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変数 | daily

データを分析する目的の1つは因果関係を明らかにすることです。因果関係が明らかになれば、その原因となる事象が起こるかどうかを観察し、結果を精度高く予測することができるようになります。とはいえ、実際にある事象の因果関係を証明することは難しく、無数の相関関係から観測できる変数とその変動によって結果にどのような影響があるのかを観察することで、寄与度を探るというような方法になります。

幸福度、というものがもし仮にあるとして、それに影響を与える変数を挙げてください、と言われたら何が挙がってくるでしょうか。金銭、人間関係、健康、学業や仕事、趣味や継続的に行っている活動、などなど、まあ色々出てきそうですが、大きくは以前にも挙げたような経済、人間関係、健康に分類されるでしょう。人間をどういう粒度で捉えるのかというのは、今後のデータの利活用という話の際に誰もが考えることになるとは思うのですが、自分が受けてきた教育の期間では残念ながらそのような尺度の話はなかったので、今後の世代は自然とそうしたデータの粒度や用途、分析の尺度や仮説の問題点などを議論し指摘し合えるようになっていったらいいなと思います。

さて、最近の関心事は再び、意思決定のプロセスとデータの利活用というところに戻りつつあります。人間のすることなので、均していけば多くの他の人間がするような行動のサンプルから結果を予測できるはずです。つまり、良いパターンや駄目なパターンがそれなりに見えてくるはず、ということです。そしてそれを、ナッジという形でサジェストしていくということがもし可能になれば、世の中は良いパターンの方向に向かっていくのではないか、という夢想があります。

いちおう法治国家であり民主主義を標榜している日本で暮らしているのに、なぜこんなにも制度的な歪みが放置され多くの人が生活苦にあえいでいるのか、というのは同時代に生きるものとして看過できないですし、自分自身もいつ向こう側に転落するのかという恐怖はあるわけです。よりよい社会というのは希望か安心から生まれるというのはその通りだなと思いますが、希望や安心というのを少しずつ削ってきた結果が今なのであり、それはどこかで精算しなければならないのかもしれません。

どういう社会を築いていくのかは社会の成員の総意によって決まるわけではなく、制度や仕組みというものを考えてそれを操作しようという意志のある人の行動によって方向づけられてしまうわけで、そうした動きを監視するのがマディアだったわけですが、それも機能していないようですし、やはりここは革命的な文士の登場を待つしか無いという感じです。

政治においてもマーケティングセンスが必要ですし、表立って何かを扇動しているように見える人の裏には割と緻密な計画があったりするのだな、と陰謀論までは行かなくとも、成り行きではない、計画というものを感知できる感覚というのは大事だなと思う次第です。


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