左遷の後から出た温泉 第732話・1.25
「え、これは!」俺は、人事部からもらった辞令を見てショックを受けた。「完全な左遷か、まさかこんなに早く出世コースから離脱するとは」
俺は国立大学を出て今の企業に就職して10年。すでに係長に昇格しており、このままでいけば最年少クラスの課長、そして部長と出世コースをひた走っているかに思えた。「あわよくば上場企業の役員も夢ではない」
ところが、上司から来た辞令は、俺の野望を打ち砕くのにはちょうど良い内容だった。本社から地方への転勤。それも山奥の方である。
「どこで狂ったか」俺