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イサナブルーイング(東京・昭島)

 「ビビビ。」の創業時、オープン記念のオリジナルビールをつくっていただいた、東京・昭島のイサナブルーイング。
 その際、河内晩柑を副原料に、“シトラス珈琲ペールエール”という聞き慣れないスタイルを実現してくれたのは、イサナブルーイングのオーナーブルワー、千田恭弘さんです。

 前職は半導体や航空宇宙関連のセンサーなどを手掛けるエンジニアで、あの「はやぶさ」に実装されるセンサーの開発にも携わっていたという千田さん。独立のきっかけになったのは、ビールではなくコーヒーだったそうで、「大学時代にスタバのバイトに明け暮れていて、いつかカフェを開きたいというあこがれを持っていました」と言います。

 しかし、「コーヒーは薄利多売のビジネスなので、これで生計を立てるのは難しいだろうとも感じていました。そんな中、クラフトビールに出会って“これならあるいは……”と閃いたんです」と振り返る千田さんは、会社勤めの傍ら醸造修行をスタート。昭島市に開業の地を定めたのは、“水質”が決め手でした。
「昭島市の水は、丹沢水系の深層地下水100%。蛇口をひねれば、関東の山々から地下を通ってやってきたきれいな水が出てきます。川の水もダムの水も一切使わっていない水道水は、都内では昭島市だけなんですよ」
 たしかに、酒づくりにはうってつけの好立地ですね。

 なお、社名に冠した“イサナ”とは、万葉集に登場するクジラの和名、「勇魚」に由来するもの。
 昭島市は1961年に200万年前のクジラの化石が発見され、世界的な話題を呼びました。そのためクジラはいまでも市のシンボルになっているのです。

〈Text By Satoshi Tomokiyo〉

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