読書メモ 「動物園・その歴史と冒険」

 動物園が好きです。最近はなかなか行けていないので悲しいのですが、可能なら世界中の動物園に行ってみたいです。それ故、動物園で動物を飼育すること自体に対して反感を持っている人を見ると悲しくなります。
 今は歴史についてを中心に進めている「君たちに伝えたいこと 教養編」ですが、動物園の意義などについてもいつか纏めておきたいと思っています。

 そういう訳で動物園についての本も時々読んでいるのですが、この本は特に素晴らしかったです。アッシリア王の動物園から近代までの王侯貴族の珍獣コレクションを前史として、18世紀末から各地の動物学会によって学問の場として始まった近代の動物園がすぐに見世物としての性格を強めてゆき、興行と学術の狭間で揺れ動いたこと。展示手法の発達により、動物園のあり方が変わってきたこと。2度の大戦をはじめ、戦争の度に動物園と飼育動物が辛い立場に立たされていたこと。20世紀後半になり動物の福祉が動物園に反映されるようになり、今また動物園は新たな発展の門口にたっていること。それらが分かりやすく、面白く解説されておりました。
 動物園の発展の陰で動物たちがどのように扱われていたかについても、中立的に書かれておりますが、これからの動物園の発展に期待するあまり従来型の動物園に点数が辛いようにも感じました。
 動物園の発展の歴史、動物園の功罪が分かりやすくまとめられた良書だと思います。

 地元の東山動物園がベルリンのハーゲンベック動物園をモデルにしていることは、東山動物園のサイトで読んで知っていたのですが、このハーゲンベック動物園というのが、私立の動物園だったというのは初めて知りました。世界中で動物園が建設されていた19世紀末~20世紀前半に、飼育する野生動物を提供していたカール・ハーゲンベックという人物についても、他にも資料を探していつかまとめてみたいと思います。

 最後までご覧いただき、ありがとうございます。本業のサイトもご覧いただければ幸いです。



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