誤訳の正体

誤った訳というのは、学習中の者だけがやることではない。
プロの翻訳者や通訳でも、時々やることがある。
プロなのに?と思う人もいるかもしれないが、それには様々な理由があるのだ。
映画やドラマを使って勉強することを勧めているのだが(英語を話せる勉強法①)その際には、以下のことが起きる可能性があることを踏まえて勉強して頂きたい。

一つ、字数制限。
映画の字幕などは、字数制限があったりする。
セリフの速さと観客が字を読む速さの関係で、時折ごっそりセリフが抜け落ちていることがある。
英語学習のために映画を見るとき、こういう映画は混乱の原因になるので勧めないようにしている。
「あれ?この単語が聞こえたと思ったのにな」と思ったら、実際に訳されていない部分を聞いている可能性もある。

一つ、コメディ。
誤訳とは少し違うのだが、笑いは一番訳すのが難しい。
笑いを取るために、時事ネタもあれば、あるあるネタもある。
しかし、文化の違いによって、一方の国のあるあるネタはもう一方の国ではあるあるネタではない。
そうなるとそのまま訳しても笑いには繋がらないのだ。
なので、日本人に伝わるような冗談などに変更される。
つまり聞こえている英語と日本語字幕はまったく噛み合わないものが表示される。
映画などを使って、リスニングの勉強をしているときには中々困るものだ。

一つ、表現を知らない。
英語には慣用句のような塊(チャンク、ブロックなど様々な呼び方がある)で意味の変わるフレーズがたくさんある。
Ring a bell(Ring a bellという日本語から訳せない言葉)もその一つである。
直訳的では、なんだろう、と思うような文脈ならば調べられるのだが、文脈によっては自身の誤訳に気付けない可能性がある。

一つ、解釈の違い。
英語は同じ言葉でも文脈によっては意味が変わる。
そして、文化の違いなどから解釈の違いが生まれることがあるのだ。
ネイティブから見れば「え、そういう意味じゃないけど」ということが時折ある。
否定形の質問など、日本人とは答え方が違うため、誤訳が生じることもあるのだ。
独学や自習では気付けない難しいところなのである。
「うーん?なんか話かみ合わない?」みたいなときはこういう可能性があるので、疑問に思ったときはしっかりと相手に聞き返すなど、確認作業が大事である。

全てではないが、これらはよくある誤訳の正体である。
映画やドラマを使って学習中の方々には、これらの可能性があることを頭の隅に置いて、頑張っていただきたい。


Hope you don’t get lost in translation like the movie. 

映画のように、本来の意味を失わないように。/ 映画のように、誤訳しないように。/ 映画のように、訳で迷わないように。

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