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SF・短編 #1-1 しあわせの理由

どうもビビビです。今日ご紹介するのはSFが好きな人なら絶対大好きと言われるグレッグ・イーガンの短編集

その中でも大抵初心者におすすめされているのがこの「しあわせの理由」。こんな記事書いといてアレですが、なんせ私もSF初級者なので、一冊でSFのエキスをだくだく摂取できる短編は超おいしい。

今回は概要の紹介をして、次回以降私がおすすめしたい作品をもっと楽しく読むためのサポート的なものを書いていきたいと思います。

目次とあらすじ

適切な愛 … 事故で瀕死の夫を蘇生させようとする妻の心の揺らぎ
闇の中へ … 世界中で発生する闇から人々を救出するランナー達の一日
愛撫 … 突如見つかったキメラから始まるミステリー
道徳的ウイルス学者 … 偏愛する神のために生物学者が作ったものとは
移相夢 … 意識をロボットにコピーする際見る夢について
チェルノブイリの聖母 … イコン(聖画像)の捜索依頼を受けた探偵は
ボーダー・ガード … 量子サッカーの試合から始まるヒューマンドラマ
血をわけた姉妹 … 一卵性双生児の一方が病気になったなら
しあわせの理由 … 脳腫瘍の特効薬の治療を受けた少年のその後

あらすじだけ見ても、バリエーションの豊富さがすごい。ほんの数時間の出来事が舞台のものもあれば、主人公の半生を追い続けたものまで、スピード感も配慮されており、読んでて飽きない。(因みにイーガンの邦訳短編集はすべて日本オリジナル編集)

じゃあ全部バラバラな印象かというとそんな事はなく、この本全体を通じて「自分」とはいったいなんなのか、どこに存在するのか、ということを徹底的に描こうとしていて、短編全体でテーマを形作っているという印象。


ピックアップ

どれも超面白い。。全部おすすめしたい…でもそれは無理なので、一読だけでは「??」となりそうな、視覚的にイメージし辛い作品を、ネタバレを回避しつつ、私の脳みそで考えうる限りの解釈を以てして紹介しようと思います。

#1-2 闇の中へ

#1-3 愛撫

#1-4 ボーダー・ガード

物理学の思考実験がそのまま日常にブッ込まれたような世界がイメージできなさ過ぎて一瞬離脱しそうになった私と同じ轍を踏まないようなサポートができればいいなと思います…ほんと、何回か読まないと景色すら思い描けませんでした。。

あくまで、視覚的にイメージしやすくなるようにという右脳的発想ですので、専門的に正しい知見ではないことはご了承ください。


作者:グレッグ・イーガンとは

グレッグ・イーガンはオーストラリアの覆面作家で、素顔は明らかにされていない謎の人物。詳細はWikipediaニコニコ大百科などに譲るとして、ここでおさえておきたいのは、大学の専門は数学、卒業後は映画の専門学校を中退して、医療機関でプログラマーを長年やっていたこと。

何が言いたいかって、その経験が作品に活きまくっているということです。作品から、その要素があふれてこぼれ落ちまくっている。詳細なハッキングの描写、医療や生化学に根差した舞台設定、数学的発想の未来のゲームや、フィクションとリアリズムの絶妙なバランス、etc… 日常生活のなかに当たり前のように登場する現代ではありえないテクノロジーや現象のクオリティというか解像度の高さが、読者を作品の世界観にぐいぐい引き込む大きな要因になっています。

ディストピアとか、アクション巨編とか、少し大げさで苦手、という方でもとっつきやすいラインナップとなっております。結構沢山邦訳の短編が出ているので、気になる方はぜひほかの作品も検索してみ下さい。

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