ジョン万次郎について、資料なしで説明する試み(答え合わせあり)

 似たような記事ばかりあげていると思われるかもしれませんが、今回も子どもからの質問に答えた記録です。

 また上の子がテレビを見ていたのか、ネット動画を見ていたのか、とにかく
「ジョン万次郎って誰?」
と聞いてきました。そこで例のごとく、記憶に頼って説明です。子どもの質問に、詳しさや正確性は置いておいても、取り合えず答えられるのは子どもの頃から良く本を読んでいてよかったと思えます。
「日本で初めて英語の辞書を作った人だよ。『What time is it now』のフリガナに『ホッタイモイジルナ』と書いてあるので有名なヤツ」
 その時はこう答えたのですが、ここで改めて自分の説明が正しかったか答え合わせもしていきたいと思います。手元に詳しい書籍が無かったので、ジョン万次郎資料館さんのサイトを参照します。
 まず最初の日本初の英語の辞書という表現ですが、調べてみるとこれは万次郎の著した「英米対話捷径」という本。ジョン万次郎資料館さんでは「日本初の英会話ガイドブック」としていらっしゃいました。
 日本初の辞書としては、フェートン号事件を受けて1814年に完成した「諳厄利亜語林大成あんげりあごりんたいせい」というものがあるようで、「日本で初めて英語の辞書を作った」という僕の説明は誤りでした。
 また「ホッタイモイジルナ」についてはざっと検索した限りでは、この「英米対話捷径」に登場する表現として扱っているサイトは多いのですが、確実に原本を参照したと思える記載は見つけられませんでした。いったん保留して、これからも気にしておくようにしたいと思います。

「万次郎は土佐、現在の高知県の漁師だったんだけど、遭難したところをアメリカの捕鯨船に救助されたんだ」
 ここは問題ないように思えます。上の子には「遭難」とだけ言ったんですが、調べてみると漁船で漂流した後、無人島で生活しています。それを読んだところで、小学生の頃読んだ「ジョン万次郎漂流記」を部分的に思い出しました。
 小説の方では、島にはたくさんアホウドリがいて、手で捕まえることができたので食料には困らなかったけど、釣った魚も食べなかった人は死んでしまったとか書いてあったと思うのですが、一緒に遭難した人に死者はいないようです。体調を崩したのを思い違いしたか、小説だから盛られているか、別の漂流記と勘違いしているかもしれません。
 救出された後、黒人の水夫が茹でた芋類をくれたけど、白人の船員に取り上げられた。代わりに肉類をもらったけど量が凄く少なかった。空腹からいきなり大食すると、時には死ぬこともあることを知ったのは後になってからだった、というような内容もあったと思うんですが、こちらも本当に「ジョン万次郎漂流記」かどうか、ちょっと自信がありません。

「救助されたはいいけれど、当時は鎖国中だったから日本に帰れなかった。そこでアメリカに渡って、捕鯨船のオーナーに学校に通わせてもらったおかげで英語をマスターした」
 だいたいあってると思うのですが、万次郎を後援してくれたのは捕鯨船のオーナーではなく船長でした。オーナーでもあるのかどうかは確認できず。資料館のサイトでは船長の養子になったと書いてありますが、Wikipediaでは養子のように一緒に暮らすようになる、とあります。
 学んだのは英語だけでなく、数学や測量、航海術さらには造船技術まで学んでいます。卒業後は捕鯨船員として働きました。

「その後、何とか日本に帰ったんだけど」
 ここは詳しく知らないのではしょりました。
 資料館のサイトで確認しますと、捕鯨船で働いていた万次郎ですが、帰国費用を稼ぐためゴールドラッシュで沸くカリフォルニアに渡ったそうです。金鉱で得た資金を持って、とあるので一山あてたんですね。いいなぁ。
 日本は未だ鎖国中。そのため万次郎は琉球に上陸し、最初薩摩藩、次いで幕府から取り調べを受けて、帰国から2年後にようやく土佐に帰ることができました。

「ペリーが日本に来ると、『英語できる人いるの?ちょっと来なさい』って幕府に呼ばれて、侍の身分に取り立てられた」
 英語を話せる人材は貴重だったので、万次郎は幕府直参に取り立てられています。

「もともと漁師で苗字はなかったんだけど、この時「中濱」という苗字ももらった。ジョンっていうのは洗礼名だね」
 ウソでした!大事な事なので2回書きますウソでした!
 ジョンは洗礼名ではなく、単なる愛称でした。
 これについては当日中に、上の子に訂正を入れています。

「幕府がアメリカに派遣した使節に同行したり、幕末から明治初期にかけて数少ない『英語のできる日本人』として活躍したんだね」
 日本初の太平洋横断に挑んだ咸臨丸に、万次郎は勝海舟や福沢諭吉とともに乗り込んでいました。小学生の頃持っていた日本の歴史の学習漫画で、本屋で万次郎が福沢諭吉と一緒にウェブスターの辞書を買うシーンがあったのをなんだか覚えています。

 ということで子どもに語った内容がどれだけ正確だったか検証してみました。まあまあ恥ずかしくない程度には答えられたかと思うのですが、どうでしょうか。

 今回と似た感じの記事としては、随分前にバスク地方について書いた記事があります。

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