止め過ぎる。
工事だけでなく新線の完成も予定より数年遅れることも当たり前というケースが多く目につく。工事業者が無能なのか鉄道会社が無責任なのかは分からないが今回の東西線の工事は7年も完成が遅れるというのだから計画の立て方や工事の進行が悪すぎる。
工期が延びれば建設費も増え完成後にその分を運賃に転嫁する可能性が高いだけに決められた工期内で終わらせるようにすべきだろう。

 まだ半年以上先の事だが傲慢な東京メトロという鉄道会社によって多くの沿線利用者が悲惨な2日から4日間を3回も経験させられることは今のうちから目に見えることだ。
最近は利用者があっても運転手が確保できないということで短期間で路線運行を止めてしまったバス会社が出るなど利用者軽視の会社が多くなった。鉄道会社を監督している国土交通省がいい加減だから利用者が多い路線で今回のような事が平気で行われようとしているのだろう。

(追記)発表された代行輸送は予想より酷い内容だった。東京メトロは利用者に対して「迂回しろ」の一転張り。東西線だけに広域に例のポスターを張っているがあれだけでどれだけ効果があるか見ものだ。


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